今、深刻な問題となっている自転車の危険走行。警察も取り締まりに目を光らせる。
しかし、警察官に引き留められても「うるさいな、もうやめようよ!本当に時間ないんだから!」と、素直に応じない人も…。
無謀な危険走行が続出。その現実を取材した。
イヤホンしながら信号無視 人通りの多い交差点で
東京・中目黒駅前。人通りの多い横断歩道で取締りを始めると…。

車道の信号が赤なのに、無視して走り抜ける自転車が現れた。

警察官が警告音を鳴らして話しかける。

警察:
自転車の運転手さんは、信号守ってもらえますか?そこ。
男性A:
あそこっすか。

この場合、自転車は車道の信号に従わなければならない。しかも、もうひとつ違反があった。

警察:
イヤホンもダメなんで、外してください。
男性A:
はい。

自転車に乗っている時は、周りの音が聞こえるようにしなければならない。

警察:
事故だけ気をつけてね。安全運転でお願いします。
男性A:
はい、ありがとうございます。

ここで渡されたのは緑色の警告書。
しかし、危険な違反には赤切符をきられるケースがある。
歩行者の間を走って赤切符 “出頭告知”にあ然
車道の信号は赤。しかも、横断歩道を大勢の歩行者が渡る中、勢いよく自転車が突っ切っていく。

今にも歩行者とぶつかりそうだ。

警察:
ちょっと待ってください。ちょっと止めて、止めて。

警察:
自分がこう縫ってきた自覚はありますよね?歩行者の間を。
男性B:
はい。

警察:
そういうことするとダメです。赤(信号)で行っちゃった理由は何だったんですか?
男性B:
いや、特にはないですけど。

警察:
何で行っちゃったのかな?
男性B:
まあ、意識が薄かった。
危険な運転という認識はあまりないようだ。すると…。

警察:
今回、赤切符というものを告知させていただきます。後日、交通執行課の墨田分室というところに出頭していただく形です。
男性B:
出頭…?

赤信号を無視し、歩行者の通行を妨害するような危険な運転で赤切符をもらい、後日、出頭することになった。

もし有罪となれば、3カ月以下の懲役、または5万円以下の罰金を支払わなければならない。
後輪ブレーキつけず走行…「整備不良」で違反に
今度は、歩道を走る自転車を止めた。

警察:
運転手さん、すみません。

この歩道は自転車も走行できる場所だが、よく見ると、この自転車…。

警察:
これ、後輪のブレーキってついてます?
男性C:
後輪のブレーキ?ああ、取れてますね。

警察:
運転できないですよ。
男性C:
あーわかりました。すみません。

後輪のブレーキがついていない、整備不良。わずかな異変も見逃さない。取締りの対象だ。

警察:
自分で取ったんですか?
男性C:
そうですね。今日組み立てて、今走ってました。

男性は、地方から東京に戻ってきたばかり。引っ越しの際に自転車を分解して運び、自分で組み立て直した時に、ブレーキをつけなかったという。

ブレーキの整備不良は赤切符。このまま乗ることは許されないため、男性は自転車を押して帰っていった。
子どもを乗せ…警報音が鳴っているのに踏切横断
東京・大田区の踏切でも、自転車の危険運転は後を絶たない。

警報音が鳴っているのに自転車が踏切に入っていく。

前と後ろに、1人ずつ子供を乗せている。すぐに警察官が止める。

警察:
今、踏み切りどうなってました?音鳴ってましたよね?
女性A:
鳴ってる。

警察:
小さいお子さん2人連れてます。お母さんがね、踏切の中で焦って自転車操作誤って転んじゃったりとかしたら、とっても危険だと思います。
そう言って手渡したのは、緑色の紙。「自転車指導警告カード」だ。

ここには、飲酒運転や信号無視などの自転車の違反が他にも記載されていて、女性は二度と同じような違反をしないよう指導を受けた。
警察の話を聞かず逆ギレ「急いでるんで!本当に!!」
この踏切では2021年8月、自転車の男性が電車にはねられ、死亡する事故が起きているため、注意を促している。それでも危険な自転車は後を絶たない。

女性が警報音が鳴り始めてから踏切に進入。

渡り切る時には遮断棒が下りている。

警察官が声をかけると…。

警察:
自転車も車両の仲間なので。
女性B:
すみません、これ(犬の)ちょっと病院で急いでるので。
警察:
急いでるのはわかるんだけど。
女性B:
申し訳ないです。

