アスリートだからこそ聞けることがある。

6月28日放送の『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)では、番組にゆかりのある元アスリートらが独自のネットワークを駆使し、現役アスリートを取材。自粛中の出来事や新しく始めたことなど、聞き手がアスリートだからこそ引き出せる、現役アスリートの素顔に迫った。

柔道・阿部詩は天然!?

ロンドン五輪柔道女子78キロ超級・銀メダリストの杉本美香さんがリモートでインタビューしたのは、京五輪柔道女子52キロ級日本代表の阿部詩選手。

2018年、2019年と世界柔道選手権大会で2連覇を果たし、東京五輪では金メダルを期待されている超新星だ。

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まず、杉本さんが最初に聞いたのは「東京五輪の延期が決まったときの心境と今の心境」について。阿部選手は「延期になったので目標が変わったとか、やるべきことを見失うとかはなく、1年後もまだまだ自分は強くなれると思いました」と前向きに捉えているという。

練習している大学が閉鎖されたため、自宅でトレーニングをしているという阿部選手は、「柔道着の感覚を忘れたらいけないので、触ったり、握ったりしています」と明かす。実際に握っているところを見せてもらうが、手元がカメラに写らないというハプニングもあり、阿部選手の天然な一面を見せた。

自粛中は料理を始めたという阿部選手。「料理はしたことがなかったんですけど、親子丼を作って、料理は意外と簡単だなと。やってみることに意味はあるのかな」と話した。

さらに、料理以外では「家の掃除」をしているといい、「トイレを掃除したらキレイになる」と阿部選手が言うと、杉本さんは「掃除したら全部キレイになる!」と冷静にツッコむ。

阿部選手は「トイレを掃除したら顔が美しくなるって聞いたことないですか?」と話を続けていく。すると、「トイレを掃除したらかわいい子どもが生まれる」と近くで聞いていた阿部選手の母親が正確に伝わっていなかった“教え”を耳打ち。自身の勘違いに阿部選手は照れ笑いを浮かべていた。

スタジオではさらに、阿部選手の天然エピソードを紹介。

試合の感覚が鈍らないようにイメージトレーニングをしていると言うが、その相手は「カマキリ」だという。マンガ『グラップラー刃牙』に影響されたそうだが、番組MCの浜田雅功さんが「イメトレになるの?」と首をかしげる。

すると、ゲストの武井壮さんは「柔道は間違いなくなります!組み手争いと近い感覚!」と話した。

奥さんへのプレゼントが不評?

2006年にトライ世界記録保持者になった日本ラグビー界のレジェンド・大畑大介さんの取材相手は、ラグビーW杯2019日本代表・田中史朗選手。最高峰のスーパーラグビーで、日本人で唯一の優勝を経験している選手だ。

現在はキヤノンイーグルスでプレーする日本を代表するスクラムハーフ。大畑さんと田中選手は大学ラグビーの名門・京都産業大学出身で先輩後輩の関係。

厳しい上下関係があり、“先輩の言うことは絶対”だという田中選手に、大畑さんが「家の中をちょっとだけ見せて!」とせがむと、リモート専用の部屋から生活スペースへと移動してくれた。

そこにはニュージーランドのチーム「ハイランダーズ」に所属していたときの切り絵やラグビーボール、スーパーラグビーの優勝カップなど、海外で活躍していたからこそのお宝が。

さらに奥さんの誕生日プレゼントにあげたという自身の3Dフィギュアも公開。田中選手は「喜んでくれるかなと思ったんですけど、全然ダメでした」と苦笑。大畑さんもこの話に同感し、「昔、自分のユニフォームを妻にプレゼントしたら『なに、この汚いの』と言われました」と笑った。

スタジオでは大畑さんがリモート取材について「奥さんも出てくれて、いい話をいっぱいしてくれたんですけど、番組が番組でしょ…。良い話はガッサリ落される。(テレビで)流しても浜田さんに切られるし。でも、奥さんが(田中選手へ)『お酒の飲み方に気を付けて欲しい』と言っていたので、僕がガツンと言ってやりました」と“先輩”らしさを見せた。

やっぱり吉田沙保里はスゴイ?

サッカー元日本代表で俊足のディフェンダー・坪井慶介さんが取材したのは、日本代表としても活躍し、現在は俊足を生かし、守備の要として鹿島アントラーズを支える内田篤人選手。

仲よさそうな雰囲気を醸し出す2人は、日本代表の合宿で一緒になって以来、年齢は8つ違いだが、「坪さん」「篤人」と呼び合うなど親しい関係。

坪井さんは“内田篤人に聞くこと!”と質問事項をピックアップしたノートを持参。「小ネタから大きいネタが出るまで帰らないから!」と気合い十分で取材に挑んだ。

新型コロナウイルスの影響で開幕が7月4日までずれ込んだJリーグ。いまだかつてない異常事態に内田選手は、「Jリーグがいつスタートするか分からないので、自分たちの体作りとか、コンディションをどこら辺まで持って行ったらいいかハッキリしない」(取材時は開幕の日程が未定だった)と困惑ぎみに明かす。

