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フランスやイタリアとの国境に近い、スイス・ヴァレー州のリッド。
サーチライトに照らされた雪山の斜面に、“木の枝”のようなものが突き出して動いています。

木の枝のようなものが…
木の枝のようなものが…

その正体は「男性の腕」。雪崩によって雪に埋まり、6時間が経過していた男性が、必死に腕を動かし救助を求めていたのです。

動いていたのは雪崩にのみ込まれた男性の”腕”
動いていたのは雪崩にのみ込まれた男性の”腕”

遠目には、とても人の腕とは認識できない状況。しかし、救助ヘリに乗っていた救助隊員は、男性の腕を見逃しませんでした。まさに“奇跡の発見”です。

救急医療救助隊のマチュー・ランベール氏
救急医療救助隊のマチュー・ランベール氏

なぜ、救助隊は男性を発見することができたのか。
「めざまし8」は、男性を発見した救急医療救助隊のマチュー・ランベール氏に話を聞きました。

「諦めず、絶対見つけよう」救助隊員語る“奇跡の発見”

雪崩が発生したのは、2月8日午後5時41分。

スキーツーリングに出かけた男性が、予定の時間になっても戻らないため、家族が捜索を要請。ランベール氏含め、4人が出動しました。
しかし、暗い夜に行われた捜索活動で見えるのは、一面の雪景色。

救急医療救助隊 マチュー・ランベール氏:
動画でも分かるように、月の明かりもないとても暗い夜でした。
実は一回目、その場所を通った時には、気づきませんでした。だが我々は諦めず、「絶対見つけよう」ともう一度そこを飛行しました。

男性は頭と片手のみが雪から出た状態で、6時間以上埋もれていたといいます。

救急医療救助隊 マチュー・ランベール氏:
離陸から1時間後に雪崩が起こった場所を発見して、その奥にライトを当てたら、動画のとおり手を動かしている人を発見しました。パイロットとその動いている物体にライトを照らして、最初は風に揺れている“木の枝”なのかと疑いました。こういうふうに、手だけが地上から出ていて、呼んでいるかのように合図する人は初めてでした。
奇跡的に無事に見つけて、よかったと思います。

ランベール氏が所属しているのは、山岳救助を行うスイスの会社「エアーグラシエ」。
2022年だけでも3000件を超える救助を行った、山岳救助のエキスパートです。

発見された男性は、軽い低体温症はあったものの、けがもなく、無事救助されました。

公益社団法人・日本山岳ガイド協会公認ガイドの橋谷晃さんは、男性を見つけることができた要因を、こう話します。

プロガイド団体「木風舎」代表・橋谷晃さん:
捜索する時にかなり広い視野でものを見ていますので、その中であれ?と思って目に留まるものがあるんですね。それが動いているものなんです。

男性が手を動かしていたことが幸いしたといいます。さらに…。

プロガイド団体「木風舎」代表・橋谷晃さん:
驚いたのは、レスキューヘリが暗い中、夜間に出動しているんですね。これは本当に、普通、日本ではあり得ないことですので。
スイスって山岳航空レスキューでは、本当に世界の第一線をいっていますので、さすが本場の第一線、違うなというのが。正直驚きです。

(めざまし8「NewsTag」より 3月7日放送)