新型コロナウイルスの影響で危機に陥っている観光業を応援しようと、岩手県岩泉町の男性があるプロジェクトを進めている。動画投稿サイトユーチューブを使って旅行を疑似体験できる「妄想旅行」だ。

岩泉町を代表する観光名所・龍泉洞。洞窟内を進む一人の男性。

奥へ奥へと進む様子がまるでその場に居合わせたような感覚になる。

これは動画投稿サイトユーチューブに配信されている「妄想旅行」と呼ばれる動画。

この動画シリーズの再生数は33万回を超えている。

米田聡さん

「疑似体験風に視聴者がそこを旅行しているかのように、イメージしやすい動画が大事だと思うのでそういうのを心掛けながら動画作ってます」

この動画を制作したのは、岩泉町の仮設住宅に住む米田聡さん。

「趣味は筋トレと読書です」

米田さんは2019年1月までマレーシアにあるGoogle・Youtubeチームで配信者の動画を管理する仕事をしてきた。

そのノウハウを身に着けようと思ったきっかけは「地方創生」。

米田聡さん

「全国の過疎地だとか消滅可能性都市だとかを中心にPR活動をして、インバウンド対策も含めて、地元、地域創成、地方創成できたらいいと思います」

二戸市出身の米田さんは、東日本大震災をきっかけに復興をしていく岩手の姿を多くの人に発信していこうと決意した。動画の知識を身に付けた後、岩泉に移住。

住居として選んだのは台風10号で被災した人たちが住んでいた場所だった。

米田聡さん

「東北復興も考えた時に体験するからこそわかることがあると思うので、仮設住宅には住みたいと思っていました」

米田さんが配信する動画は撮影から編集まで1人で行う。

5月から本格的に動画配信を始めて作成した動画は13本。

フェイスブックやインスタなどのSNSも使って発信しているが、フォロワーのほとんどは海外の人たち。ナレーションが、一切ないことが逆に支持されている。

この日は町内の牧場で撮影。

米田聡さん

「テーマは牛です」

この牧場は1年を通して自然放牧で牛を育てる山地酪農を実践している。

この風景を言葉の通じない海外の人に対しても、その場で見たような気持ちにさせるために様々な角度から撮影する。

米田聡さん

「例えばドローンを使って景色を撮るのは綺麗ですが、旅行者がどの道を歩いてどの道に入って何を買うのかというのを、自分がやって見せるとじゃないと、空ばっかり上からばっかりだと全然旅行のイメージできないので」

米田さんが今「妄想旅行」に取り組むのは理由がある。「新型コロナウイルス」だ。

感染拡大防止の為岩泉町の龍泉洞は4月18日から5月末まで閉鎖。

この間約3万人の観光客を見込んでいたため、観光業は大打撃を受けている。

撮影したこの牧場も本来ならば観光客などが酪農体験できる場所だった。

観光客の受け入れができない牧場を応援しようと作ったのが…中洞牧場の動画。

目線はあくまで旅行者。行ったつもりになる「妄想」をかきたてる。

米田聡さん

「やはり自然ですね。海と山と洞窟があるので自然豊かなところに惚れたのと、食べ物も豊富で魚、肉、山の幸、すべてそろっているところが好きです」

ソーシャルメディアをいかして岩泉の穴場スポットを発信する米田さん。

米田聡さん

「岩泉の事で言うと龍泉洞だけではなくて、魅力あるお店も世界中に情報発信して、世界中の人たちが岩泉に来たいって思ってもらえる様なプロモーション活動を、これからも続けていきたいと思います」

観光に来られない人のために、また、新型コロナウイルスが収束した後に世界の旅行者が来てみたいと思えるように米田さんの妄想は膨らむ。