北海道の鈴木直道知事は、新型コロナウイルスの新規感染者などの条件が北海道独自の3基準を満たしたとして、5月25日から休業要請の一部緩和に踏み切ることを表明しました。

 札幌を含む石狩地方でアルコールを提供する飲食店の午後7時以降も対象で、経済活動が徐々に動き出します。

 一方で、これまで「休業要請の対象外」だった業種の店からは大幅に落ち込んだ客の減少に悲鳴があがっています。

 「助けてください、お願いします!このままでは潰れてしまいます」店頭に掲げられた看板。

 札幌市中央区南3条西2丁目の狸小路商店街にある古着店「リアルモンキー札幌」は、4月に20周年を迎えましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による売り上げの大幅減少で、窮地に立たされています。

 5月16日にはわらにもすがる思いで、店頭に看板を掲げました。そこに書かれていた悲痛な叫び。看板を見た客の中には、「頑張って下さい」「応援しています」という声をかけてくれる人もいて、店長は「ありがたいと思う。なんとか気持ちにこたえたい」と話しています。

 リアルモンキー札幌は、海外から仕入れたビンテージ(古くて価値のある・年代物のアイテム)の古着を取り扱う店です。雪まつりなどイベントがあるときには外国人観光客も多く訪れます。海外では古着が流行していることに加え、リサイクルの文化が根強いからだといいます。

 しかし2月ごろから感染拡大が始まった新型コロナウイルス。さっぽろ雪まつりに外国人観光客が訪れ、感染への不安を抱いたのか日本人客が中心部から減り売り上げが減少。

 その後鈴木直道知事が、全国に先駆け独自の「緊急事態宣言」を発令し、外国人観光客も激減。売り上げ減少に拍車がかかりました。5月には、いつもなら集客が見込めるゴールデンウィークがあったものの、外出自粛で売り上げは8割減まで落ち込んだということです。

 店では売り上げの回復を目指し、4月から通信販売も始めましたが、古着ならではの壁が立ちはだかりました。

 新品に比べ、古着は1点物が多くサイズもまちまち。静止画だけでは客のニーズに合ったサイズを伝えることが難しく、期待するような売り上げ回復にはつながらなかったのです。

 結局休業要請の対象ではなく、来店スタイルが必要と判断したこの店では営業を続けるため、消毒液の設置や、従業員のマスク着用、30分毎に店内の空気を入れ替えるなど感染防止対策を徹底したことに加え、ゴールデンウィーク後には、レジ前にビニールのシートを設置。さらに「接客不要」のカードも作成し、首からカードを下げている人には声をかけないサービスも始め、客に少しでも安心してもらう工夫をしています。

 国は、新型コロナの影響で売り上げが大きく減少した中小規模事業者に「200万円」を給付する「持続化給付金」制度を設けていて、北海道と札幌市もこれに独自に10万円支援金を上乗せすることを表明しています。

 この店も申請したものの、ひと月分の家賃や人件費などにも満たないと言います。北海道と札幌市はこれとは別に休業要請に協力した事業者に30万円の支援金も用意していますが、古着店は対象外です。

 店長の男性は「行政は飲食店だけではなく、アパレル業界にも補償を考えてほしい。服は生活や気持ちを豊かにする。そういうことをもっと見てほしい」と訴えます。

 それでも店を続けていく決意を語る店長は、この感染拡大をきっかけに「業界が転換期を迎えている」と感じています。

 「ユーチューブやインスタライブでの販売が始まっていて、今後業界ではリモートでの接客が主流になっていくかもしれない」。

 リアルモンキー札幌では、すでに活用しているSNSに限らず、今後も販売方法を模索していくとしています。

 「助けてください」の掲示が外れる日はいつになるのか…。緊急事態宣言の段階的な緩和からどのような生活が待っているのか…。不安と期待を胸にその時を迎えようとしています。