ゴマ饅頭みたいなアザラシ

彼岸も過ぎ、すっかり秋を感じる季節となった。
まだ薄着で過ごす人も少なくないが、夕方になると、寒さに身を縮めて歩く姿を見かける。

どうやらこの時期に「丸くなる」のは人だけではないようで、水族館で目撃されたある動物の信じられないくらい丸まった姿が、ツイッターユーザーによって撮影された。
丸い置物に顔のシールを張り付けたようにも見える衝撃の写真は、多くの人の視線を釘づけにしている。

投稿写真には及ばないかもしれないが、普段から見せているという“丸すぎる”姿をご覧いただきたい。
全身からかわいさが溢れ出ているので、覚悟して見てほしい…!



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ふっくらとした体を氷上に横たえる1頭のアザラシ。輪のような斑点模様が特徴的だ。
しかしこのアザラシ、あまりにも丸い。
本来の流線型から大きく逸脱したまん丸のフォルムはかわいくもあり、堂々たる佇まいには威厳も感じられる。

この姿で人気を集めているのは、大阪の水族館「海遊館」にいるワモンアザラシのユキちゃん(10歳・メス)。

写真を見たユーザーからは、「首どこいった?」「おはぎかと思った」「漬物石にも似てる」といったコメントが寄せられ、さらに、きな粉のおはぎの隣にユキちゃんを合成してその類似度を比較する画像も作られるなど、大きな反響を呼んでいる。

模様も相まって、餡子がたくさん詰まったゴマ饅頭のように見えるユキちゃんには、「食べ過ぎで太っているのかな」という心配の声も寄せられた。
健康状態に問題はないと信じたいが、なぜこんなにも丸いのか?

ワモンアザラシの習性やユキちゃんの性格について、飼育員の酒井さんに話を伺った。

「寒さ対策」のポーズが “小顔” 故に…

ーーユキちゃんはなぜこのような体に?

投稿された写真では足と尾ひれが見えませんが、それは撮影角度によるもので、ちゃんと付いていますから安心してください(笑)
真正面からだと足も見えますよ。これは、肩をすぼめた状態です。
北極圏や北海道などの寒い地域に生息しているワモンアザラシは、首の周りの血管を冷やさないようにするため、寝る時には顔を引っ込めて体の脂肪で包みます。急所を守るという意味もあるのですが、ちょうど寝る直前のくつろいでいるところを激写されたみたいですね。


ーー太っているわけではない、ということ?

海遊館では、ユキの他に3頭のワモンアザラシを飼育していますが、みんなこのポーズをします。
ワモンアザラシは、他の種類に比べて小型で脂肪が多いため丸く見えやすい上に、ユキは特に顔が小さいので、首を引くと体にスルッと埋まって一体化してしまうようです。

仲良くお昼寝(左:ユキちゃん  右:アラレちゃん)

ーーどんな物を食べている? 食いしん坊なのでは?

シシャモ、アジ、オオナゴなどの魚を与えています。
ユキは普段はおっとりとした性格ですが、エサの時間になると活発になります。
飼育員が準備している扉の前まで一番乗りでやってきたり、仲間たちの分の魚も欲しそうに見ていたり、空になったエサ入れの中に頭を突っ込んだりする「食いしん坊」です。
1~4月の繁殖期に向けて体重が上がっていく時期ではありますが、海遊館では個体別にエサの量を管理しています。
ユキは24日時点で50.6kgと、平均的な体重を保っています。


ーー好きな遊び・得意技は?

ユキは仲間たちよりも陸に上がっていることが多いですね。お客さんたちにも寝ている姿をよく見せています。
先ほど言ったようにかなりの食いしん坊なので、水槽内に積もっている雪もおいしそうに食べてしまいます!
ワモンアザラシにとって雪は身近なもので、出産時は外敵から身を守るために雪を掘ってかまくらを作ります。
その時に掻き出した雪を食べる姿は野生でも時々確認されているのですが、ユキは去年、大量の雪を食べて水分の過剰摂取となり、低ナトリウム血症を起こしてしまいました。
すぐに治療して元気になりましたが、防止策として、塩分バランスを保てるよう雪の上に塩を撒いたり、大きめの氷を混ぜたりして、食べ過ぎないよう工夫をしています。
得意技は特にないのですが、健康状態を診るためのトレーニングは誰よりも張り切っています。
エサがもらえるからかもしれませんが、傷がないか確認しやすいように元気にバンザイをしてお腹を見せてくれます。


ちなみに、雪が大好物だから「ユキ」と名付けられたというわけではなく、仲間の3頭(アラレちゃん・モヤくん・フブキくん)とおそろいの天気にちなんだ名前を飼育員たちが考えたということだ。

粉氷(大きめにカットされた氷)に興味津々のユキちゃん

さまざまな丸いスイーツに似ていると指摘されたユキちゃん。
海遊館では、ジンベイザメをイメージした青と白のソフトクリーム(ラムネ&バニラ味。斑点模様は砂糖菓子で表現)やメロンパンなどを販売しているが、ユキちゃんとのコラボ商品の可能性はあるのか?

酒井さんによると、「親バカな飼育員たちの間では、新しい目玉になるのでは!? と話しています」ということで、商品企画を担当するチームにアピールしているところだと話してくれた。
新商品誕生の可能性を察知しているのかいないのか、ユキちゃんは取材した27日夕方も「しっかり自分の分のエサを平らげて、ご機嫌で寝ようとしています」と、変わらぬかわいらしさを発揮していた。
みなさんもユキちゃんに癒されに、週末は海遊館へ会いに行ってみてはいかが?

(画像提供:海遊館)