警察:
警報機鳴りだしたら、しっかり止まるっていうところ…。
女性B:
はーい。

急いでいる様子で、早く話を切り上げようとする女性。
しかし、警報音が鳴ってからの横断は違反だ。

警察:
渡したい物あるので、ちょっといいですか?
女性B:
あーちょっと今、もう時間ないんで。すみません、本当に10時半から(病院の)予約入っちゃってるんで。
警察:
ちょっと、ちょっと、ちょっと。左寄って。
女性B:
えー、ちょっと本当に時間ないんですけど。

警察:
時間ないんだったら、守ってほしいの。
女性B:
時間ないってば。
警察:
守るところ守ってほしいんですよ、やっぱり自転車の人も。
女性B:
すみません、本当にちょっと急いでいるんで。

警察:
名前と…。
女性B:
本当に急いでいるんで。
警察:
名前だけもらうだけ。
女性B:
いや、本当に急いでるんでいいですか?
警察:
名前も言えない?
女性B:
すみません、ちょっと。

警察:
名前も言えない?
女性B:
急いでるんで!本当に!!

警察:
すぐ終わるから。
女性B:
気をつけます、これから!
警察:
ちょっと待った、待った、待った。
警察官の問いかけに、いら立ち始めた女性。突然大声で…。

女性B:
ねえ、やめようよ!本当に時間ないんだから!
警察:
ちょっと待って、ちょっと待って。
女性B:
電車の時間もあるんで。ちょっとすみません、本当に。
警察:
わかるわかる。でもすぐ渡すだけで終わるから。
女性B:
もうどこですか?
警察:
渡すだけで終わるから。
女性B:
すみません、本当に急いでるんで。

警察:
待って、ちょっと待って。やったこと、ちょっと一回…。一回止まって、一回止まって。
女性B:
あーうるさいな、もう!
違反したにもかかわらず、女性は警察官に向かって逆ギレ。そして…。

女性B:
はぁ~。
ため息をついた。

警察:
ご自身がやったことはご理解いただける?
女性B:
はいはいはい、わかってます、そんなのは。でも時間がなかったので、大丈夫かなーって思って。

警察:
でも結局ね、こんだけ時間取られちゃうんで。
女性B:
ほんとですね!!
警察:
そう。

女性B:
ね。あーちょ、なんでもいいから本当、早くしてくれませんか?ちょっと時間がもう押してるんで!
警察:
早くしたいんだけも、どうしても聞かないといけないことがあるんですよ。

最後まで、警察官の話をまともに聞いてくれない。渡された警告書に目を通すことなく折りたたみ、女性は去って行った。
遮断棒をくぐり抜け、猛スピードで踏切突入
警報音が鳴り、遮断棒が下り始めているのに、自転車が猛スピードで踏切の中へ。

よく見ると、片方の遮断棒は完全に下りていて…。

もう一方の遮断棒も下りてくる中、くぐり抜けるようにして渡っている。すぐに警察官が止める。

警察:
ごめんね、急いでる?
男性D:
はい、急いでます。

警察:
ダメ。今のはダメだ。
男性D:
はい、わかりました。

警察:
一回ちょっと寄ってもらって。
男性D:
時間なくて。

警察:
わかる。時間ないのはわかるけど、絶対やっちゃいけないことやってる。
男性D:
あーわかりました。
警察:
違反になりますので、取締りの対象になります。自転車の取り締まり。

遮断棒が下りた危険な状況で横断したため、赤切符の対象だ。男性に話を聞くと…。

男性D:
時間がないから余計に、バーって行っちゃったんですよ。
警察:
わかるわかる、すごく気持ちはわかる。けど、やっぱり踏切内って案外デコボコしてるし、自転車が転倒しちゃって、そのまま動けなくなって、ということも過去にあったんです。なので、遮断途中の踏切で急いでいる方は、特に取締り強化しています。

さらに、もし3年以内に2回以上、危険な運転で赤切符を切られたり事故を起こした場合、お金を払って3時間の講習を受けるよう命じられる。

取材した9月15日は、3時間で警告カード15件、赤切符3件の違反自転車がいた。

事故になれば、命を脅かすこともある自転車。どんなに急いでいても、交通ルールは守らなければならない。
(「イット!」12月20日放送)