ジャーニーマン『安藤誓哉』

ジャーニーマン。シーズンごとチームが変わるプロ選手のことをアメリカではこう称する。
カナダNBLのハリファックス・レインメンを皮切りにチームを次々と渡り歩いた安藤誓哉は、昨シーズンは秋田ノーザンハピネッツからアルバルク東京にレンタル移籍をしていた。

そのプレーはコーチの絶大な信頼を受け、7月2日にアルバルク東京と契約を締結したことで完全移籍が成立。2018-19シーズンは、Bリーグ2連覇を目指すチームの司令塔として、これまでのキャリアとは違う、新たなチャレンジをすることになる。

今季の安藤は試合を支配できる司令塔を目指す ©ALVARK TOKYO
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東京での1年目、安藤はルカ・パヴィチェヴィッチコーチの厳しい練習とコーチングに順応し、シーズンを通じて先発ポイントガードの座を維持した。
チームはB1制覇という大きな成果を手にし、「すごく充実していましたし、厳しいことも言われましたけど、チームとして優勝したことは大きいですし、個人として成長できたなと自分でも思えます」と振り返る。

パヴィチェヴィッチコーチの下で多くを学んでいる安藤 ©ALVARK TOKYO

もっとレベルアップしたいという貪欲さは、学生時代から変わらない。

東京で生まれ育った安藤は、宮城県の強豪明成高に進学。U18日本代表としてアジア選手権に出場した際には、大会の得点王に輝く。明治大の2年生時にはインカレ準優勝に大きく貢献したものの、それらの結果に満足することなどなかった。

むしろ、「このままでいいのか?」という危機感が増していく。

海外でチャレンジしたい気持を抑えきれない安藤は、卒業に必要な単位を取得していた大学4年生の春に退部(後に大学は卒業)。
この動きに多くの人が反対したが、安藤の意志は固かった。

「高校3年の時にアンダーカテゴリーのアジア大会に出て、初めて海外の選手とやって思い知らされた部分もありましたし、その時にやっていた選手たちとやったら強くなっていて、ちょっと差が開いたんじゃないか?ということから海外に行きたいなと思いました」

海外で新たなチャンスは巡ってこなかった

夏にロサンゼルスで開催され、プロとアマが一緒にプレーするドリュー・リーグに出場したのをきっかけに、安藤はカナダNBLのハリファックスとの契約を手にする。現在秋田で指揮するジョゼップ・クラロス・カナルスが指揮するチームの先発ポイントガードとなり、チームのファイナル進出に貢献した(練習時に相手から乱闘を仕掛けられたという理由で、チームが第7戦でプレーすることを拒否したためにリーグから処罰され、優勝できなかった)。

安藤はその後もフィリピンのPBAでプレーし、NBAのマイナーリーグであるDリーグ(現Gリーグ)入りを目指してのハードワークを継続。しかし、海外で新たなチャンスは巡ってこなかった。

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プロのバスケットボール選手である以上、試合に出られなければ意味がない。
その機会がBリーグだと認識した安藤は、秋田で60試合、東京で55試合に先発出場。昨季は秋田時代よりも9分以上出場時間が減ったこともあり、平均得点が8.8点に終わったものの、2Pシュートも3Pシュートも成功率がいずれも4.3%上昇した。

また、平均ターンオーバーも1.8本から1本に減少させたことは、ポイントガードとして成長したことの証と言っていい。 「ポイントガードとしてのマインドというか、ルカコーチが考えていたポイントガードのマインドを教えてもらっていると思うので、もっと学びたいですね」

©ALVARK TOKYO

個人の目標は“コート上での支配力”

去年のアーリーカップ。チームや選手の現状を知るためのプレシーズン・ゲームというアプローチになってもおかしくなかったが、安藤は勝負にこだわってプレーし続けた。
それは、アルバルク東京の一員としてふさわしいことを示すうえで重要だっただけでなく、アーリーカップ優勝という結果を手にしたことでも大きな意味があった。

「僕が入ったところ、去年は外国籍選手のポジションだった。
メインのディアンテ・ギャレット選手から変わっても勝てたというか、正直負けるわけにはいかなかったので、絶対勝たなきゃというプレッシャーも僕が勝手に思った部分もありますし、それで勝てたのでホッとしました。思っていたよりもファンの人の熱がすごくて、シーズンと同じくらい熱量があるんじゃないかと思いました」

昨年のアーリーカップ制覇は安藤にとって新たな自信、チームにとっても成功のシーズンを手にするために必要なステップだった。

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B1王者として迎える2018—19シーズンのプロローグは、古巣である栃木の本拠地ブレックスアリーナ宇都宮で開催される関東アーリーカップ。
個人の目標を“コート上での支配力”と口にした安藤は、厳しいシーズンが待ち構えていることを認識しながらも、チャレンジを楽しみにしている。

「2連覇が難しいというのはヘッドコーチが一番言っていると思うし、相手が絶対変えてくるのは間違いないので、同じことをやっていても勝てないと思います。だから、今シーズンは今シーズンで、また一つ目の前の試合を1個1個勝ち取っていくという覚悟を持って、僕はポイントガードなので先頭切ってやっていきたいです」

取材・文/青木崇 Interview and text by Takashi Aoki

【B.LEAGUE EARLY CUP 2018 KANTO】
9月7日(金)8日(土)9日(日)会場:ブレックスアリーナ宇都宮
https://www.bleague.jp/earlycup2018/