最近、タクシーの男性ドライバーがフェイスパックをして運転している写真が中国のSNSで話題になった。実はこれまでも顔にパックして車を運転する例はたくさんあり、警察が、事故につながる恐れがあると注意を呼び掛けている。なぜ顔パックで運転?それぞれに理由があった。

タクシードライバーの顔が・・・

顔パックをして運転するタクシードライバー ~ウェイボより~

10月のある日の夜、浙江省台州市で車を運転していた女性は、ふと隣のタクシーの男性ドライバーの顔を見て目を疑った。なんと、フェイスパックをして運転していたのだ。女性が撮影しSNSにアップすると、瞬く間に広がり話題になった。

警察に呼び出され注意を受けるタクシードライバー(左から2番目)

男性ドライバーは25歳。徹夜勤務の疲れと睡眠不足で、顔にアレルギーが出たりニキビができたので、客がいない時に顔に薬用パックを張った。ただガソリンが残り少ないためそのままガソリンスタンドに向かい、途中で窓を開けていたら笑われて写真を撮られたという。30分ほどしてスマホを見ると、自分の写真がネット上で話題になっていると知り驚いた。男性は上司とともに警察に呼び出され、危険だからやめるようにと注意を受け、3日間の出勤停止を命じられた。

緑色の顔に驚く警官

緑色の顔パックをして車を運転する女性

実は、フェイスパックをして車を運転する人はこれまでもいた。

今年1月、江蘇省蘇州で、警察官が飲酒検問で1台のタクシーに停車を命じた。窓が開き、顔を出した女性ドライバーを見た警察官は驚いた。女性の顔が緑色だったのだ。女性は近所に住んでいて、娘を迎えに行くところだったが、「待っている間の暇つぶしに」顔に、“海藻泥パック”を塗っていたという。警察はやめるように注意した。

事故につながった例

江蘇省南京市の女性は、家でパックを貼っていた時に「夫が酔っぱらっている」と連絡を受け、そのまま車で迎えに行った。赤信号で止まっていると、前から来たバイクの運転手が女性の顔を見てびっくりして道路脇の石段に衝突した。

また、別の女性は、夜、真っ白なパックした状態で運転し、信号待ちしていたところ、横断歩道を渡る老夫婦が「お化けだ!」と腰を抜かし、警察に通報された。

~ウェイボより~

この他にも、深夜の高速道路を顔にパックして運転する男女の写真を警察が公開したほか、車で出勤する時間を利用してパックをして運転する女性もいたという。

実は、中国では男性の美肌がブーム

ちなみに冒頭の男性タクシードライバーは、20歳の時から顔の肌ケアをやっているといい、2~3日に1度はフェイスパックをし、たまに香港に出かけて3万元(約50万円)ほどの美白や保水などの肌ケア商品や化粧品を購入するという“美肌男子”だった。肌ケアに関しては妻より詳しいと豪語している。写真が拡散した後、自ら、肌がきれいだった時の写真を投稿している。

実は中国ではいま、肌ケアに気を遣う若い男性が増えているのだ。男性の美意識が高まっているとみられ、ある調査では、男性用肌ケア商品の市場は、ここ数年は毎年20%ほど伸びていて、去年の市場規模は約53億元(約900億円)にのぼっている。

 車の中とはいえフェイスパックを貼って外をウロウロするのはかなり恥ずかしいと思うのだが、見つかった当事者たちはさほど気にしていないように感じる。他人の目が気にならない人はいるのだろう。

フェイスパック運転のニュースを伝えた中国メディアは、「法律などで禁止すべきだという声がある一方、車の中で何をやろうが自由だし干渉すべきではないという声もあるが、大切なのは命だ」と、ごく当たり前だが、各人が考えるよう呼び掛けている。

警察も「顔パックは交通法規で禁止されているわけではないが危険はある。他のドライバーを驚かせて事故になるかもしれないし、簡単に外れたりめくれたりして視界が遮られ、事故を起こしかねないのでやめるように」と、これまたごく当たり前の注意を呼び掛けている。

(執筆:FNN上海支局 城戸隆宏)