山あいの道路で起きた不可解な事故

北九州市八幡西区で起きた不可解な交通事故。現場は山あいの道路で街灯は無く、夜は車の通りが殆どないような場所だ。

ここで事故を起こした1台の軽乗用車の中から男女3人の遺体が見つかった。しかし、その死亡の理由についてはいまだ多くの謎が残されている。

4月23日、事故が発覚した当時の現場映像。問題の軽乗用車はガードレールに衝突し、停止した状態で発見された。辺りは暗く、水色の車の周りで警察が何か調べている。

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鑓水航記者:
事故の現場はトンネルを出て、約50メートル先の比較的緩やかなカーブです。そして衝突したガードレールを見ると、黒い痕は残っているものの凄惨な事故が起きたとはなかなか思えないような状況です

車に乗っていたのは親子3人。運転席には60歳の母親が、助手席には29歳の次男が、そして後部座席には30歳の長男が座っていた。軽乗用車はトンネルを抜け左カーブへさしかかった際、対向車線を越えてガードレールに衝突したと見られている。

警察が保管している事故車両。しかし車体を調べてもヘッドライトが割れている程度で、大きな事故だったとは考えられない。なぜ3人は死亡したのか。

疑問①3人の死因は?

車体の損傷の程度は小さかったものの窓ガラスに目を向けると、すすが付着していることが分かる。車の中で火事が起きたのか。助手席も焼け焦げていた。

ここで浮かぶのが2つの疑問。3人は事故で亡くなったのか。それとも車内の火事で亡くなったのか。答えは3人の喉にあった。

警察が遺体を司法解剖した結果、3人の気道にはすすがあり、やけどの痕があった。つまり3人は亡くなる直前、煙を吸い込んでいたのだ。こうした事実から警察は3人の死因が事故によるものではなく、車内で起きた火事による「焼死」や「火炎ショックによる心肺停止」と断定した。

疑問②なぜ火事は発生?

ではなぜ火事は起きたのでか。衝突事故を起こしたあとエンジンから出火したのか。しかしボンネットには焼けた痕はない。

疑問を解く鍵は車内の別の場所にあった。激しく焼け焦げていた助手席の足元からあるものが見つかっていたのだ。

鑓水航記者:
親子が乗っていた車の助手席から、ガソリンの携行缶が見つかりました

携行缶の中には少量のガソリンが残っていた。しかも携行缶のフタは車内になかったという。

疑問③自殺の可能性は?

では何の目的でガソリンの携行缶を積んでいたのか。自殺を図った可能性はあるのか。
3人が暮らしていた北九州市の団地で取材すると。

近隣住民:
(母親は)あっさりしてものすごいいい人やったんよね。下向いて歩くような人やなかった

近隣住民:
息子さんたちも会ったら絶対「こんにちは!」と元気に挨拶してきよった人たち

ーー思い悩んでいた様子は?

近隣住民:
ないない。そんなこと微塵も見えんかった

親子は明るい印象で「思い悩む様子はなかった」と住民たちは口をそろえる。警察も3人が自殺を図るならば車を止めて火をつけていたはずで、自殺は考えにくいとしている。

疑問④走行中になぜ出火?

では、何が原因で車の走行中に火が上がったのか。警察が注目したのは30歳の長男が座っていた後部座席から見つかったライターとたばこ1箱。走行中に喫煙し、ガソリンに火がついたという可能性はあるのか。

専門家に聞くと…

九州工業大学 青木隆昌さん:
火のついた、たばこの先端というのは約800度を超えると言われておりますので、それも着火源に十分なり得る

ガソリンの携行缶は蓋がなかったことからガソリンが気化し、喫煙によって爆発的な火事が起きた可能性は排除できないという。また別の可能性も…

九州工業大学 青木隆昌さん:
静電気はガソリンの着火に十分なエネルギーを持っていますので、ナイロンなどの合成繊維とか、衣服の摩擦で容易に起きます

静電気によっても気化したガソリンに火がつく可能性はあるという。3人は発見当時、全員がシートベルトを着用したままだった。逃げる間もないくらい一瞬の出来事だったのだろうか。

一体何のためにふたがない携行缶を積んでいたのか。3人の死にはいまだ謎が多い。

(テレビ西日本)

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