去年12月、会社経営者の30代の男性を、手錠をかけて監禁した上で連れ回して暴行し、現金や高級車「ランボルギーニ」を奪うなどした疑いで29歳の男が逮捕された。被害者の男性の交際相手の女から「こらしめて」などと依頼され、犯行に及んだという。
「カレが詐欺師か調べて」
警視庁新宿署によると、逮捕監禁と強盗致傷の疑いで逮捕されたのは、住居・職業ともに不詳の菊地千賢(ちさと)容疑者・29歳。

菊地容疑者は、仲間らとともに、去年12月11日夜、東京・豊島区のマンションで、30代の経営者の男性に、持っていた刃物をちらつかせて、顔を殴り、両手に手錠をかけて監禁。「お前どれぐらい金を持っているの」と脅して、現金およそ107万円や車などを奪ったとされる。
キッカケは、男性の交際相手の女性A子(23)の依頼だった。女性は、インスタグラムを通じて知り合った菊地容疑者に、「カレが詐欺師か調べてもらえないか」「こらしめて欲しい」などと頼んだという。
「詐欺の証拠を探すため」に侵入
菊地容疑者は、昔からの知り合いのB男(22)に「報酬20万円」で犯行の手伝いを依頼。B男は、高校の同級生のC男(22)も誘ったという。実行犯は菊地容疑者を含めて3人となった。菊地容疑者は、A子の自宅マンションに、被害者の男性をおびき出すように指示。

事件当日の午後9時半ごろ、部屋に現れた男性を襲ったという。「お前、詐欺をやっているのか」と問い詰める菊地容疑者。これに対して男性は「いや、やっていないです」と否定。しかし、暴行を加えた上で、現金25万円が入った財布を奪ったとのこと。

それから、菊地容疑者とA子は、男性宅に侵入。名目は「詐欺の証拠を探すため」だったが、室内から、高級ブランドのバッグや腕時計などを持ち出したとのこと。さらに、男性が経営する会社に移動。金庫を開けさせて、中から現金およそ82万円を奪ったそうだ。
「詐欺被害者のためにやった」
被害品は、現金やブランド品だけではなかった。イタリアの高級車「ランボルギーニ」も奪われたという。この間、両手に手錠をかけられたままの男性は、車で連れ回されて監禁され、暴行をうけた。男性が解放されたのは、翌12月12日午前3時半ごろだった。

監禁時間は、およそ6時間にのぼった。男性は、全治2週間のケガをしていたが、その日の午後に、新宿署に被害を訴え出たという。あまりに短絡的な犯行だ。新宿署は、事件発生から3日後の12月14日、A子を逮捕した。
翌15日に出頭してきたB男とC男も逮捕された。一方、菊地容疑者は、出頭せずに、海外に逃亡。その後、フランスに潜伏するなどした末に、今月3日に帰国したそうだ。新宿署は、居場所を確認するなどして、今月13日、菊地容疑者を都内で通常逮捕した。

調べに対して菊地容疑者は「刃物で脅したり、車で監禁したり、現金や車などを奪ったことに間違いない」と容疑を認めている。また、「詐欺の被害に遭った人のためにやったことだ」などと話しているという。供述の真意は分かっていない。