盛り上がりを見せていた9月入学はどうなった?

長引いた休校をきっかけに、政府与党で検討が始まった9月入学の導入が見送りになりそうだ。

自民党のワーキングチームが5月27日に、9月入学制について今年度や来年度など直近の導入は見送るべきとする提言をまとめた。

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思い起こせば、1ヶ月前の4月。

安倍首相:
9月入学も視野に入れて検討すべきではないかと

吉村洋文大阪府知事:
今できなかったら2度と日本はできない

知事らから9月入学を求める声が相次ぎ、政府が検討を開始した。自民党も文科大臣経験者を揃えた検討チームを立ち上げ、制度導入について議論が盛り上がりを見せていた。

学校が再開されるも、学習の遅れに保護者からは不安の声

ところが、5月27日に菅官房長官は…

菅官房長官:
拙速な議論は避けるべき、文科省を中心に検討していく

政府・自民党はここに来て”子供や学校の負担が大きい”などの理由で直近導入見送りへ舵を切ったのだ。

こうした中、首都圏では各地で学校生活が再開した。さいたま市大宮東小学校では、5月27日から3日間、生徒が住んでいる地域を3つに分けての分散登校が始まった。

初登校を迎えたピカピカの小学1年生も入り口で手を消毒する。

先生:
階段を登って教室に行くんだけど、手すりにつかまらないように

初めての教室。新1年生は元気いっぱいだ。

新一年生:
ドキドキしたけど楽しい

独自の方法で”学習の遅れ”に立ち向かっている

各地で徐々に学校が再開される中、保護者からは不安の声も…

中学1年と小学5年の子を持つ母:
できている子とできない子の差が出ちゃっているんじゃないかな

”学習の遅れ”は、学校に取っては避けては通れない課題の1つだ。

その遅れを取り戻すべく、独自の対策を講じているのが千葉県勝浦市私立勝浦中学校だ。
休校中は、生徒ひとりひとりにプリントを郵送し、5月18日から1日1学年の分散登校で学校を再開。1クラスを3グループに分けて授業を午前のみ行っている。生徒の席は間引かれ、2メートルの感覚が取られていた。

中学2年生・高梨帆南さん:
家で1人で生活しているよりは、距離をとっても友達と一緒に過ごせた方が私は楽しい

さらに、授業をする上ではこんな独自の対策が行われていた。

勝浦中学校・岡安和彦校長:
約40日ぶりの登校ですので、1時間の授業コマを30分にして、指導する内容の重点を生理しながら授業の展開を行ってきました

1科目の時間を20分短くして、より多くの科目を行い生徒ひとりひとりの進捗具合を確かめながら授業を進めていると言う。また、来月の本格的な学校再開に向けて学校支援ボランティアが校内を消毒するなど準備に協力。

生徒から感謝のメッセージが贈られるなど、その日に向けて地域全体で進んでいる。こうした中、見送られる見通しが強まった”9月入学制”。

教育現場を預かる、都立白鴎高等学校の校長は…

都立白鴎高等学校・善本久子校長:
(学習が)遅れるから9月入学にするのではなく、私たちは学習の遅れを取り戻すべく、様々な手を打っているので、そこに注力するべき

さらに、街の声は…

中学1年と小学5年の子を持つ母:
いろいろなことを考えると難しいのかな

年長の子を持つ母:
このコロナの時期でバタバタしているのに、一緒にやっちゃうのは少し心配が残る

(「Live News it!」5月27日放送)