「不登校の生徒を救いたい」
1,885人。
これは2017年度、福島県内の公立の小中学校で不登校になった子どもたちの人数。
その数は、東日本大震災後、増え続けている。

そんな中、福島市の北信中学校では、不登校の子どもをなくそうと、独自の取り組みを始めている。
校内の一角にある、パーテーションで仕切られた「ふれあい学習室」では、授業についていけなかったり、友人関係がうまくいかないなど、さまざまな理由で一度は不登校になった生徒たちが学んでいる。
北信中学校の大越一也校長は、「『保健室登校』とかやったのですが、なかなか不登校は改善されない」と語る。

790人の生徒が通うこの中学校では、2017年度、1カ月以上授業を欠席した生徒は48人いた。
「不登校の生徒を救いたい」との思いで、2017年11月に学校が独自で開設した教室には、現在約20人が通っている。

登下校の時間や学ぶ教科は生徒たち自身で決める
「ふれあい学習室」の担任を2018年4月から務めている山田光裕教諭。
登下校の時間や学ぶ教科は、生徒たち自身で決めるのが、この教室のルールだ。
不登校になった生徒の自宅に熱心に通い、教室に来るようになった生徒同士が、リラックスして会話できるように心がけているという。

山田教諭は、「自分がここにいて活動していいんだなと気付き始めると、子どもたちが、自然に周りとコミュニケーションを取るようになり、今は明るく生活している」と話す。
その結果、教室に通う生徒は徐々に増え、不登校の生徒は、2017年度の3分の1に減った。
しかし、それぞれの家庭の事情もあり、全ての不登校を解消するのは容易ではない。
大越校長は、「学校に足の向かない子どもに、学校に少しでも安心して来ることができるような環境の整備を図っていきたい」と話す。
子どもたちをもう一度、学校へ。
生徒に寄り添う教師たちの試行錯誤が続いている。
学校に復帰できた不登校児は2~3割

2017年度、福島県内で一度不登校になった子供のうち、再び学校に通えるようになったのは、中学生では全体の28.3%、小学生は22.4%で、一度不登校になった子供が再び学校に復帰する難しさが浮き彫りになっている。
不登校になる前に未然に防ぐ対策も同時に求められている。
(取材:福島テレビ)