街中にあふれるニセモノ品の数々

東南アジア有数の大都市タイ・バンコク。外国人観光客にも人気のナイトマーケットや、有名な通りを歩いてみると様々なお土産品が店頭に並んでいる。その中でも圧倒的に多いのが…シャネルやルイヴィトン、イッセイ・ミヤケのバオバオといった高級ブランドのニセモノ商品だ。

ブランド品だけにはとどまらず、日本の人気キャラクターのニセモノも。オリジナルとは微妙に違うキャラクターのペンやグッズが、街のあちらこちらで売られているのだ。

こうした商品は今や店頭だけでなく、ネット上でも拡大している。フェイスブック上にあるニセモノ販売サイトでは、模造品をあたかも「本物」のように偽装し、「今だけの特価」とうたい、堂々と販売が行われている。

こうした東南アジアに氾濫するニセモノの背後にいるのが中国だ。

9割以上が「中国製」…背景に「一帯一路構想」も?

これはタイの人が、中国国内にあるバッグ製造工場を視察した際に撮影したものだ。棚には高級ブランド品にそっくりなカバンが並べられている。現在、タイで出回っているニセモノ品の9割が「中国製」とみられている。

Youtubeより

なぜ、中国からタイになぜこれほどニセモノが流入しているのだろうか。

タイは、中国とは国境を接していない。しかし最近では、中国と国境を接する隣国カンボジアやラオスとの陸路が開けつつあることや、中国が提唱する「一帯一路構想」などで国境を超えた開発計画が活発に進められており、こうした背景から、中国からの陸路によるニセモノ流出入が増えていると考えられている。

タイだけで日本企業「年間数十億円の被害」

こうした知的財産侵害は日本企業にも大きな損害を与えている。タイでは年間約 8000 件程度特許出願されているが、日本からの特許出願件数は全体の約 40%以上と最多だ。年間の損害額は数十億円にも上ると見られている。

こうした中、タイ・バンコクでは9月18日、タイの税関職員など120人を対象に、日本企業の正規品の見極め方をレクチャーするセミナー(JETRO主催)が開催された。会場にはバオバオのイッセイ・ミヤケや、パナソニック、トヨタ、ヨネックスなどの日本企業がブースを設け、タイの当局者に向けて模倣品と正規品の違いを説明した。知財侵害の被害を防ぐためには、水際対策を行っているタイ当局者の努力が欠かせないからである。

タイ当局は対策強化も…

タイ政府もこのような状況を重く受け止め、最近では本格的な知財侵害への取り締まり強化を行ってきている。9月3日にはプラウィット副首相が音頭を取り、国内で押収した偽の衣料品や、偽携帯電話など約210万点をメディアの前で廃棄処分するパフォーマンスを行い、知的財産保護に取り組む姿勢をアピールした。

こうした取り組みが評価され、タイは米国通商代表部(USTR)による「スペシャル301条年次報告書」における「優先監視国」だったが、2017年から「監視国」に格上げされた。しかし、次々と流入するニセモノに対処しきれていないのも現状だ。

今後、中国による一帯一路構想が具現化していくと、貿易量拡大に伴う模倣品のさらなる流入増加は避けられないとみられる。いたちごっこかもしれないが、タイなどの水際対策は更に重要性を増すとみられている。ニセモノのメイド・イン・チャイナ問題は、これからも各国当局者の頭を悩ませることになりそうだ。

(執筆:FNN バンコク支局長 佐々木亮)