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(左より、商品企画部門の藤本、技術部門の中田、マーケティング部門の坂本)


SDGsやカーボンニュートラルなど、世界の環境意識が高まり続ける昨今。企業においても環境負荷軽減のため、さまざまな取り組みが行われている。そのような中、パナソニックは、乾電池「エボルタNEO」と「エボルタ」において、地球環境に配慮した電池パッケージの開発に挑戦した。紙パッケージにすることで使用する梱包材使用量を現在よりさらに削減し、環境負荷低減を目指した本取り組み。従来のパッケージと変わらない使いやすさ、耐久性を維持する点に苦労を要したという。たかがパッケージ、されどパッケージ。細やかに施された各種工夫やどうしても実現させたかったこだわりについて、担当者に聞いた。


■動画:「エボルタNEO」「エボルタ」エシカルパッケージ開発ストーリー【パナソニック公式】

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https://youtu.be/oThLRIcazUA



<担当者プロフィール>

藤本 卓

パナソニックエナジー株式会社 エナジーデバイス事業部

マーケティング部 一次電池商品企画課


中田 早百合

パナソニックエナジー株式会社 エナジーデバイス事業部

 商品技術部 意匠・包装設計課


坂本 凌雅

パナソニックエナジー株式会社 エナジーデバイス事業部

国内営業部


■社内の環境意識の高まりとともに「エシカルパッケージ化」に着手

2050年までに、3億トン以上のCO₂排出量削減貢献を目指す「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げ「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に取り組むパナソニックグループ。環境と生活の調和を実現することが全社挙げてのミッションだ。そのためあらゆる商品開発の現場では現在、この目標達成のための努力が日々積み重ねられている。そしてその取り組みは、エコな商品としてすでに高い評価を得ている商品についても例外ではない。

“長もち・高性能”で名を馳せている乾電池「エボルタNEO」「エボルタ」。本商品にふさわしい、環境にさらにやさしいパッケージを開発するというプロジェクトも、そうした全社的な流れ、社員たちの環境意識の高まりの中で立ち上がってきたのだった。


そもそも「エボルタNEO」は2017年、「世界一長もちする単3形アルカリ乾電池」というギネス認定を受けた日本を代表する乾電池。長もち=電池を廃棄する頻度が下がるという特長をもっており、すでに環境保護に大きく貢献している商品だ。しかし、“環境にやさしい商品”と大きな自負を抱く一方、社員たちの中には、このような想いも徐々に生まれてきたのだった。


「ではパッケージはどうだろうか? パッケージも『エボルタ』シリーズにふさわしい、もっとエコな包装に変えられるのではないか?」


電池商品のパッケージ仕様は主に2つのタイプが存在している。薄いプラスチックフィルムで電池を包んだシュリンクパッケージと厚紙の台紙にプラスチックカバーを付けた、吊り下げ陳列向けのブリスターパッケージだ。前者はプラスチックが中心のパッケージだが、電池本体とパッケージが密着していて無駄がなく輸送効率も高いため、ごみの排出・環境への負荷は限りなく最小化されている。一方後者は、台紙やカバーに厚みがあり材料の使用量が比較的多く、複数の材質で構成されるため分別廃棄の手間がかかる。既に再生紙・再生PETを採用し環境保護のための工夫が施されているものの、さらなる環境負荷低減を実現すべく、ブリスター仕様の素材・形状を抜本的に改善する取り組みに着手した。包装材使用量を最大限減らしながら、今と変わらぬ扱いやすさを実現したい。より環境にやさしい商品に生まれ変わらせるべく、「エボルタNEO」「エボルタ」のエシカルパッケージ化が始まった。

なお、この「エシカルパッケージ」という用語はパナソニックの造語で、「環境負荷の低減と使いやすさを両立し、エシカル消費(環境課題の解決を考慮した消費行動)を促進するパッケージ 」ということを意味し、包装材使用量や包装材質の変更を施したパッケージを指している。


■紙主体のパッケージで、変わらぬ耐久性とサイズ感を本当に実現できるのか?

エシカルパッケージ化にあたり、マーケティング部門の坂本はこのように話す。

「店頭では売上を最大化するため限られた売場スペースの中で日々工夫を凝らした陳列を行っています。パッケージが変わっても今までと変わらず同じ数を並べて置けるよう、従来品と大きく縦横のサイズや形を変えないこと、さらに電池である事が一目でわかり、ハイグレード感がお客様に伝わることが営業として譲れないポイントでした」。


さらなる環境負荷低減の観点から、新しいパッケージを紙主体でつくることにしたのだが、そうすることで従来パッケージよりも見た目や品質、陳列性が下がっては元も子もない。単に紙パッケージに切り替えれば良いという単純な話ではないのだ。商品企画部門の藤本はこう続ける。

「店舗で商品を吊り下げて販売している間、新しいパッケージでも劣化したり破れたりしないこと、商品をしっかりと保護し電池の性能・品質を損なわないこと 、そして生鮮食品の水滴などがパッケージについてもしみ込まず中の電池は濡れないこと、が至上命題でした」。

従来と変わらないサイズ、変わらない耐久性を新しいパッケージでも実現する。そしてそのハードルを、濡れるとプラスチックよりもしみ込みやすい「紙」を使って越えること。これが技術部門に課された大きなミッションだった。


■ひとつひとつ生み出していった、紙パッケージの各種工夫とは?

