開発のきっかけは、自衛隊向け備蓄食!

宇宙日本食の3品目同時申請というフジッコ史上初のチャレンジ。

「国の役に立ちたい!」という想いで取り組んだ宇宙日本食開発の裏側をご紹介します。


たまたま舞い込んだ、自衛隊向け備蓄食開発への誘いが、宇宙日本食チャレンジのきっかけに!


商品開発を担当する瀬川幸秀さんは、5年ほど前から長期保存が可能な商品を開発したいと考えていました。


理由は2つ。


海外をはじめ、世界中の人にフジッコの商品を食べてもらいたいという想いと、近年、大規模な自然災害が相次いでいるという事実です。

特に、災害の際「食」で被災者の命を守るためにも、「保存食」の開発は急務であり、保存技術を磨く日々が続きました。

一方で、人口減少社会に突入した日本の現状に鑑み、スーパーなどの小売店以外での販路を開拓する必要性も感じていました。


そんな時、瀬川さんの元に「自衛隊向け備蓄食(以下、「備蓄食」)を開発してみないか?」という誘いが届きます。

話を聴いているうちに「国の役に立つ仕事もしたい」と思いが高まり、備蓄食の開発に着手することにしました。


この開発を生かして、瀬川さんが次に取り組んだのが「宇宙日本食」です。

当時入社2年目の木村真優とともに、宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)のバックアップを得て、宇宙日本食の開発に乗り出すことにしました。


-どうして宇宙日本食を開発しようと思ったんですか?


瀬川:備蓄食で求められる賞味期間は1年超です。フジッコでは前例のないことでしたから、うまくいくのか非常に不安だったのですが、なんとか無事一次審査に合格しました。それで、ちょっと自信がついたので、次の関門である長期保存テストの待機期間を活用して、他に応用できるものはないかを考えていた時に、当時の上司から「宇宙日本食」の話を聞き、すぐにJAXAに話を聞きに行きました。これまで、「フジッコの商品を宇宙に!」なんて考えたことはありませんでしたが、話を聞くうちにすごく夢があることだと思い、すぐに挑戦しようと決意しました。


コア事業本部 瀬川幸秀さん

1993年東京農業大学農学部栄養学科卒業、同年フジッコ株式会社入社。東京工場、浜坂工場、境港工場、西宮工場、鳴尾工場で品質管理に携わる。2012年商品開発部に異動後、「おかず畑」「朝の食べるスープ」「おばんざい小鉢」等の商品開発や日配惣菜の賞味期限延長、冷凍技術開発を歴任。現在は主として「ダイズライス」の技術開発を担当。


-SDGsが世間のトレンドとなる中、食品ロスの削減にも応用できる考え方となりますね。それにしても、フジッコが宇宙日本食に挑戦とは、かなり思い切ったチャレンジのように感じます。


瀬川:私たち開発者の仕事の醍醐味は、“お客様のために”という大前提のもと、「自分のやりたいことを実行し・好きなものを作る」ことにあります。

また、以前勤務していた部署で、コンビニエンスストアへのプレゼンなどを通じて、当時の上司から、「好きなものを作って、それを売りにも行く」ことの楽しさも教わりました。やりがいを実感する瞬間でもありました。


その実践が、まさに今回取り組んでいる備蓄食の開発であり、宇宙日本食の開発です。

チャレンジすることに、一切迷いはありませんでした。

もちろん、これを一緒に実現してくれる部下がいたから、挑戦できたんですけど。


-当時入社2年目の木村さんですね!備蓄食の長期保存テスト期間が、たまたま、いい意味で、そういったことを考える機会になったんですね。


木村:はい。既に備蓄食の開発に携わっていましたので、瀬川さんからお声がけいただき、何の迷いもなくメンバーに加わりました。当時は、入社2年目だったこともあり、まずJAXAという組織に圧倒されながら挑んだことを覚えています。


コア事業本部 新大豆食品事業部 木村真優さん

2018年東京農工大学大学院工学府生命工学専攻修了、同年フジッコ株式会社入社。本社商品開発部に配属され「佃煮小鉢」・「おばんざい小鉢」のほか、「備蓄食」・「宇宙日本食」の商品開発を担当。また、惣菜の冷凍技術開発に取り組む。2020年新大豆食品事業部に異動後は、低糖質・高たんぱく質な食品「ダイズライス」の商品開発と技術開発を担当。


JAXAにチャレンジするに当たり、まず最初の関門は、「書類審査」でした。宇宙日本食の認証を受けるための満たすべき基準、それに関わるプロセスおよび申請手続きが煩雑で、厳格で、しかも量が多かった(笑)


しかも、フジッコは、「3品同時申請」という振り返ると無謀極まりないチャレンジをしようとしたんです(笑)。

私は、こういった書類作成等の経験がない中、先輩や瀬川さんに丁寧にご指導いただいて、資料作成や保存テストなどを必死でやり抜きました。


商品選定の根底に感じる「フジッコらしさ」

-フジッコが認証を受けようとした商品はどのように選定されたのですか?


