今週の11月5日は、東日本大震災をきっかけに制定された「津波防災の日」。
災害時のTwitter利用について改めて見直してみたい。

最近では、被災地で救助が必要な際に、「#救助」をつけてツイートするというやり方が話題になっているが、東北大学 災害科学国際研究所の佐藤翔輔 准教授らの調査で、意外な実態が明らかになった。


調査したのは、7月上旬、各地に記録的な大雨をもたらした西日本豪雨。
その際に、Twitterに「#救助」というハッシュタグ付きで投稿された2171件のメッセージを分析したところ、本当に救助を求めていたのは、わずか5.7%だったことが分かった。
その投稿を広めようとする「リツイート」は9.8%で、両者を合わせても15.5%。それ以外の84.5%は、救助要請とは全く関係ない投稿だったという。

佐藤准教授は、2017年の九州北部豪雨でも同様に1058件の「#救助」ツイートを分析し、場所や人数などの具体的な情報を書いた救助要請は7.6%しかなかったとしている。


「#」はハッシュタグと呼ばれ、検索がしやすくなる機能だが、「#救助」がついているのに助けを求めていない大多数の投稿は、いったいどんな内容なのだろうか?
佐藤准教授に聞いてみた。

「#救助」で最も多いツイートの中身

――そもそも、なぜ「#救助」を調べようと思ったのか?

ご存知のように九州北部豪雨ではTwitterの「#救助」による救助要請が話題になりました。
一方、救助要請は「110番」や「119番」への通報が原則ですので、「#救助」が本当に有効に働いたのかが気になり調査をしました。

佐藤准教授らが分類した、西日本豪雨の時、「#救助」を使っていながら救助要請ではなかったツイート内容の上位はこちら。

1位の「ハッシュタグのみ」というのは、例えば「#野村町#大洲市#吉田町#南予#救助」のようにハッシュタグだけしか書いてないツイートのこと。

2位の「西日本豪雨と無関係」については、佐藤准教授は論文の中で、「#救助」が西日本豪雨災害で使われていることを知らずに、または知ったうえで投稿したという2パターンが考えられるとして、実際に投稿された2つの例を挙げている。

・「タイ洞窟の少年,そして救助の方,みんな頑張れ!!」(※タイの洞窟遭難事故は7月10日に全員救助)
・「フォロワー増やしたいから予言やる(中略)#救助#助けて#拡散希望」

そして、3位は「ツイッターで救助要請をする際の注意点」、4位「報道されてない場所でも救助を必要としている人がいるという警告」、5位「救助要請以外の被害状況の報告」と続く。

佐藤准教授らは実際にこれら全てのツイートを読んで内容を分析していったという。
そのうえで、1位2位のものには可能性があるが、それ以外は、いずれの投稿も「悪気がない」ものだったとしている。
しかし、そんな善意の行動が「真に救助を要請しているツィート」を埋没させている点が大きな問題だという。

「#救助」ツイートの投稿を時系列で表したグラフをみてみると、救助要請は「黒」、リツイートは「グレー」に塗り分けられているが、圧倒的に「それ以外」の内容が多く、災害発生時に救助が必要なツイートを見つけることはかなり大変だということがわかる。

――本当に助けを求めている「#救助」を見つけるのは大変なのか?

2つの意味での大変さがあります。
まず、沢山の「#救助」付き投稿の中から、本当に救助が必要なものを探すのが大変であること。
もう一つは、見つかったとしても、それを本当に信じていいのかが分からないことです。

災害時のTwitter利用で気をつけること

九州北部豪雨の時は、助けを求めている「#救助」ツイートは全部で224件あり、それが9万回以上リツートされたが、警察・消防・自衛隊に通報があったのは4件。
実際に救助活動につながったのは1件のみだったという。

佐藤准教授は、災害時にTwitterなどの利用について次のように提言している。
・被災地内(支援を受ける側)の発信は、位置や具体的な内容を記述して発信する必要がある。
・被災地外(支援する側)の発信は、不用な投稿や無関係な発信を控える必要がある。



また、Twitter社は公式ブログに「災害時に119番と110番が使えない場合に救助ツイートをお使いください。」と、まずは警察・消防に救助要請をすべきとした上で、ツイート例を掲載。
ツイートで助けを求める際は「救援内容」、「写真」、「住所または位置情報」を付け加えるよう案内し、さらに「救助が完了したら救助要請ツイートを削除するよう」求めている。