去年、県外に移り住んだ人の数を示す「人口流出」が広島県は全国ワースト1位、外国人の「人口流出」もワースト3位を記録しました。労働力をどのようにして確保するのか?今、大きな課題を抱えています。

先週、広島市内で開催されたとあるフォーラム。

「今年立て続けに3人ほど辞めてしまった。よそに行ったという所で」

テーマは「外国人労働者の確保」です。

(広島県雇用労働政策課・長谷川達也課長)
Q:労働力の確保について危機感は?
「それは非常にあります。最近の情勢もありますが、コロナの前から実はそういう状況が続いていたと思うし、コロナによってそのギャップが大きくなったと思っています。人材不足の業界とある程度景気が良くて十分に事業が進んでいるところの段々と差が開いてきていると感じています」

広島労働局が2021年に行った調査によると、広島県内に在住する外国人労働者はおよそ37000人。その4割以上を占める外国人技能実習生はおよそ1万5000人で国内で5番目の多さです。技能実習生を含む外国人労働者は県内の企業にとって貴重な戦力です。

(因島鉄工・福島侑課長)
「まず日本人の新卒はもう来ないというところで外国人に頼らざるを得ないというのが今の現状です」

(ハイブリッド・橋野弘社長)
「外国人の方が来てくださっているのでなりわいがなりたっているという製造業の中小企業はとっても多いと思う」
Q:それが実態?
「それが実態だと思います」

企業にとって貴重な労働力である外国人労働者。その確保が今後、困難になるかもしれません。原因は「円安」です。

(因島鉄工・福島侑課長)
「特にタイなどでよく聞きますが、日本と同じくらいの賃金になっていて日本に行く意味がない。日本が選ばれなくなっています」

(ハイブリッド・橋野弘社長)
「オーストラリアなどの方が条件がいいとか、韓国辺りの方が条件がいいとか、そういう部分で選ばれなくなっているのは実際あると思う」

東広島市にある古民家を改造した料理店。カレーを中心とした本場のネパール料理が自慢のこの店ではネパールから来たスタッフが働いています。ネパールでは日本以外の国に魅力を感じる人も増えてきていると言います。

(ダンゴル・ラビンダラさん)
「アメリカとかカナダそれとメキシコが・・・ネパールでは今日本円の10万円がだいたいネパールでは8万3000円くらい(今までより)少なくなる」
Q:厳しい?
「厳しいです」

インタビューの途中。スタッフの1人が突然声を上げました。

(マハルザン・マハラジャさん)
「私たちはインド料理(を作ること)しかやっていないそれだけじゃなくて他の仕事もできれば楽になるかも」

マハラジャさんは来日6年目。5年前に奥さんとお子さん2人を広島に呼び寄せました。

(マハルザン・マハラジャさん)
「今はコロナで仕方がない。日本のインド料理店はお客さんも少ない。だからそれよりは他の仕事もできたらいいと思います」
Q:今は決まった仕事しかできない?
「そうインド料理(を作る)ことしかできない。インドとネパールの料理しか」

マハラジャさんはインド・ネパール料理の料理人として入国しています。今の制度では入国の際に申請した仕事以外をすることはできません。労働力を柔軟に活用する意味でも外国人労働者の働きやすさという点でも課題を抱えています。
外国人の労働力を確保する上で今、注目されているのが、外国人の「特定技能制度」です。
日本人を確保することが困難な産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。適用されるのは介護や建設、農業など12分野に限られますが、専門性のある外国人労働力を確保できるメリットがあります。

(因島鉄工・福島侑課長)
「(技能)実習生では日本人がわざわざ時間をかけて教えてあげなければならない。そういうコストもかかっていたが特定技能であればそれはなく、付加価値が付いている特定技能の方を大事に本人たちも大活躍してもらっています」

しかし、問題もあります。技能実習生は同じ会社で最低3年間働くのに対して特定技能制度の下では自由に転職できます。これによって日本国内で外国人労働力の争奪戦が起こる可能性があるのです。

(ハイブリッド・橋野弘社長)
「転職ありきで考えないと転職(されるのが)嫌なのであれば技能実習生で3年間」

専門家は今の国内の状況に警鐘を鳴らします。

(東京外国人材採用ナビセンター・淺海一郎相談員)
Q:日本全国で奪い合いになる?
「じゅうぶんに考えられると思う。にもかかわらず人出不足感から(外国人材の)採用の方を先にやらざるを得ない現状があって、なので今日のようなテーマ”入社後の定着”というテーマについてもっと企業や行政は当事者意識や危機感を持って検討や取り組みを進めるべき」

(広島県・長谷川課長)
「(外国人労働者に)いい体験を積んでもらってその体験がもとになって広島を好きになってもらう。広島の企業を選んでもらえる、あるいは広島の地域を選んでもらえるそういうことに繋がる取り組みをしっかりやっていきたい」