11月6日は富山マラソンです。
およそ1万3000人のランナーが、それぞれの思いを胸に秋の富山路を駆け抜けます。
その中の1人、義足でフルマラソンに挑戦する男性の思いを取材しました。

富山市の吉川和博さん。
富山マラソンに出場する数少ない義足のランナーです。

この日は、様々なスポーツに取り組むチームアバンテの仲間たちと練習に汗を流していました。

*吉川和博さん「長く走ると、このソケットの中に傷ができて、マメや擦り傷など痛みがない時がない。でも、走り切ると忘れちゃう」

富山マラソンへの挑戦は今年で4回目。
完走はまだ1度しかありません。

*吉川和博さん「去年は25キロ地点(新湊大橋下りた辺り)でリタイアした。去年の失敗をいかして、ペース配分などを考えて最後まで走りきるのを目標にやりたい」

吉川さんが病に襲われたのは大学2年の時。
左膝に(骨のがん)骨肉腫が見つかりました。
手術はしたものの、がんが再発したり、膝に入れた人工関節が壊れたりして長く続く治療の日々に苦しさを感じていました。

*吉川和博さん「自分のライフスタイルを考えたときに、また(人工関節を)壊しちゃうんじゃないかとか、壊したらまた手術なので、その度にそうしていたら、やりたいことができないと思ったときに義足という選択肢が出てきて」

そんな吉川さんがマラソンを始めた理由が東京にあります。
5年前に設立されたNPOの「ギソクの図書館」です。
ここでは図書館で本を借りるように、競技用のブレードをレンタルすることができます。
高校時代の先輩から誘われてメンバーとなった吉川さん。
建築士である吉川さんは、その仕事を活かしてブレードを置くためのレンタルボードをデザインしたほか、自らも走ることを始めたのです。

この日は月に1度の練習会、陸上の競技経験のある義肢装具士が走り方を指導します。

*義肢装具士「義足側だけ後ろに流れている。それを解消するために、足の回転中心を前に持っていきたいのでピッチを上げて」

未就学児から大人まで9人の義足ユーザーが参加し、義足での足の運び方や走りのポイントを学んでいました。

吉川さんは練習に参加しながら、その様子を撮影し、記事にしてホームページなどで公開しています。

*吉川和博さん「走りたいけど、走ることに迷っている、一足踏み出せない人に見てもらって、年間1人でも2人でもそういう人に届いて、ここに来てくれることにつながれば」

練習会の後も、「ギソクの図書館」のメンバーと富山マラソンに向けてレインボーブリッジを渡る12キロのコースを景色を楽しみながら走りました。

そんな吉川さんを家族も、応援しています。
富山で知り合った妻の夕香さんと一人娘の晴陽ちゃんです。

*妻・吉川夕香さん「あまり前例のないことをやっていると思うが、ポイントポイントで娘の顔を見せて元気をチャージさせてあげたい」

*吉川和博さん「義足の子ども達に夢を見せてくれるのはアスリートがやってくれるので、僕のような市民ランナーが底辺を押し下げていくことでブレードで走る人たちの幅を広げていけたら」

吉川さんは富山マラソン完走を目指しながら、ブレードで走る楽しさを多くの人に知ってもらいたいと考えています。