年明けから「休眠預金」が発生

「休眠預金」という言葉をご存知だろうか。

休眠預金とは、持っているだけで、10年以上にわたって取引をしていない口座に眠っている預金のこと。
そして、そのお金を所定の機関に移管し、社会課題の解決や民間公益活動のために活用する制度「休眠預金等活用法」が2018年1月1日から施行されていて、2019年1月1日からは実際に休眠預金が発生する。



「長い間、お取引のない預金はありませんか?10年間お取引がない預金を休眠預金として、社会課題の解決のために活用される制度が始まっています。」

全国銀行協会は、11月12日にツイッターで改めて呼びかけをしているが、「休眠預金」について、ネット上でも様々な意見が交わされていた。
・初めて聞いたよ休眠預金
・10年って意外とあっという間だから気をつけないと
・家中の通帳洗い直したら、弟名義で親が作った通帳がまさにそれ


2019年まで残り1カ月半となったが、対象となる預金は?何をしておけば休眠預金にならないのか?など、改めて金融庁の資料をもとにおさらいしておこう。

対象となる預金は?

対象となる預金は以下の通り。
普通預金・定期預金・当座預金・別段預金・貯蓄預金・定期積金・相互掛金・金銭信託(元本補填のもの)・金融債(保護預かりのもの)

一方、対象とならない預金は以下の通り。
外貨預金・譲渡性預金・金融債(保護預かりなし)・郵政民営化(2007年10月1日)より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金等・財形貯蓄・仕組預金・マル優口座

※金融機関により商品名・呼称が異なる

休眠預金になりそうな預金があるときに連絡は来る?

移管の対象となりうる預金がある場合には、当該口座で取引などの異動を最後にしてから、9年以上~10年6ヶ月を経過するまでの間に、預けてある各金融機関からWebサイトにて公告が行われる。
公告を閲覧し、自分の口座について情報提供の求めをした場合は、移管の対象から外れる。

また、1万円以上の残高がある預金については、現在登録してある住所へ、郵送もしくは金融機関によっては電子メールの形で通知が送られる。通知状を受け取った場合は休眠預金にはならない
しかし、住所変更の申し込みをしていなかった等の理由により、転居先不明で通知状が届かなかった場合は、金融機関が公告を開始した日から2ヶ月~1年を経過するまでに移管は行われ、休眠預金となる。

そして、1万円に満たない預金については通知がこないため、そのまま休眠預金と認定される。

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「異動」とは、預金者などが今後も預貯金などを利用する意思を表示したものとして認められるような取引などを指す。全金融機関共通の異動事由と、各金融機関が行政庁から許可を受けて異動事由となるものと2種類ある。

通帳への記帳は「異動」に該当する?

10年以上もの間、取引などの異動をしていない預金が休眠預金の対象だが、通帳への「記帳」については全金融機関共通の異動事由ではないため、いくつかの主な金融機関が定める、「異動」扱いになる事由について見てみる。

(ゆうちょ銀行)
預入・払い戻し・振込金、それに預金者等からの申し出に基づく通帳の発行・記帳または繰越等を異動とします。

(三井住友銀行)
引出し・預入れ・振り込みの受け入れまたは払出しのほか、預金者等からの申し出に基づく預金通帳の記帳もしくは繰越、残高の確認等を異動事由として取り扱っております。

(三菱UFJ銀行)
預金の入出金取引などを異動と判断しております。通帳の記帳や利息の入金だけでは、ご利用があったとはみなされません。なお、休眠預金と認定された場合でも、預金者さまから解約のお申し出があれば可能です。

(みずほ銀行)
引出し・預入れ・振り込みの受け入れや払出し、それにお客様からの申し出に基づく定期預金等の通帳または証書の記帳・再発行・繰越などです。定期預金等はスーパー定期・大口定期預金・変動金利定期預金・期日指定定期預金・据置型定期預金になります。普通預金や貯蓄預金等の記帳は異動にあたりません

(りそな銀行)
引出し・預入れ・振込の受け入れと振込みによる払出し等により、預金額に異動が生じた場合・預金者等からの申し出に基づく預金通帳の発行・記帳もしくは繰越があったこと・契約内容または顧客情報の変更があった場合等が異動となります。

このように、金融機関ごとに「異動」の定義は異なっているため、不安な方は自分が利用している口座の金融機関を調べることをおすすめする。

「休眠預金」に移管されたら引き出せなくなる?

休眠預金として移管された後も、引き続き取引のあった金融機関で引き出すことが可能。その金融機関に、通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持って行けば引き出せるが、必要な手続きについては各金融機関に問い合わせた方が確実。
また、期限はないのでいつでも引き出すことができる。

「毎年1200億円程度発生している」

では、実際に休眠預金として認定されているお金はどれくらいあるのだろうか。「休眠預金等交付金に係る資金の活用」について担当している、内閣府・休眠預金等活用担当室に聞いた。

ーー休眠預金は現状、どれくらい確認されている?

預金者等が名乗りをあげないままとなっている休眠預金等につきましては、平成26~28年度の実績の平均で毎年1200億円程度発生しており、払い戻し額を差し引いても700億円程度残っています。民間公益活動を促進するために、そのお金を活用することで、社会全体への大きな波及が期待されます。


ーー「休眠預金等活用法」を施行する理由は?

本制度は日本では前例のない、いわゆる「社会実験」です。日本が抱える人口減少・高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化により、直面している様々な諸課題について、解決に資するため、民間公益活動を促進するために活用しようとするものです。そのための民間公益団体は、資金分配団体により公募を経て決定されます。(10月5日に受付を終了しました)

決定した団体は、事業の実施により社会の諸課題を解決するだけではなく、そうした課題を可視化することで、複雑化・高度化した社会の諸課題を解決するための革新的な手法を開発し、実践することなどが期待されています。


「休眠預金」に移管されても引き出せることはわかったが、まもなくやってくる2019年を前に、自分が子供の頃に親が作った口座や、アルバイト時代のみ使っていた口座など、身に覚えがある人は一度、確認してみてもいいだろう。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。