(紙主体のパッケージにも関わらず、水への高い耐久性も実現している)


このミッションを実際に担当した技術部門の中田は、どのようにしてそうした課題を乗り越えていったのか。

まず耐久性確保のために施した工夫はこうだ。

店頭においての、棚からの出し入れに耐え得るパッケージを紙でつくろうとすると、それなりの厚みが必要となる。また、あまり厚くし過ぎてしまうと、ブリスターパッケージに比べかえってゴミの量が増えてしまう。

そこで中田は、紙を主体とし、耐久性向上のため樹脂を組み合わせた材料を採用した。そうすることで、コピー用紙並みに薄くても十分な耐久性を持たせることができ、ゴミの量も削減できた。さらに、樹脂を一部組み合わせたおかげで、少々の水であれば中の電池は濡れず、商品の性能、品質を損なうことがない紙パッケージを実現できたという。


中田の細やかな工夫はさらに続く。何度もコンビニなどに足を運び、他社製品含めさまざまな袋の商品を観察した結果、紙パッケージの吊り下げ穴形状は丸穴に決めた。紙パッケージは袋状にしてその中に電池を入れる仕様に整えた後、求められる耐久性も確保できるよう、吊り下げ強度試験や高温多湿試験を何度も繰り返し、穴の大きさや位置などを決めていった。

(左が従来品、右が今回開発された紙パッケージ)


紙パッケージに切り替えても、耐久性を確保できる大まかなめどはついた。しかし、営業から強く求められていた「変わらぬサイズ感」には頭を悩ませた。

先に述べたように紙パッケージは袋状になっており、中に電池を入れる仕様になっているのだが、このような仕様に加工するには、パッケージサイズは大きい方がやりやすい。しかし、大きくしてしまうと「変わらぬサイズ感」は実現できない。

「サイズに対する営業の想いは強かったですね、最後まで『これまでのパッケージと変わらないサイズ感で』とオーダーを緩めなかった。『この厚みとサイズが限界です』と言っても、『あと1mmなんとか』という感じで、つくる側と売る側の事情のせめぎ合いでした(笑)」(中田)。

営業と技術開発の間で何度もそうしたやり取りを繰り返し、最終的にこれまでとほぼ同じサイズ感で店頭展示できるレベルに達することができたという。

(電池を包むプラスチックフィルムも除かれており、袋を開けてすぐに電池をとりだすことができる)


変わらぬ耐久性とサイズ感は達成できた。だが、もうひとつ大事な課題があった。それは、見た目の問題だった。

通常我々が目にする電池パッケージは外からも中の電池が見え、電池は長らくそのスタイルで販売されてきた。そのため、紙パッケージに切り替えたとたん中身が見えなくなったり、電池の種類がわかりにくくなると、買い手が手に取ったとき「これは、自分が買おうとしている商品で本当に間違いないのだろうか」と不安に感じる。そのため、従来品と比べ、できる限り違和感のない見た目のデザインが求められたという。


そのデザイン選定にあたっては約100種類のサンプルをつくり、消費者調査を実施。そうして最終的に、パッケージは平面であるが、本物よりリアルに見える加工を施したデザインに決定した。実物と見間違うほど再現度が高く、お客様が見た時にこれまで買っていた商品との違和感を極力抑えた、こだわりのデザインを完成させた。そして店頭で照明を浴び続けても変色・退色しないインクと印刷方法を採用していったという。


売り上げアップを狙っていない。大切なのは同じように買うだけで環境負荷低減ができていること

数々のハードルを乗り越え、エシカルパッケージ化を実現した「エボルタNEO」と「エボルタ」。商品企画部門の藤本は「実は、エシカルパッケージにしたことでさらに売上を伸ばす、ということはあまり狙っていないんです。それよりも大事だと思っているのは、今までと同じように同じ商品を買っていただいても、結果的に、これまで以上に環境負荷低減に貢献できていること。そういう事実なんです」と説明する。


会社が掲げる目標に対して、今回のパッケージリニューアルが与えられる影響はわずかだ。しかし地道な取り組みなくして大目標の達成はない。藤本は「今後も自分たちにできることをやっていきたい」と次の挑戦を見据えている。











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