14億人が運動不足

「WHO・世界保健機構がグローバルな運動不足に警告」
“WHO warning over global lack of exercise”

先週のことだが、英国BBC放送のウェブをチェックしていて目に留まった見出しである。
調べてみると、世界168カ国で実施された合計358の関係調査をWHOの専門家がまとめ、英字誌 「ランセット・グローバル・ヘルス」に掲載したデータを取り上げた記事で、対象者が全部で190万人になる大規模な調査の結果という。

それによれば、”運動不足”の状態にあるとみられる人の数は推計で何と驚きの14億人、世界人口のほぼ4人に1人に達するらしい。21世紀の現代人は余り動かないようである。

クウェートでは67%

地域・男女別に見ると事態はもっと深刻である。

例えば、中南米で男性の34,3%・女性の43.7%、欧米先進国で男性の31.2%・女性の42.3%が運動不足と推計されており、アジアの先進諸国では男性の33.0%・女性の38.3%がやはり運動不足というから、主に先進地域では世界平均を遥かに超えて運動不足が蔓延していることが分かる。

ただし、国別に見てみると差異は更に顕著、かつ、まちまちである。

例えば、クウェート・サウジアラビア・サモアの3カ国で運動不足が50%を超え、先に挙げた先進地域等の平均よりもずっと多い。特にクウェートでは3人に2人の67%が運動不足である。

女性に限ってみると70%超のクウェートや65%超のサウジの他、イラクやブラジルなど計13カ国で運動不足が50%を超えている。そして、半数と大差の無い40%台後半の女性が運動不足の国にアメリカ・南アフリカ・ポルトガル・フィリピン・イタリア・ニュージーランドなど15カ国が入ってくる。

運動不足の定義

反対に運動不足が少ない国を挙げるとバヌアツ・タンザニア・ウガンダなど7カ国で男女共に一桁に留まっている。

こうした違いが出る理由としては、気候や食習慣の違いの他、女性に関して言えば子育てや家事に追われ運動の時間なぞ取れない場合が多い点が考えられるという。また交通機関が発達していない国ほど運動不足が少ないという現実もあると思われる。

ちなみに、ここで言う”運動不足”とは、分かり難くて恐縮だが、適度なエクササイズ・有酸素運動をする時間が週に150分、もしくは、激しいエクササイズをする時間が週に75分のいずれにも達しない場合や、主要な筋肉を全て鍛える筋トレをやるのが週に2~3日に達しない場合などを指すという。

この定義、あくまでも19歳~64歳が対象で、適度なエクササイズの具体例として、早歩き・水中エアロビクス・平地もしくはなだらかな傾斜地でのサイクリング・テニスのダブルス・ハイキング・スケボーなどが挙げられている。

また、激しい運動として、ランニング・競泳・スピードサイクリング・テニスのシングルス・サッカー・ラグビーなどが挙げられているが、皆さんは如何思われるであろうか?

日本人も3人に1人が運動不足

例えば早歩きや平地でのサイクリングが適度なエクササイズに挙げられているのは筆者にはすっきりと納得できるが、その他の運動はどの程度真剣にやるかによって大分変わってくるように思える。結局、あくまでも目安ということなのだろうと理解するしかないが、BBCの記事に拠れば手押しの芝刈りが適度なエクササイズに含まれているのはご愛嬌である。

日本の運動不足は男性33.8%・女性37.0%でほぼ3人に1人、やはり多い。

ただし、都会で通勤ラッシュ時に早足で階段を上り下りしたりする時間は適度なエクササイズに十分値すると思うが、こうした時間が調査回答に含まれているか否か筆者には不明である。

シリアやアフガニスタンなど内戦が続いている国の調査は無い。
北朝鮮の調査結果も無い。
世界の全ての国のデータが揃ったまとめ結果をできるだけ早く見てみたいものである。

ご興味のある方はthelancet.comに行き、The Lancet Global Healthを探ればデータを確認できる。

(執筆:フジテレビ 解説委員 二関吉郎)