事務所関係者による謝罪文の代読

18日午後10時過ぎ、浦和警察署の正面玄関に所属事務所のマネージャーに付き添われる形で、ボビーさんが報道陣の前に現れた。しかし、謝罪の言葉はボビーさんの口からではなくマネージャーが代弁した。ボビーさんは隣で神妙な顔つきで頭を下げる行為を見せたが、一言も言葉を発することはなかった。
マネージャーが代読した言葉は次のようなものだった。
「皆様、本日はお集まり頂きまして誠に申し訳ありませんでした。この度は関係者の皆様、まずは妻、多大なるご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。本日はこれで一度終わらせて頂きます。」

ボビーさんはその後、事務所が用意した車に乗り込み、浦和警察署を後にした。
さいたま地裁は身柄勾留を認めず
ボビーさんは5月16日、自宅にいた妻に暴行したとして埼玉県警に現行犯逮捕された。その2日後の18日午前中にさいたま地検に身柄を送検され、検察官はボビーさんの身柄を引き続き勾留するよう裁判所に求めた。
しかし、裁判所がこれを認めなかったことから、ボビーさんはその日のうちに釈放されることとなった。

釈放の理由には新型コロナの影響も
検察が勾留するよう求めたのに、ボビーさんはなぜ釈放されたのか。
あすなろ法律事務所の國田武二郎弁護士はその理由について次のように語った。
「まず身柄を勾留する要件は
①住所不定、②証拠隠滅のおそれ、③逃走の可能性がある場合で、被疑者が否認しているかどうかは直接の要件ではない。
ボビーさんの場合は、著名人で逃亡の可能性は低く、住所も定まっている。今回考えられる問題は、証拠隠滅のおそれの有無である。
これはボビーさんを釈放することによって、例えば自宅にいる妻に脅しをかけ、暴行の事実がなかったように働きかける可能性が考えられ、都合の悪いことを話させないようにしたりして証拠を潰すことがあるかもしれない。
これに関して、ボビーさんの担当弁護士は、このような可能性をなくすためにボビーさんが妻に対して接見しないという「誓約書」を裁判所に提出していると考えられる。
次に暴行罪は2年以下の懲役、30万円以下の罰金などの比較的刑の軽い犯罪であり、さらに今回の事件は家庭の夫婦喧嘩という側面もあるので、裁判所としてはボビーさんの身柄を拘束してまで取り調べる必要はないという判断があったと推測される。
そしてもう一つ、昨今の新型コロナウイルスの問題も影響しているはず。
身柄を拘束する場合、警察の留置場に入ることになるが留置施設は「三密」状態を避けることが難しい場所である。殺人事件や、傷害致死事件などの重大事件であれば、このような状況下でも身柄を勾留されることも仕方がないが、比較的刑の軽い暴行事件の犯罪者を全て留置場に入れてしまうと人が多くなってしまう。
実際に東京の渋谷警察署の留置場では「三密」を避けることができず複数の感染者が発生している。現在、新型コロナウイルスの影響で全国のほとんどの刑事裁判は中止や延期となっている状況を踏まえると、今回のボビーさんのケースを総合的に考えた場合、裁判所が「勾留を認めず釈放した」というのは極めて妥当な判断だと思う。

警察は任意の捜査を続け、検察がどのような判断をするのか注目される暴行事件として現行犯逮捕した浦和警察署は今後、任意捜査に切り替えてボビーさんから事案の内容について取り調べをすることになる。
ボビーさんは現在も「暴力はやっていない」と容疑を否認しているとみられ、さいたま地検は今後、立件の可否について慎重に判断していく。
(フジテレビ報道局社会部 埼玉県警担当 河村忠徳)