生まれていない双子が生まれたとウソの申請をして、出産育児一時金をだまし取った疑いで、ベトナム人の会社員の男が逮捕された。

「双子が生まれた」ウソの申請

警察車両の後部座席に座った男。カメラのフラッシュの中、うつむいたまま微動だにしない。

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詐欺の疑いで逮捕されたベトナム人の会社員チャン・アイン・クアン容疑者(33)だ。

チャン容疑者がだまし取った疑いが持たれているのは、「異次元の少子化対策」として増額されるなど大きな話題となっている“出産育児一時金”。

チャン容疑者は2021年、子どもが生まれていないにもかかわらず、「ベトナムで双子を出産した」とする虚偽の書類を提出し、加入している全国健康保険協会から、子ども2人分の一時金80万8000円をだまし取った疑いで5月23日に逮捕された。

なぜそのようなことができるのだろうか。

全国健康保険協会のホームページ。
「海外で出産した場合でも、出産育児一時金の申請はできますか?」という質問に対して、「ご申請いただくことができます。」とある。

一時金は、海外で出産した場合も支給の対象。

申請書には、出産した国を記載する欄もある。

原則、出産を担当した医師や助産師などの証明書が必要だが、取れない場合は代わりの書類でも可能。

ただし申請する人は、出産した医療機関に協会が照会することに同意しなければならない。

チャン容疑者の場合、当時の支給額は、子供1人当たり40万4000円で、双子の場合は2人分受け取ることができる。

こうした制度を悪用し、チャン容疑者は実在する他人の名前で支給が2倍となる「双子を出産した」とウソの申請書類を提出したとみられている。

同様の手口で1600万円以上受給か

チャン容疑者は結婚をしているが、当時家族に出産の事実はなかったということだ。

今回、全国健康保険協会から警視庁に被害の相談があり発覚。

自宅や職場などの家宅捜索を行ったところ、複数の申請書類が押収され、その中から虚偽の内容が記載されているものも見つかったということだ。

警視庁の調べに、チャン容疑者は、「まったく知らないことです」と容疑を否認している。

警視庁はチャン容疑者が、同様の手口で20件以上1600万円以上の一時金をだまし取っていたとみて調べている。


(「イット!」5月25日放送より)