熱海温泉のお土産に新たな名物が誕生

お盆休みを利用して温泉でゆっくり過ごした方も多いのではないだろうか? そんな温泉帰りの定番土産といったら「温泉饅頭」だろう。

8月8日、静岡県熱海市の企業が熱海温泉の新名物を考案し販売を始めたが、その奇抜なネーミングが話題となっている。

その名は「熱海温泉 毒饅頭」。

「毒饅頭」と言うと、うまそうな話に乗り、(悪い)相手の術中にはまってしまうことを揶揄する「毒饅頭を食う」という表現が政界などで度々使われる言葉だ。
今回のパッケージを見てみると、書道家の武田双雲氏の書を印字した桐箱に収められていて、“いかにも”な感じでもある。まさか、本当の毒は入ってないと思うが、食べたら見返りを要求されるかもなど、ちょっと食べるのが怖い気も…

(画像:伊豆半島合同会社)

いろいろと想像は膨らむが、実は今回の「毒饅頭」は、解毒作用がある和漢として有名なドクダミを生地に練り込んだ饅頭だという。

箱の中には札束ではなく…大吉のおみくじがついているなど、随所にこだわりが散りばめられているようだが、いったいなぜこんなお土産を作ったのか?
「毒饅頭」を製造販売する伊豆半島合同会社の布施和広社長に話を聞いた。

真逆の健康イメージ「ドクダミ」を掛け合わせた

ーーなぜドクダミを使った饅頭を作ったの?

弊社は再発見再発掘企業です。
具体的には、定番化して埋もれた魅力を改めて掘り起こすことや付加価値を加えてヒット商品を生み出しています。今回、自分が生まれ育った熱海温泉をフォーカスし、そして定番化した「温泉饅頭」に光を当ててみました。

そして、おどろおどろしいネーミングである「毒饅頭」と、そのイメージとは真逆の健康で解毒作用のある「ドクダミ」を掛け合わせたら面白いのではと思い、心を込めて製造しました。


ーーどういうところにこだわったの?

大前提として美味しさを追求するこだわりは言うまでもありません。
そして熱海に来る観光客の五感を満たせる商品にしたいと思い、以下のことに意識をしました。

視覚(書道家の書入り桐箱、かつて見たことがない色の黒光る和菓子)
聴覚(紙箱では表現できない、桐箱が奏でる上質で心地よい音)
触覚(食べ慣れたしっとりしたやわらかい感触と食べ易いサイズ)
味覚(上品な美味しさの追求、食べたことのない食材に出会い、健康にも配慮)
嗅覚(木の香りに誘われ、餡の甘い香りと口の中でも香る生地の良い感じの草っぽさ)
第六感も刺激(なぜか分からないけど無性に買いたくなる名前と心理的な衝撃)

さらに、原材料全てにおいて本物を追求して大人が喜べる商品となっています。

ーーその結果が、饅頭だけでなく、化粧箱、書、おみくじと細部までのこだわりに?

ひとつひとつが商品というよりも作品です。著名な書道家に初めて「毒」の書を依頼して、全て木目の異なる桐箱に印字するなど、本物にこだわり大人が満足できるものにしたいと思いました。

突き抜けなければ大人は振り向かないからです。流行で終わらせないブランド力は、小手先だけの宣伝対策や軸のない中途半端な商品ではつくれません。

10年後は銘菓になり、20年後も銘菓として残るために必要な要素を全て入れました。


ーー数え切れないほどの失敗を重ねたとのこと。製作期間はどれくらい?

約3年間です。原料であるドクダミに癖があるので味がまったく決まりませんでした。ドクダミは、日本全国に生えていますので、いろんな地域で摘んでみたり、農家や問屋で購入したり、とにかく全国から集めました。

「エキスが良いのか?」「パウダーが良いのか?」「餡に入れるのか?」「生地に入れるのか?」など長い道のりでした。餡も美味しいと言われるものを全国から取り寄せ、最終的に北海道産の小豆餡と出会い、味が決まったのですが、ここまで辿り着くまでにたくさん寄り道しました。

同時にドクダミが持つ健康効果にも目をつけていました。図鑑から始まり、大学教授、医師、薬剤師の話を聞けば聞くほど、完成への期待が膨らみましたね。

「政治家の方にも是非食べてもらいたい」

(画像:伊豆半島合同会社)

ーーやっと完成した「毒饅頭」。その一番の魅力は?

抜群に美味いところです。食べれば分かりますが、トータル的な味のバランスが良いところです。甘さを抑えて、ほのかに感じるドクダミの風味にしています。

付き合いのあるミシュランガイドで星獲得の和・洋・中の料理長やソムリエ、人気カレー店の店長などにも味のチェックをしていただき、万人が認める味に挑戦しています。


ーー購入できるのは熱海にある御社のショップだけ。それも営業日は週1日程度とか?

熱海の賑わい創出を狙った商品ですので、熱海に遊びに来るきっかけにもなってほしいことからこうしました。今の熱海は、駅前と宿泊施設だけに人が溢れています。そこで、さらに街中を回遊してほしいとの思いから、店舗は駅から少し外れた商店街に構えました。

また営業日が少ないのは、饅頭、桐箱、和紙、紙袋、おみくじと全てにこだわり過ぎてしまい、提供できる商品の数に限りがあるからです。今後は少しずつ増やしていきたいです。


ーー「毒饅頭」というと、どうしても政治の世界を思い浮かべてしまいます。政治家の方々にも食べて欲しい?

是非食べてもらいたいです。食べても食べさせられても満足の味と質感にしています。

社長のこだわりがたっぷりと詰まった安心の「毒饅頭」だということがわかったが、お土産に買っていけば「毒饅頭を食わされた!」と、とりあえずネタになることは間違いなし。
熱海に立ち寄った際にはお土産に検討してみてはいかが。