練習はスタートしているというが、内田選手は「監督の話を集まって聞くときは2、3メートルあけて。ボトルも今までごっちゃだったのが、自分で管理して自分で作る。グループごとで時間を分けて、ロッカーでも会わないように徹底管理しています」と話した。

自粛中には短距離走の福島千里選手や元女子レスリング日本代表の吉田沙保里さんに連絡を取っていたという内田選手。「自分の年齢が30歳を超えてケガも多くなって、スピードや筋力、持久力を伸ばしたくて、プロテインを摂取しなければいけないと思って、(福島選手に)『何、飲んでいるの?』と聞いたら『紫のやつ!』って。それ飲んだら速くなれるかなって聞いたら『速くなれますよ』って言われました」と笑う。

また吉田さんには「体のケアをするゴッドハンドはいないかと聞いたんです。そしたら『私ケガしないから分からない』」と言われたといい、それを聞いた坪井さんは「やっぱり、霊長類最強だな」と爆笑していた。

自粛中に人生初の家庭菜園!

サッカー元日本代表でディフェンダーを務めた中澤佑二さんが取材したのは、ハンドボール界のレジェンド・宮﨑大輔選手。中澤さんと宮﨑選手は『ジャンクSPORTS』を始めとするさまざまな番組で共演したことで、競技の垣根を越えて親しくなったという。

自粛中に“コロナ太り”したという宮﨑選手は「家に引きこもっても今まで通り食べちゃうので、5キロくらい太りました。ヤバいと思って、夜中に走り込んだり、マンションの非常階段でダッシュしています」と明かした。

自粛中には人生で初めてとなる家庭菜園も始めたといい、「ピーマン、枝豆、エゴマ」を育てていると告白。

現在、日本体育大学に再入学し、東京五輪代表を目指す宮﨑選手は、「今年39歳、東京五輪で40歳。アテネ五輪に出場していたら(今、ハンドボールを)やっていない」と振り返る。

アテネ五輪で出場を逃したからこそ、一度も出場したことがない五輪への思いをはせ、どんな状況になろうとも諦めないという。

そして宮﨑選手は「やっていて良かった!と思える競技にしたい」とハンドボールをメジャーにしていくという熱い思いも明かした。

“コロナ離婚”に共感!?

質問することを入念に下読みしてリハーサルするボクシングの元世界3階級制覇王者の長谷川穂積さんが取材した相手は、WBSSバンタム級初代王者の井上尚弥選手。

4月に予定されていた試合が新型コロナウイルスの影響で延期になり、自粛中の生活について井上選手は「ジムには全く行けず。スパークリングは出来ていないが、体の状況は1週間後にも試合ができる状態」と自信を見せた。

さまざまなスポーツで実施されている無観客試合については「WBSSの決勝ドネア戦も仮に無観客だとしたら、内容はぐんと差が出るくらい変わる。自分のパフォーマンスを100%出すなら無観客はどうなのかな…」と不安を述べつつも「状況が状況なので仕方がない」と話した。

さらに、長谷川さんは“コロナ離婚”の話題にも。井上選手の家庭の状況について尋ねると「“コロナ離婚”という言葉ができるのはちょっと分かります。子育て論だったり、ぶつかります」とこぼした。

すると長谷川さんは「俺はテーブルに行ったら家族がソファーに。ソファーに行ったら家族がテーブル。俺が寝たら家族でトランプしている」と思わず、後輩相手に本音トーク。井上選手も長谷川さんの話を聞き「完全にハブられてる」と苦笑していた。

今まで“利き足”じゃなかった?

武井壮さんが取材したのは、日本屈指のスプリンター・小池祐貴選手。日本人3人目の9秒台を出し、東京五輪でのメダル獲得も期待されている。

荒川の河川敷を走って練習をしているという小池選手は、陸上選手が最も気にする体重の管理を「1ヵ月で1キロ前後は減っている。感触は軽い」と明かし、家で行っているトレーニングを披露した。

来年の東京五輪に向けての秘策を「もともと利き足は左。昔、故障したり、いろいろあって右足でスタートしていたので、ここ数年利き足でスタートできていなかった」という事実を告白。

利き足で蹴り出すことが定説だが、ケガのため利き足でスタートできていなかったというが、「仕方がないと思って右足を使っていたのですが、そろそろ左に戻そうかな」と明かす。

利き足ではない方の足でスタートし、9秒台を出した小池選手。東京五輪の延期について「今年の自分より来年の方が足が速い」と強気でいた。

さらに、自粛期間中にはアスリートたちがさまざまなトレーニング動画を公開していたが、杉本さんいわく「トレーニングが難しい!」ということで、杉本さんが実践するスニーカーを使った“超簡単トレーニング”を披露し、永島優美アナが挑戦した。

その他、番組では女子ゴルファーの勝みなみ選手、小祝さくら選手、河本結選手、新垣比菜選手の4人が行ったリモート女子会の様子も公開した。

(『ジャンクSPORTS』毎週日曜日夜7:00~8:00放送)