自民党の茂木幹事長は8日、党の会合で、卒業後の所得に応じて奨学金を返済してもらう「出世払い型奨学金」について、「大学院だけだと、どう考えても効果は低い」と述べた。

政府は、修士課程の大学院生を対象に制度を導入する予定だが、茂木氏の発言は、大学生まで範囲を拡大すべきだとの認識を表明したものだ。

「出世払い型奨学金」は、岸田内閣の「新しい資本主義実行計画」で、「在学中は授業料を徴収せず、卒業後の所得に応じて納付を可能とする新たな制度を本格導入することに向け検討する」と明記されている。

そして、2022年12月、文部科学省の有識者会議が、大学院の修士課程を対象に、2024年秋から導入する制度案をまとめている。

また、茂木氏は、奨学金の返済が開始する年収の基準について、現在検討されてれている「300万円」だと、「『出世型奨学金』ではなく『就職払い型奨学金』にもなりかねない」と述べ、対象年収の引き上げも求めた。

さらに、「オーストラリアの場合は、日本円で500万円を超える収入になったら返済が始まるスキームで、教育負担を軽減する上で非常に効果がある」と指摘した。

今回の発言は自民党の少子化対策を議論する会合でのもので、茂木氏は、岸田首相が表明した「異次元の少子化対策」の1つとして、奨学金の拡充に意欲を示した形だ。

政治部
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