導入の動きが進む「QRコード」決済

「キャッシュレス決済」が広がりつつある。
クレジットカードや、デビットカード、電子マネーなど、現金を使わない支払方法だ。
消費者にとっては、現金を持ち歩かずに買い物ができ、つり銭の受け渡しなどもなくスムーズに会計できるなどのメリットがあり、訪日外国人観光客のニーズも高いとされている。

キャッシュレスのなかでも、このところ、導入の動きが進んでいるのが「QRコード」を使った決済だ。
「QRコード」とは、数センチ四方の正方形のなかに、モザイク状に並べられた白黒模様に情報が記録された2次元バーコードのこと。

買い物をする際、利用客が自分のスマートフォン画面に表示したコードを店側に読み取ってもらう方式と、店が提示するコードを客がスマホで読み取る方式とがある。
クレジットカードや銀行口座、事前のチャージ分からの引き落としなど、事前に登録した方法で、現金のやりとりなしに決済が完了する。

「キャッシュレス決済比率」が低い日本

広がりを見せつつあるとはいえ、日本は、諸外国と比べるとキャッシュレス決済の普及が進んでいないのが現状だ。2015年の経産省の調べでは、「キャッシュレス決済比率」は、韓国が89.1%、中国が60.0%、アメリカで45.0%なのに対し、日本は18.4%にとどまっている。

日本国内でキャッシュレスが普及しにくい背景としては、店舗でのレジ処理が正確な反面、専用端末の導入や運用・維持にコストがかかる点などが指摘されている。店側から、未対応の理由として手数料の存在をあげる声も強い

レジでの現金残高確認に1日2時間半

一方で、経産省が委託した野村総合研究所による2018年の調査では、レジでの現金残高の確認作業に、1店舗1日あたり平均で153分、およそ2時間半かかっている。人手不足に悩む現場にとっては、無視できない業務時間の長さだ。

また、2016年のVISAの調査では、 小売店などで現金しか使えないことに不満を持つ外国人観光客は4割に上り、現在のカード払いのインフラを改善しないと、2020年に訪日客が4000万人に達した場合、およそ1.2兆円の機会損失が発生すると試算されている。

キャッシュレス推進に乗り出した経産省

このままだと、諸外国に大きく水をあけられ、増え続ける訪日客の購買のチャンスも取り逃しかねない。
事態を打開するため、経産省は、今年4月キャッシュレス比率を2025年までに40%に高める目標を掲げ、将来的には世界最高水準の80%を目指すことを打ち出した。

現在、企業の間で使用する規格が異なっている「QRコード」の標準化を進める一方で、キャッシュレス化に取り組む中小事業者の端末導入などを補助するため、来年度予算の概算要求に関連費用を30億円盛り込むことにしている。

「現金主義」からの転換図れるか

日本は治安が良く、偽札も少ないうえに、ATM網などが整備されていて、現金の入手も容易だ。
個人情報が第三者に渡ることに抵抗感を覚える人や、節約のためカードを使わないようにしている人もいる。
根強い「現金主義」からの転換を図り、消費活性化や事務効率化につなげていけるのか。
この秋には、官民による協議会も発足し、「キャッシュレス化」推進の動きがいよいよ本格化する。

(執筆:フジテレビ解説委員 智田裕一)