今月上旬に話題となった皆既月食と惑星食。
珍しい天体ショーに夜空を見上げた人も多かったのではないでしょうか。
このような天体現象の魅力を広く伝える役割を果たすのが「天文台」です。
しかし、富山市の天文台は去年3月に廃止されました。
こうした中、富山市の街なかに新たな天文台の設置を求める動きが活発化しています。

*リポート「富山市の天文台は、ここ古洞の森の、この道の先…さらに奥にありました。ただ施設の老朽化に加え、アクセスが悪いことから利用者の減少が課題となっていて結果、廃止となりました」

1997年に建てられた富山市三熊の天文台。
当時、全国で4番目に大きい口径1メートルの反射鏡を持つ大型天体望遠鏡が設置されていました。

しかし2018年、天文台に向かうための道路が崩落。
さらに天体望遠鏡などにも不具合が見つかり、その後、天文台は去年3月で廃止となりました。
そして市は、新たな観測施設の整備計画を打ち出し、アクセスの良い市中心部にある城南公園と城址公園を候補地に挙げましたが、計画からおよそ4年が経つ現在も進展はありません。

こうした中、天文愛好家からの早期設置を求める動きが活発化しています。

*富山県天文学会 川口勝之会長「周りの人、子ども達にももっと星に興味をもってもらえるように。実際に目にすると全然違うと思う。星のきれいさをもっともっと見ていただきたい」

富山県天文学会。
今年8月、城南公園への設置を求める要望書を市に提出しました。
公園にはプラネタリウムを持つ科学博物館もあり、学芸員もいることから理科教育の充実にもつながるとしています。
10月下旬には、その城南公園のある地区の住民を対象に初めて勉強会を開きました。
まず地元を巻き込み、早期設置への気運を盛り上げたい考えです。
しかし、地元住民にとっての疑問のひとつが、街なかで天体観察ができるのか?

*富山県天文学会 川口勝之会長「地域住民の方から、『こんなところで星が見えるのか』。明るい場所でも観測することはできる」

*東京大学宇宙線研究所 宮川治准教授「天文用のカメラを使って、こういう高感度のカメラを使うと、まちなかでも星雲が色が付いて見える」

この日、講師を務めた県天文学会の会員で東京大学宇宙線研究所准教授の宮川治さん。
新たな天体観察の手法を紹介しました。
それが、最先端の技術を使った「電視観望」と呼ばれる手法です。
宮川さんは「電視観望」に詳しく各地で講演なども行っています。

*東京大学宇宙線研究所 宮川治准教授「邪魔な光を防止するフィルターをつけています。フィルターとカメラと望遠鏡部分。望遠鏡といっても非常に小さいですけれども。これを組み合わせてきょうは電視観望をします」

機材をパソコンと繋ぎ、画面上にリアルタイムで天体をその場で映し出すのが「電視観望」です。

*東京大学宇宙線研究所 宮川治准教授「いまこの状態で8枚くらい~10枚くらいかな。画面を重ね合わせています。何枚もの画像を取り込み、星の位置を合わせながら重ねる「ライブスタック」と呼ばれる技術を活用し、天体を鮮明な状態で見ることができる、というのが大きな特徴です」

さらにモニターで観察できるので、一度に複数人で楽しめるメリットもあり、「電視観望」はいま全国の天文台などで導入に向けた動きが進んでいるといいます。

*東京大学宇宙線研究所 宮川治准教授「こういった機器を用いることによって明るいところでも星雲、星団、銀河が見える。ものすごい、ある意味”技術革新”そういうところが注目されている」

宮川さんは、こうした手法を取り入れた新たな観測施設の必要性を強調します。

*東京大学宇宙線研究所 宮川治准教授「富山は教育県を謳っているが、理科教育、天文に関して、施設などをなくしてしまうのは残念。ある程度のドームをつくり、(望遠鏡を持って)そこで見るということはやっぱり大事。「電視観望」に限らずやっぱり大事。天文台がないとそういう機会が失われてしまう。天文台は、富山の天文現象の記録という役割も担っているが、それも今できなくなっている。天文はロマンもあり、理科教育など、色んなところにつながっていくと思う」