新型コロナウイルスの影響でニューヨークのブロードウェイでは2020年いっぱい、ミュージカルの休演が決まるなど芸術の分野でも世界的に厳しい状況が続いている。こうした中、6月26日、盛岡である演劇の公演が行われた。

白昼の公園で1人、何やらつぶやく男性。盛岡で劇団を主宰する村田青葉さん(26)。

この日は自身半年ぶりとなる舞台出演に向けた稽古。本番もマスク姿で臨む。

村田青葉さん

「今回僕が書いた台本はマスクがあっても成り立つものだったので。ただものすごく酸素が足りなくなるというか」

大学時代のサークルで演劇に出会い、のめりこんだという村田さん。

新型コロナの影響で全国的に多くの公演が中止された現状に危機感を抱いていた。

村田青葉さん

「感染者の出ていない岩手でも、実際に公演を中止しなきゃいけない団体がたくさん出てきていて、僕が出演する予定だった舞台も実際に中止になってしまって。でも何か演劇的な活動をしなきゃいけない。ここで足を止めちゃいけないっていう思いがあって」

今回企画したのは稽古での密集を避けられる一人芝居。

実際に村田さんがアルバイトをしている繁華街の牛丼店が舞台だ。

村田青葉さん

「いろいろな思いをみんな抱えていたと思うんですけれど、その思いを誰も書き留めなかったら、なし崩し的に忘れられてしまうかもしれない。僕が演劇を使ってコロナ禍の盛岡の状況を書き留めようと思って」

6月26日本番当日、舞台は牛丼店をイメージしてつくられた。

白線で示した演技スペースのまわりにカウンター席やボックス席に見立てた客席を用意。机を置くことで距離を確保する対策も意識している。

村田青葉さん

「僕としては少し遠いかなと思うけど、ちょっと離れた安心できる位置にお客様をご案内できるように離しています」

この劇場にとっても演劇の公演は3カ月ぶりだ。

風のスタジオ 工藤雅弘支配人

「盛岡で劇場が再開してからの公演は初めてだと思うので、楽しみだし逆に心配とか不安もあります」

村田青葉さん

「何か問題があった時には僕だけの責任じゃなくて、演劇っていうコンテンツ自体にも迷惑をかけてしまうと思うので、上演を何事もなく終わらせられればと思っています」

本番20分前、観客が劇場にやってきた。

連絡先を把握するという全国公立文化施設協会のガイドラインにのっとり、すべて事前の申し込み制としている。

上演開始。消毒作業も演技の一部だ。

劇では店に及んだコロナの影響がリアルに描かれる。

村田青葉さん

「僕が劇中で接してきたお客様は、4月20日に実際にいらしたお客様の数、注文をそのまま使用しています。あわせて6180円、この日のこの2時間の4月20日の売り上げです。普段であれば2.5倍近く1万5000円くらいになります」

村田さんは東京からの目線でばかりコロナを語る風潮への「違和感」を舞台に表現した。

村田青葉さん

「4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されました。当時感染者0であった岩手県も例外なくです。入ってくるのは都心のニュースばかりで、僕の住んでいる、ここ、盛岡との時差、温度差を感じます」

27人の観客に35分間、生の舞台を届けた。

観客は

「画面越しでしか見られないとか、そもそも開催できないとか、そういう中で同じ空間にいて時間を共有できるのは久しぶりの感じがしてよかった」

「いろいろな人がいろいろなことを感じているのかなっていうのを考えながら見ていました」

「やっぱり率直にうれしいですよね。見たいという気持ちはありますから」

村田青葉さん

「お客さんの前でやることが生きがいみたいな。それが僕の演劇の好きな部分だったりするので。最後拍手いただいてっていう時はすごくうれしかったですね。いまみたいに刻一刻と状況が変わっても、その時その時今できる演劇、それの魅力をずっと追及して届けていきたい」

コロナ禍でも演劇の火は絶やさない。

手探りのなか演じた舞台で、村田さんは確かな手ごたえをつかんでいた。

盛岡は劇団の数も多く「演劇のまち」などと呼ばれるくらい盛んな土地ですが、村田さんは今回の公演が他の劇団にとっても活動再開のきっかけになればと話していました。

村田さんの劇団は8人のメンバーがいるそうで今後の公演も楽しみにしたいと思います。