兵庫県篠山市の名称を「丹波篠山市」に変更するかどうかを問う住民投票が18日に投開票され、市名変更に「賛成」が「反対」を上回った。篠山市は11月にも議会に条例案を提出し、来年5月の元号の変わり目に合わせて、「丹波篠山市」が誕生する見通しだ。

自治体名の変更の是非を問う住民投票は、今回が初めてで、いま改めて住民投票に注目が集まっている。
かつては原子力発電所・産廃処理施設の建設や市町村合併の是非を問う住民投票が多かったが、近年は「“TSUTAYA図書館”の建設」や「小中学校へのエアコン設置の賛否」など、より住民の生活に身近な問題を争うものが増えてきているのだ。

過去には「市立小中学校へのエアコン設置」が争点も

前述の通り、2015年2月に埼玉県所沢市で「市立小中学校へのエアコン設置の是非」を問う住民投票が実施され、賛成5万6,921票、反対3万47票で賛成が上回った。

また2017年には10月に茨城県神栖市で、建設中の「防災アリーナ」の規模見直しを争う住民投票が行われ、見直しに賛成する票が1万3812票で反対の1万1482票を上回る結果に。11月には滋賀県野洲市が「野洲市民病院」計画の是非を問う住民投票を行うも、投票率が50%に達しなかったため、条例の規定により不成立となったケースもある。

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このように住民投票の争点が多様化した背景には何があるのだろうか? 地方自治を専門とする東海大学政治経済学部の岡本三彦教授に話を聞いた。

身近な問題を住民で決定しようとする意識が強くなってきた

ーー住民投票における争点が広がっている。その理由は?

時代的な流れがあると思います。1990年代はいわゆる“迷惑施設”の是非が中心で、2000年代に入ると「平成の大合併」がありましたので、これが争点となっていました。
この「平成の大合併」が一段落した2005年前後からは、「公共施設」などのより身近な問題を住民で決定していこうという意識が強くなってきたのだと思います。

そして全国各地でさまざまな争点の住民投票が行われるようになった結果、さらに「うちでも住民投票をやろう」というところが増えてきたのではないでしょうか。

市名変更を問う住民投票の結果に喜ぶ酒井隆明市長(中央)
市名変更を問う住民投票の結果に喜ぶ酒井隆明市長(中央)

ーー自治体が住民投票を実施することについては賛成か?

身近な事柄を住民で決めることには、基本的に賛成です。国政レベルの課題となると容易ではありませんが、基礎的自治体の問題については、住民自治の観点からすれば、住民が自ら積極的に議論し、最終的に住民投票で決めても良いと思います。

「なんでも住民投票の争点にしていい」とまでは言えない

ーー住民投票の争点が多様化していることについてはどう考える?

「自分たちの身近な問題については、自分たちで決めるんだ」という住民の意識が高まっているのであれば、住民投票を実施しても良いと思います。ただ、「なんでも争点にしていい」とは言えないでしょう。住民投票にかけるのになじまないものもあるので、争点についてはよく検討する必要があると思います。


かつては市町村合併の是非などと争点が限定的だった住民投票。住民投票を機に住民が関心を持つきっかけにもなっていることから、この多様化の流れはさらに広がりを見せるかもしれない。