埼玉県飯能市の住宅で、男女3人がハンマーのようなもので殴られて殺害された事件で、25日夜、近くに住む40歳の男が逮捕された。埼玉県警の捜査員が自宅に現れると、男は、部屋で”ろう城”を始めたという。
住宅の庭先で 血を流した男女3人
逮捕されたのは、現場近くに住む無職の斎藤淳容疑者(40)。斎藤容疑者は、事件後、逃走していたが、25日夜、自宅で通常逮捕された。
この記事の画像(12枚)この事件は、25日午前7時過ぎ、飯能市の住宅で、男女3人が、ハンマーのようなもので殴られ、頭や首から血を流して死亡しているのが見つかったもの。倒れていたのは庭先だった。
死亡していた3人について、埼玉県警は、26日午後、アメリカ国籍のウィリアム・ビショップさん(69)と、妻の森田泉さん(68)、娘の恵さん(32)だったと発表した。
3人には、ハンマーのようなもので殴られた痕があった他、現場の住宅では火事も起きていて、埼玉県警が、殺人事件として捜査に乗り出していた。
捜査線上に浮上した”近所の男”
その後、県警が、付近の防犯カメラの映像解析を進めたところ、近所に住む斎藤容疑者が、事件に関与した疑いが強まったという。斎藤容疑者は、現場から、わずか60メートルほど離れた一軒家に住んでいた。
一方で、過去に、殺害された夫婦らとトラブルになっていた人物としても、斎藤容疑者が捜査線上に浮上したという。去年から今年にかけて、ビショップさん宅に止められていた車が、何者かに傷つけられる事件が発生。
その際、斎藤容疑者は、事情聴取を受け、関与を否定していたものの、器物損壊容疑で捜査されていたのだった。この事件をキッカケに、ビショップさん宅には、防犯カメラが設置されることになった。
部屋で”ろう城”する男
これらの状況から、捜査の早い段階で、斎藤容疑者は、重要参考人とみられていたはず。ところが、捜査員が、ひとり暮らしの斎藤容疑者宅を訪ねて、インターホンを押すも、応答はなかったそうだ。
結局、県警は、犯行後、すぐに、斎藤容疑者が自宅に戻ったと判断。逮捕状を取って、連行しようとしたところ、斎藤容疑者は、2階の部屋で、ろう城を始めたという。内側にモノを置いて、ドアが開かないようにしていたのだ。
しかし、抵抗もむなしく、およそ10分後、捜査員に逮捕された斎藤容疑者。発生から、およそ15時間後のスピード逮捕だった(逮捕時間は午後10時すぎ)。司法解剖が行われておらず、死因が特定されていないため、逮捕容疑は、ビショップさんに対する「殺人未遂」となった。
「言いたくありません」供述拒否
家宅捜索の結果、斎藤容疑者の自宅からは、凶器とみられる鈍器も発見。血痕は付着していなかったが、複数の鈍器が、見つかったという。県警は、今後、容疑を殺人に切り替える方針だ。また、殺害された森田泉さんと娘の恵さんについても、斎藤容疑者の犯行とみて追及する。
これまでの取り調べに対して斎藤容疑者は、「言いたくありません」と供述を拒否している。今後、動機やトラブルの経緯などについて調べが進められる。