報酬を過少記載していた疑いで逮捕され、衝撃を与えた日産自動車のカルロス・ゴーン容疑者。果たしてこのような“巨額報酬”は適切なのか、役員報酬という視点で、日本企業の実態に迫る。

トップ10は全員10億円以上

ゴーン容疑者が、2011年3月期からの5年間で得ていた報酬は、およそ99億9800万円。
では、日本の上場企業の役員トップは、いったいどれほどの報酬を受けているのか。1億円以上の役員報酬を得ている上場企業の役員は有価証券報告書で開示する義務がある。
そこで、今年4月までの1年間の『役員報酬ランキング』を見てみると、驚きの巨額報酬が明らかになった。

役員報酬のトップとなったのは、ソニーの平井一夫前社長で、総額は27億1300万円。ソニーの業績をV字回復させ、新型aibo発表などで話題をさらった平井氏。  

2月にサプライズ退任を発表したが、11億8200万円もの株式退職金が支払われるなど、堂々のトップとなった。

2位はセブン&アイ・ホールディングス取締役のデピント氏で、24億300万円。3位から5位まではソフトバンクグループの外国人経営陣が入ったが、トップ10は全て10億円以上。

ゴーン容疑者の開示された報酬額は日産から7億3500万円で、全体の18位。同じく会長を務める三菱から2億2700万円と、日本企業からの報酬は合計しても10億円に満たず、突出して多い金額ではないことが分かる。

トップ20のうち半数以上が外国人役員

役員報酬額トップ20のうち外国人役員が半数以上を占め、21位にも、報酬額6億3200万円の日本マクドナルドのカサノバ社長が入るなど、多くの外国人役員が巨額報酬を得ていた。


なぜ、巨額報酬を受けている役員に外国人が多いのか?経済ジャーナリストの磯山友幸氏は「世界の経営者の報酬は数十億円という規模で、日本に比べると遥かに高い。その人たちを日本の企業に呼んで来ようと思うと、日本の給料よりかなり高額を提示しないと日本に来てくれない」「プロ野球で助っ人外国人を雇うためには世界標準、つまり大リーグと同じ給料を払わないと来てくれないというのと一緒」と解説する。

企業改革のため高額報酬で迎える外国人は、いわばプロ野球の“助っ人外国人”のような存在だという。

企業トップよりも役員が高額報酬のわけ

外国人役員が企業トップよりも報酬が高額なケースも多く、ソフトバンクでは、報酬額3位から5位を外国人役員が占めましたが、グループを率いる孫会長は、役員報酬額1億3700万円で、403位。 

トヨタも豊田章男(とよだ)社長は、役員報酬3億8000万円で52位なのに対し、ルロワ副社長が3倍近い10億円以上の役員報酬を受け、10位に入っている。

こうした背景には、創業者に近い人は株を沢山所有しているので、株式の配当が年間何億円も入ってくる人が多い。そのため、企業トップの給料は役員よりも少ないケースが多いとみられる。

過渡期ならではの“貰い得”

磯山氏は“日本企業が転換期を迎えている”と指摘する。

 
磯山氏:
日本の場合はバブルが崩壊して、その後に日本の企業が経営改革に取り組んでいくようになる段階で、外国人を入れようという流れが出てきた。1999年の日産自動車がカルロス・ゴーンを入れるのも一つの流れだと思う。
 
いまは日本の報酬体系を変えていこうという過渡期だと思う。ゴーンさんの場合は、本当は短期間のリリーフ型だった人なのに、その人が19年間君臨してしまった。それは日本企業だからできる、そこが非常に問題の端緒なところ。

多額の給料は貰っているけど、それほど責任追及はされない、非常に過渡期ならではの、“貰い得”が起きている。

(「プライムニュース イブニング」11月19日放送分より)

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