高岡市の空き家が放火され、焼け跡から白骨化した遺体が見つかった事件。
警察は、放火などの疑いで逮捕、送検した男の動機を追及するとともに、DNA鑑定などを行い遺体の身元の特定を進めています。
今回、事件現場となった「空き家」。
その件数は増加の一途をたどり、町の景観や治安を悪くし、トラブルの発端になることも少なくありません。
高岡市の空き家を巡る現状を取材しました。

今月7日、高岡市で起きた放火事件。

*付近住民は「びっくりした。ピンポンで起こされた。近所の人に」

現場は、高岡駅から東におよそ1キロにある住宅密集地で、20年近く人が出入りしていないとみられる「空き家」でした。
焼け跡からは死後数年以上経過している可能性がある、全身白骨化した成人男性の遺体が見つかりました。

このような事案は先月31日、静岡県でも…。
野焼きの火の粉が飛び移り、全焼した空き家から白骨化した遺体が見つかりました。

事件、事故の発端になることも多い「空き家」。

高岡市では、空き家が社会問題化し始めた2013年には、管理不全で地域へ悪影響となる恐れがある空き家が2138軒。
2018年には2295軒と、その数は増え続けているといいます。

*空き家対策ネットとやま 前田敏代表「高岡でも山車が通る歴史のあるところ。地主が多いところだが、非常に空き家が多い」

特に空き家が増加しているという高岡市博労町周辺を案内してくれたのは、空き家の管理や対策をサポートする「空き家対策ネットとやま」の前田敏さんです。
高岡市は、長屋や密接する住宅など古い建物が残り、これらが空き家になると、取り壊しの際に障壁が生まれるといいます。

*空き家対策ネットとやま 前田敏代表「(空き家が)くっついているから、単体で順番に壊していくとなると解体が大変、機械が入らない」

今回の事件現場も隣の家との距離は非常に近く、両隣の2軒に延焼が確認されました。

町の治安悪化につながりかねない空き家。
なぜ次々と生まれてしまうのでしょうか。

*空き家対策ネットとやま 前田敏代表「(所有者が)亡くなられて空き家になる。それから施設に入って、もう帰れないからそろそろ売ってほしいというケースがすごく多い」

今回被害にあった空き家も、所有者の女性が亡くなったあと、引き継いだ娘は別の場所に家を建て生活をしていて、建物は20年近く空き家となっていました。

増える空き家と共に増加しているのが、空き家を巡るトラブルです。

*富山中央法律事務所 青島明生弁護士「無断で空き家に入って生活していて、その人は万引きで事件になった。所有者からするとびっくりして、中が荒らされていたということで、煙草を吸ったりコンロを使ったりしていたから、下手をすれば出火していた可能性もあった。そういう事件を経験したことはある」

富山中央法律事務所の青島弁護士によりますと、刑事事件の他にも、民事訴訟や相続の相談など、空き家に関するケースは5年ほど前から多くなっていると言います。

*富山中央法律事務所 青島明生弁護士「誰も住んでいなくて、管理の問題が出てきて、近所から苦情が役場の方に連絡があって、役場から相続人を調べられて、代表者の人に連絡が行く。ひどい場合には兄妹の中で、自分はいらないからということで、相続の持ち分を放棄して最後に残った人が全責任をとらされるなどのトラブルが」

空き家の取り壊し費用は200万円以上かかる場合が多く、建物が空き家になってしまってからでは取り返しがつかなくなるケースも…。
空き家対策ネットとやまの前田さんは、家が空き家になっても売買や相続の意思が、次の世代に伝わるようにしておくことが何よりも大切だと訴えます。

*空き家対策ネットとやま 前田敏代表「一番は認知症対策。認知症になると売ることも貸すこともできない。もう一つは住まいのエンディングノートを作っておく。住まいについて何が問題なのかまとめておいて認識しておくことが大切」

今回の事件は、人の気配がない空き家で起きました。
管理している、人の出入りがあるということが分かれば被害を防ぐことにもつながります。
地域の治安、景観維持のためにも、違法行為の温床となる場所を作らない対策が求められています。