岩手県盛岡市で滝村隆規くん(当時7歳)が行方不明になってから、2月5日で16年です。
息子の帰りを待ち続ける母親が手記を公表しました。手記(3種類)全文は次の通りです。
今回、初めて、隆規に向けてメッセージを書きます。
隆規へ
元気にしていますか? おなかはすいていませんか? 寒い思いはしていませんか?
むかしのことを覚えていますか? おじいちゃんおばあちゃんや、おとうさんおかあさんたちといっしょに暮していたときのことです。
あなたは青いバランスボールが好きで、じょうずに遊んでいましたね。
あのころ住んでいたおうちが、あなたの生まれ育った家です。
家族はみんな、あなたが帰ってくるのを待っています。
今、あなたがなんと呼ばれているかわかりませんが、あなたの本当の姓名は「たきむら たかのり」です。
外出したら、よその人にこう言ってみてください。
「ぼくは、『もりおかし しゅっしんの たきむら たかのり』です。どうかたすけてください」と。
あるいは電話できる機会があれば、「110」を押して、同じことを伝えてください。
あなたの無事をひたすら祈っています。
母より
善良な市民のみなさまへ
小学校1年生のとき行方不明になった息子が、今年24歳を迎えようとしております。
その間に、我が家では義父と夫を病で失いました。
どれほど嘆き悲しんでも故人は戻ってまいりませんが、生者であれば、再会できる可能性はゼロではないはずです。
24歳になる隆規が、みなさま方の近隣に住み暮らしているかもしれない、そういった観点をちょっとだけ脳裏に書き加えていただけたら、嬉しいです。
たくさんの方々の目が、心が、いつか、息子の帰還につながると信じています。
こちらからはお願いばかりで心苦しいですが、どうかお許しください。
みなさまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
寒さの厳しい折、どうぞくれぐれも御身をお大事になさってくださいませ。
乱文になりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2023年2月5日
滝村 規枝代
この文章を通じてつながってくださる方々へ
現在の心境について
息子の隆規(当時7歳)が行方不明になったのは、2007年2月5日のことです。この日は学校行事の振替休日で、NPO法人の日中活動に参加しておりました。
それから、今年で丸16年を迎え、卯年生まれの隆規は、二度目の年男になります。12歳のときも、そして今回も、私たち家族は祝してあげられませんでしたが。
隆規が遊んでいた北上川河川敷の舘坂橋付近は市街地で、人ひとりが十数年もひそんでしまうような要害ではないだろうと、私は考えています。
子供の身体能力では川へと降りられる箇所は見受けられず、また誤って転落した形跡もなかったとうかがっているので、おそらくは道路(岩手県道220号線)沿いに歩いたのではないでしょうか。
しかし、平日の(この日は月曜日でした)正午近くに、小学1年生が単独で行動していたにしては、目撃証言が極端に少なく、同行の職員の方が見失って以来、足取りがまったくつかめていないのです。
そこで私は、隆規の行方不明事案には、「見えざる第三者」がかかわっているのではないかと想像しています。
ただ、当時は現在のように、防犯カメラなどが各地に配備されておりませんので、こうした推測を裏づける物証は皆無に等しいと言えます。
もしも隆規の件に関与した人がいるなら、どうか一刻も早く、彼を返してください。
隆規は私にとってかけがえのない息子で、我が家の太陽なのです。
名乗り出なくて結構ですから、繁華街で保護されるよう、取りはからってください。
私は、あの子が無事帰ってくれさえすれば、もうそれだけで充分幸せです。
目撃情報などは盛岡西警察署(019-645-0110)まで連絡してください。