新型コロナウイルスの影響でマスクの着用が日常となりました。

しかし、このマスクが聴覚に障害がある人にはコミュニケーションの大きな壁となっています。

新潟市南区の歯科技工士・柳博明さん。

【歯科技工士 柳博明さん】

Q.これは何を作っている

「入れ歯を作っています」

柳さんは耳が全く聞こえず、目にするものからしか情報が入りません。

県内で聴覚に障害がある人は9000人あまり。

柳さんは、県聴覚障害者協会の事務局長も務めていて、感染拡大以降、着用が定着したマスクが聴覚障害者を悩ませていると言います。

【歯科技工士 柳博明さん】

「マスクをしていると、口の動きが見えないので、何を言っているのか分からない」

個人差がありますが、聴覚障害者は唇の動きから相手の言葉を読み取っています。

マスクを着用した記者が話しかけると…

記者:「だんだん暑くなってきましたね」

柳さんは記者の言葉が分からない様子。

しかし、マスクを外して聞いてみると、

記者:「だんだん暑くなってきましたね」

柳さん:「『暑くなりましたか』と聞かれましたか?」

記者:「なぜ『暑い』という言葉が分かった?」

柳さん:「『あ』という口の形が分かったし、『あ』からイメージして、その後の『暑い』という言葉を想像した」

新しい生活様式では、感染防止の基本として、マスクの着用や真正面での会話を避けるよう呼びかけていますが…

【歯科技工士 柳博明さん】

「聞こえる人に合わせた内容。『手話が必要』という言葉がほしかった」

柳さんは、手話や筆談・指差しボードなど、障害に配慮した対応のほか、唇の動きが見える“透明なマスク”の普及を訴えています。

感染拡大に注意を払う一方で、障害のある人への配慮も求められます。

また新型コロナウイルスをめぐって県聴覚障害者協会は今月、感染した疑いがあり、医療機関を受診する聴覚障害者を対象に通訳サービスを始めました。

医師が聴覚障害者を診察する際、SNSのLINEのビデオ通話機能を使って協会の建物にいる通訳者が医師に症状を伝えたり、問診内容を障害者に伝えたりします。

通訳者の感染を防ぎながら聴覚障害者の受診を促す取り組みで、まだ利用例はありませんが、協会は「ぜひ利用してほしい」と呼びかけています。