家族との高級寿司や家族旅行にも私的流用

世間を揺るがし続ける日産、ゴーン容疑者の逮捕。

東京地検特捜部は11月21日までに日産の西川社長から任意で事情を聞いていたことが分かった。そしてゴーン容疑者による巨額の報酬隠しの実態も徐々に明らかになってきた。

日産自動車の会長、カルロス・ゴーン容疑者らの50億円に上る巨額報酬隠し。新たに直近の3年分についても約30億円分の報酬を有価証券報告書に記載していなかった疑いがあることが分かった。

逮捕容疑の分と合わせると、過少記載の総額は約80億円に上るとみられる。一万円札を重ねると26階建てのビルの高さに相当する約80mになる。

さらに、関係者への取材から、経費の私的流用の実態が明らかになった。

ゴーン容疑者は、プライベートで使用したヨットやジェット機の費用に加え、家族とともに東京都内で高級寿司を食べた際の代金や家族旅行の費用なども日産側に支払わせていたというのだ。

“コストカッター“として、剛腕を振るったゴーン容疑者に次々と浮上している金の疑惑。

中東レバノンの首都ベイルートでは、日産側から無償で提供されたとみられる豪華な住宅を使用していた。
近所の住民は、「いつ来たかは覚えてないけど、ゴーン容疑者が歩いているのを見た。ゴーン容疑者は、みんなに挨拶していたよ」と話す。

日産側から無償で提供されたとみられる高級住宅は南米ブラジル・リオデジャネイロの人気観光地、コパカバーナにもあった。
ゴーン容疑者は、家族とともにプライベートでこうした住宅を使用していたとみられている。

ブラジル・リオデジャネイロの高級住宅

「株価連動型の報酬制度」で40億円の報酬も…報告書の記載は「0」

東京地検特捜部の捜査が進む、ゴーン容疑者による巨額報酬隠しの実態。さらに関係者への取材から新たに明らかとなったのは、約40億円に上る報酬隠し疑惑だ。

それは、ゴーン容疑者が日産のトップに立ってから導入された「株価連動型の報酬制度」によるもの。
この制度の目的が、日産の株主総会の資料にこう書かれていた…

「取締役の意欲を一層高めること」(2013年6月株主総会の資料より)

一体どのような制度なのだろうか?

フジテレビ経済部の智田裕一デスクは、「日産の株価に連動して役員報酬を得る制度です。株そのものを渡すというわけではなくて、株価が設定した価格から上昇した場合に、その差額を受け取る権利が役員報酬とされているのです」と解説する。

「ゴーン容疑者にもこの権利が与えられていたが、有価証券報告書には記載されていなかった。その額が、2011年3月以降で約40億円相当に上るとみられている」のだという。

日産の株価の推移を示したグラフを見ると、2011年から右肩上がりに上昇しているのが分かる。
しかし、2011年3月期以降の有価証券報告書では、ゴーン容疑者がこの制度で得た報酬は、どの年も「0」などとされていた

こうした報酬隠しは、ゴーン容疑者とともに逮捕されたグレッグ・ケリー容疑者から執行役員らに指示されていたことが分かっている。

ゴーン容疑者らの11月30日まで10日間の勾留が決定。さらに東京地検特捜部は法人としての日産についても立件を視野に入れて捜査を進めている。

実態解明の背景に「司法取引」…その長所と短所とは?

カルロス・ゴーン容疑者の報酬隠しの実態が次々に明らかになっている背景には、東京地検特捜部がゴーン容疑者の手口を知る日産の幹部らと行った“司法取引”がある。

これにより捜査が大きく進んでいったとみられているが、どのような制度なのか?

元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士に話を聞いた。

 
倉田大誠キャスター:
“司法取引”という言葉は、海外ドラマなどで聞いたことがあるかもしれませんが、正式名称は「協議・合意制度」といいます。例えば、ある刑事事件の容疑者などが「誰々に指示されました」などと捜査に協力をする代わりに、検察が起訴を見送ったり罪を軽くしたりする制度です。今回はお金が絡んだ事件なので「経済犯罪」が対象になるということです。

反町理キャスター:
若狭さん、特捜部側として、司法取引をすることでどのようなメリットや突破口が見えてきたのでしょうか。

若狭勝弁護士:
これは、本来は話してもらえないようなことも「あなたは処罰しないですから」と言うことによって、いろいろ話してもらって。今回でいえば、2人の容疑者の実態、どのような不正をしていたのか、役割はどうだったか、ということを供述として引き出す。そうすることで、証拠が非常に強くなり固められるということがあります。

反町理キャスター:
しかし、自分を無罪にしてもらうために「あんなに悪かったんですよ」と話を盛る可能性はないんですか?

若狭勝弁護士:
おっしゃる通りで、司法取引制度というのは、絶えず裏腹の問題として冤罪も含めて、自分が助かりたいがためにオーバーに証言をして、より一層引っ張り込まれた人の役割を盛ってしまう恐れがあるということは、昨年、私が衆議院議員の時に導入されましたが、当時から非常に問題になっていました。

「日産」法人としての立件検討に幹部らは?

倉田大誠キャスター:
では、一方で日産側としてはどうなのか?
今回逮捕された2人の罪だけでなく、法人としてこのような不正を長年に渡って見逃していたという背景があるため、東京地検特捜部は法人として立件を視野に検討しているということです。

若狭勝弁護士:
有価証券報告書の虚偽記載の罪というのは、大体、法人も併せて罰金にすると。最高で7億円ぐらいまでの罰金なんですが…法人が提出する有価証券報告書にウソをつくわけですから、法人の責任は非常に大きいものがあるということで、前提として法人も原則として罰金に科するとされています。だから今回も日産自動車も法人としての罰則・罰金などが科せられるというところから出発します。

反町理キャスター:
ゴーンさんの下にいる幹部らは、司法取引に応じて自分の罪を軽くしてもらう、ないしは不起訴にしてもらうということで、情報を提供しました。でも、会社として日産自動車全体が法人として立件された場合、この罪から逃れたと思っている幹部らに対して、なんらかのペナルティーが及ぶ可能性はないのですか?

若狭勝弁護士:
刑事責任としては幹部らは司法取引でそこそこ免除されたりすることがありますが、民事的な損害賠償請求が起こされる可能性はあります

反町理キャスター:
それは逃げられないわけですね?

若狭勝弁護士:
そうですね。そこは刑事と民事を分けて考えなければいけません。今回のような場合には、これまでにも幹部に多額の損害賠償責任を認められる例がありました。例えば、取締役が何億円という損害賠償責任を認められたケースなど。そのため、刑事責任を免れたとしても民事的な賠償責任が残っているという意味では、幹部らは非常に不安定な地位にはあります



「カリスマの失墜…ゴーン前会長逮捕」特集をすべて見る!

(「プライムニュース イブニング」11月21日放送分より)