兵庫県丹波地域では初めて確認

今年は各地で例年よりも早く明けたが、梅雨の時期にアジサイの葉の上でよく見かけるカタツムリの、透明バージョンが7月30日、兵庫県丹波地域の遠坂川周辺で確認された。

発見した男性は、今まで見たことのない小さいカタツムリについて、兵庫県立「人と自然の博物館」鈴木武研究員に知らせたところ、「コハクオナジマイマイ」(オナジマイマイ科)ということが判明した。

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15mmほどの薄い殻は半透明で、緑がかった鮮やかな黄色をしていて、内臓が透けて見えるのが特徴だ。
この種はもともと、1953年に九州産の新種として発表されており、日本の固有種で、九州から中国地方西部は自然分布とされている。

1992年に千葉県館山市、1998年に兵庫県浜坂町、その後は国内各地で見つかっているが、これらは人為的に運ばれて他地域で生息する「国内外来種」として扱われている。

茨城県では、小松菜を食害した報告があるが、兵庫県内では、これまでに農地や川岸のカラムシやクズなどの群落で見つかっていて、好んで食べているようだ。

今回、発見されたコハクオナジマイマイは兵庫県丹波市の「青垣いきものふれあいの里」に展示されており、その数は約20匹ほどだ。尋ねてみたところ、繁殖させる予定はないという。

一風変わったカタツムリ、コハクオナジマイマイのコラムを執筆しており、今回の発見の知らせを受けた、「兵庫県立大/県立人と自然の博物館」の鈴木武研究員に話を聞いてみた。

透明なカタツムリは他にもいる

ーー丹波地域では初めて確認されたが、透明なカタツムリは珍しい?

「透明」という表現は、殻が薄くて、本体(肉や内臓)が透けて見えるという意味で使っています。
野菜を食べるウスカワマイマイ、たまに見かけるコベソマイマイなど、殻が透けて見える種類はそれなりにいますし、普通種のカタツムリ(東京あたりではミスジマイマイとか)は、成長途中の個体では体が透けて見えます。
また、沖縄にはアオミオカタニシという、木につく緑色のカタツムリがいるのですが、この緑色も殻が透けて見えています。
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コハクオナジマイマイ自体は、千葉県の房総半島南部にはかなり定着しているようで個人的によく見かけます。


ーーアオミオカタニシは、タニシとついているがカタツムリ?

カタツムリがどの範囲かは、微妙なところです。陸に住む貝(陸貝)としてしまうと、アオミオカタニシなども、カタツムリの仲間ということになります。ただ、狭い範囲で言うと、オカタニシの仲間はフタもあるので、カタツムリとは言えません。
そういう意味で、先程は緑色のカタツムリという言い方をしました。

アオミオカタニシ

「殻をつくるコストを下げた結果、色が薄くなった」

ーーそもそも、なぜ透明?天敵から身を守る保護色?

陸上では、殻をつくるためのカルシウムが入手しにくいため、透明のようになっています。早く成長するために、殻をつくるコストを下げた結果、薄くなったということでしょう。

地上ではマイマイカブリ、オサムシなどが天敵で、樹上や葉の上では鳥に狙われています。殻はそれらの天敵から、身を守る防御のためについています。


ーー普通のカタツムリとの生態の違いは?

普通のカタツムリは、少なくとも数年は生きるのですが、コハクオナジマイマイは秋に卵を産んで死んでしまう、一年生のカタツムリです。春にまた、子供からやり直します。

よくあるカタツムリは落ち葉を食べていますが、コハクオナジマイマイは「カラムシ」という雑草の、生の葉が好きなようです。フンは普通のカタツムリと変わらず、黒いです。

ーー「コハクオナジマイマイ」という名前の由来は?

近縁種に「オナジマイマイ」というのがいて、これと比べてキレイな黄色や、強い緑が目立ちます。恐らくこれらの色を、琥珀色に見立てたのだろうと思います。


ーー透明なカタツムリ同士の交配でしか、透明なカタツムリは生まれない?普通のカタツムリと掛け合わせたらどうなる?

種を越えての交配は無理ですので、コハクオナジマイマイ同士の交配でしか生まれません。飼育していた経験からすると、一度に産む卵の数は、100~200個くらいだと思います。その後、1~2週間で孵化したと記憶しています。飼育条件下では、ほとんど秋に孵化しているので、おそらく小さい貝で越冬しているのではと考えています。


ーーカタツムリとナメクジ・タニシの違いは?透明なナメクジやタニシもいる?

カタツムリとナメクジの違いは、殻の有無です。タニシは水の中にいて、フタがあります。陸で生育できるタニシの種類は、オカタニシとヤマタニシと呼ばれているものがいます。

透明なナメクジというのはいません。水生のタニシは、カルシウムに不自由していないので、わざわざ殻は薄くしていません。ただし、モノアラガイというのは殻が薄くて、殻には手間をかけていないのでしょう。

透明な殻には、何か神秘的な理由があるのかと思ったが、殻をつくるためのカルシウムが入手しにくいためコストを下げた結果、色が薄くなったということで、カタツムリの世界にもコスト意識があるようで余計に親近感がわいた。