東京・豊島区の飲食店で、「落とし前をつけろ」などと店長らを脅し、土下座をさせた疑いで、暴力団の組長ら4人が逮捕された。酒に酔って、店長・店員を取り囲み、暴力を振るうなどしたという。
「少しぐらいサービスしろ」
暴力行為処罰法違反の疑いで逮捕されたのは、指定暴力団・稲川会系組長の新田昭生容疑者(56)や組員ら合わせて4人。

警視庁巣鴨署によると、新田容疑者らは、去年8月29日深夜、豊島区・巣鴨周辺の繁華街の飲食店で、男性の店長と店員に因縁をつけて、暴力を振るった他、土下座をさせるなどした疑いがもたれている。いずれも、新田容疑者の組に所属する構成員や知人だった。
群馬県・高崎市を拠点としている新田容疑者は、この日、何らかの目的で上京していたという。午後11時ごろ、現場の店に入り、酒を飲み始めたという。2~3時間ほど過ごしたところで、かなり酔っていたのか、「少しぐらいサービスしろ」などと要求するようになったそうだ。
「落とし前をつけろ」と土下座
ところが店側が対応しなかったところ、新田容疑者らが暴れ始めたという。接客態度に因縁をつけ、48歳の男性店員を怒鳴りつけた上で、「ケツ持ちを出せ」「俺たちは暴力団だ」などと脅したという。そして男性を取り囲んで、ネクタイを引っ張ったり、腹を殴るなどしたそうだ。

店の防犯カメラには、男性店員が首根っこをつかまれて、床を引きずられる様子が映っていたという。その後、「お前じゃあ話にならないから、店長を出せ」と迫り、対応に現れた28歳の男性店長に対して、危害を加えるような脅し文句を発した新田容疑者ら。
最終的に、「お前が、この店の店長だろう。どう落とし前をつけるんだ」と言って、店長に土下座をさせたという。店長も、同じく、新田容疑者らに暴力を振るわれたのは言うまでもない。2人ともケガはなかった。
「無理やり土下座させていない」
午前2時ごろ、「お店で店員と客のトラブルが起きている」との通報が入り、警察官が店に急行。新田容疑者らが酒に酔っていたせいか、現場の状況がハッキリとせず、その日は、事件化されることはなかった。

後日、改めて店側が事情を説明し、去年10月になってから、被害届を提出。巣鴨署が、捜査に動き、今月5日、4人を逮捕したという。当時、現場には、他にも2人いたが(組員1人、知人1人)、所在が分からなくなっているため、逮捕に至っていないという。
まるでドラマや映画で描かれるような因縁・脅迫・暴行シーンが繰り広げられた訳だが、逮捕された4人は全員が否認。「その場にいたことに間違いないが、無理やり土下座をさせるようなことはしていない」「よく覚えていない」などと話しているという。