19日に軽自動車を運転中、歩道にいた川村ひとみさん(42)をはねて死亡させた疑いで逮捕されたのは、福島市に住む波汐國芳(なみしお・くによし)容疑者(97)。

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車は川村さんをはねた後、車3台に相次いで衝突。波汐容疑者を含む5人が軽いけがをしました。

めざまし8の取材に答えてくれたのは、車を運転中、波汐容疑者の運転する軽自動車に衝突された女性です。女性は当時の状況について、こう話します。

「何かがぶつかったと思い、振り返ると、ものすごい速さで車が歩道を走っていきました。(自分の車の)後ろのガラスが全部割れていたんですが、それにも気づかなかったです。」

波汐容疑者に衝突された、女性の車。後方のガラスは完全に割れてしまっている
波汐容疑者に衝突された、女性の車。後方のガラスは完全に割れてしまっている

車を見せてもらうと、後方のガラスは完全に割れ、車内には粉々になったガラスの破片が。さらに、側面には大きなへこみと傷。給油口も開き、衝撃の強さを物語っています。

女性は「あまりに一瞬の出来事で、何が起きたか全く分からなかった」と話し、事故後の波汐容疑者の様子については、うつむいたまま歩道に座り込み、取り乱した様子もみられなかったといいます。

なぜ? 97歳の波汐容疑者が「運転する理由」と「事故」の関係

めざまし8が事故現場に行ってみると、歩道の街路樹の下には花が添えられていました。
献花に訪れた、亡くなった川村ひとみさんの知人は、「本当に優しそうな、気立ての良い方だった」とショックを隠しきれません。

痛ましい事故は、なぜ起きてしまったのでしょうか。

取材を進めると、事故現場周辺で聞かれたのは、「車がないと生活が不便だ」という声でした。
福島市にはバスや電車などの公共交通機関がありますが、車を使う人が多いといいます。
容疑者の自宅から最寄りのバス停までは約650m、徒歩6分程度の距離です。

バスが来るのは時間帯にもよりますが、1~2時間に1本程度と、便数が少ないことがわかります。また、最寄りのスーパーまでは約1kmで、徒歩12分程度。
こうした生活環境から、波汐容疑者は“車を手放すことができなかった”のでしょうか。

さらに波汐容疑者の息子は、めざまし8の取材に対し「これまでに事故を起こしたことはありませんでした」と話します。
容疑者を知る近所の人も、「穏やかな性格で、これまでに事故を起こしたことはなかった」といいます。
また、警察によると運転免許を更新する際の検査では、認知機能に問題はなかったということです。

しかし取材を進めると、最近になって、危険な兆候ともいえる目撃情報もありました。
近隣住民は、車庫入れに手間取り、車を何度も切り返す波汐容疑者の姿を見たといいます。さらに、以前まで普通車に乗っていた波汐容疑者が、最近になって小回りのきく軽自動車に乗り換えたともいいます。

近隣住民:
毎日のように車で出かけていかれるの。帰ってくるまで、まだ帰ってこないんだけどって言って、心配なさるんですよ、皆さんが。
奥さんが亡くなって、もう5、6年になるかしら。一人だけだから、もう運転やめたらって本人には直接言えなくて。やっぱり高齢だから自分から辞めると言えないのか、子供たちが言ってくれればそれもありがたいけど、それもないみたいだから。

近隣住民によると、波汐容疑者は数年前から1人暮らし。
運転を続けることについて、直接声をかけることはできなかったといいます。

車を手放すことができず、周囲も「免許返納」を言い出せなかった中、97歳が起こした死亡事故。警察は、事故の原因やいきさつを調べています。

(めざまし8 11月21日放送)