大手AV制作会社「ソフト・オン・デマンド」が経営する飲食店が摘発され、社長らが逮捕された。「AV女優と飲める」を売りにしていたにもかかわらず、接待営業の許可を得ていなかったという。
「大人のテーマパーク」摘発
摘発されたのは新宿区歌舞伎町1丁目の飲食店「SOD LAND」。警視庁保安課と新宿署は、今月14日、風俗営業の許可を得ていないにもかかわらず、女性キャストが、カウンター越しで客を接待しているのを確認し、店長の樋口剛容疑者(27)を現行犯逮捕した。


そして翌15日には、店を経営する大手AV制作会社「ソフト・オン・デマンド」の代表取締役社長・井口翔容疑者(40)を通常逮捕した。容疑は、風営法違反(無許可営業)。
キャバクラやスナック、ラウンジなど、女性従業員が客を相手に接待行為をする場合、「社交飲食店」としての営業許可が必要とされる。この店では、東京都公安委員会から許可を得ていなかったという。
驚きのオプションメニューの数々
この店は「AV女優と飲める大人のテーマパーク」をコンセプトにしていた。女性キャストがおよそ600人在籍。20代前半で、多くは「ソフト・オン・デマンド」の作品に出演するAV女優だったという。



5つのフロアに分かれて営業していて、「有名AV女優と飲める」フロアや、「新人AV女優と飲める」フロア、「ガールズバー形式」のフロアなど、各フロアで趣向が違っていたそうだ。入館料は1時間3000円、延長料金は1時間2500円。
利用者は、その他に、ドリンク代に加算される形でオプション代を支払う仕組みになっていた。オプション代は、200円~5000円以上。押収されたメニュー表には、AV女優などを売りにしたオプションの数々が記載されていた。”接待営業”であることは明らかだった。(メニュー・オプション表の画像を参照)。
2年4カ月で6億円以上売り上げか
営業時間は、平日は午後6時~午後11時、土日祝日は午後3時~午後11時。女性キャストは1日15人ほどが出勤していて、売り上げは最低でも1日70万円程度。2020年10月から摘発されるまでのおよそ2年4カ月間で、6億円以上を売り上げていたとみられている。

保安課と新宿署が、去年12月、「盛り場対策」の一環として、歌舞伎町の飲食店に対する一斉立ち入りを行った際、「SOD LAND」が、無許可営業だったことを把握。その後、行政指導をしたものの、店側が従わなかったため、内偵捜査を進めて、摘発に乗り出したという。
調べに対して「ソフト・オン・デマンド」の社長・井口翔容疑者は、「逮捕事実については間違いありません」「カウンター越しでも、継続して会話の相手になることが、接待に該当することや接待を伴う営業には公安委の許可が必要であることは十分理解しています」と容疑を認めている。
法人としての「SOD」も立件へ
一方、店長の樋口剛容疑者は、「お店の営業方針に従っただけです」「女性従業員が客の対面に立ち、談笑するのを接待として逮捕されたが、会社の方針に従っただけ」などと容疑を否認している。


保安課は、店の摘発と合わせて「ソフト・オン・デマンド」本社(東京・中野区)家宅捜索した。今後、法人としての「ソフト・オン・デマンド」も立件する方針だ。