瀬川:そこはやはりフジッコですから、佃煮、煮豆、そして思い入れの強いナタデココのデザート、当時主担当だった「おかず」など、提案をする商品はたくさんあったので、なにか一つでもひっかかればよいという思いで持っていきました。

あとは、諸条件です。安全性や内容量、栄養素…あと、宇宙日本食の認証は、バラエティ豊かな食事を目指しているため、既に認証済のものと同じ食品は申請できないことなどを考慮して木村さんが選定しました。


木村:私は何より宇宙飛行士の方の声を大事にしました。てっきり、佃煮や煮豆に目が行くのかと思っていましたが、JAXAの担当者の方から「和惣菜」のメニューを是非開発して欲しいという要望がありました。また、現役の宇宙飛行士による試食でも、サラダや、お惣菜の評価が高かったんです。さらに、ほかの企業が、おにぎりなどの主食を開発されていたこともあり、ごはんに合うおかずとして、「ひじき煮」「きんぴらごぼう」「ミネストローネ」の3品に絞って開発をすることにしました。


-その結果、3品目が同時に採用された、と。一気に3品目も採用されるのは、かなり珍しいことだそうです。


木村:はい。品目ごとに、かなりの書類を作成する必要がありますので、一気に3品目申請するメーカーはあまりないそうです。審査を担当されている方もびっくりされていました。


3品目同時認証は、木村さんの根性のたまもの。(©JAXA)


瀬川:どうせやるなら、一気に、ね。木村さんならやり遂げてくれるかなって思いました。


木村:宇宙飛行士の方の要望を伺った段階で、できるなら、全部やってやろうと思いました。高い評価をいただいたからには、期待に応えたいな、って。


後任の担当者を交えて、認証の喜びと、当時の苦労を振り返る!


-この3品目に絞り込んだ理由は他にもあったんですか?


木村:宇宙日本食は、備蓄食よりもさらに長い賞味期間を求められます。また、審査では、外部のパネラーによる厳格な官能評価も行われますから、当時行っていた備蓄食の長期保存テストの経過品質に注目し、正直経過のよいものをピックアップしました。


瀬川:既に行っていた備蓄食の長期保存テストがすごく役立ちました。


木村:JAXAで実際に認証されている宇宙日本食が販売されていたり、宇宙飛行士の方が「おいしいです」といって召し上がっている映像を見て、私は自分の開発した商品を絶対宇宙に連れて行ってもらいたいと強く思いました。


-それを、2年目の方が取り組み、やり遂げたことが、すごいですね。


瀬川:すごいと思います。木村さんは、すごく勉強家だし、根性がある。わからないことがあれば、妥協せず、自分が納得するまでJAXAの方に疑問をぶつけ、やり遂げる。そういうことができる人だと思ったから、信じて任せることができました。


木村:ありがとうございます(笑)。でも3品目同時申請はしんどかったですけどね。


大事にしたのは「おいしさ」。フジッコの宇宙日本食の魅力

-各商品の特徴や魅力を教えて下さい。


木村:3品とも殺菌強度が高い中でおいしさを実現することが最大の課題でした。


1品目は「ひじき煮」です。これは市販(現在は終売)されている「おかず畑 ひじき煮 ミニ」の配合をベースにしました。7品目の具材が入っているのですが、殺菌強度が高いので、具材の触感が柔らかくなりすぎてしまうという難点がありました。ですが私は食感にもこだわりたかったので、それぞれの具材の下処理に工夫を凝らしました。あとは、きんぴらごぼうと同じく、残渣が出ないようにとろみをつけました。


2品目の「きんぴらごぼう」は、市販されている「おばんざい小鉢 きんぴら」の配合をベースにしています。だけど、宇宙の微小重力空間で召し上がっていただく際に、細長い具材がたくさんあると飛び散りやすいということと、宇宙では食事をスプーンで召し上がるという状況を確認し、このままだと食べにくいだろうな、と。そこで、具材の表面に少しとろみを付けて、スプーンですくいやすく、袋の中に残渣(ざんさ)が出ないような工夫を施しました。


3品目は「ミネストローネ」です。これも市販されている「朝の食べるスープ ミネストローネ」をベースにしています。こちらは、商品の大部分を占めるスープ液にとろみをつけなければならなかった。トマトベースではあるんですが、増粘剤の風味を感じやすいという課題を解決するために、濃度調整の試作を繰り返し行いました。


もう少しとろみの話を続けますが、この商品は、市販されているものは、電子レンジで温めてお召し上がりいただくものなのです。ですが、宇宙では「そのまま(常温)で食べられるようにして欲しい」という要望を受け、「そのまま」でも、「温めても」、どちらでも、宇宙の微小重力空間で求められるニーズを満たすよう配慮する必要がありました。とろみって、温めると低下してしまうため、温度差によりとろみに差がでないようにすることに苦労しました。


瀬川:宇宙の微小重力空間で、ものが飛び散らない工夫をするには「増粘剤」というものを使う必要があります。ですが、これを使えば使うほど、おいしさや風味が損なわれてしまう。おいしさを最優先したいというわれわれの想いと、宇宙の微小重力空間で求められる規格をどのようにして実現させるかが難しかった…。


-実際、宇宙で実験もできない中、想像のみでやり遂げないといけないわけで…大変でしたね。


瀬川・木村:そうなんです!!!!!


瀬川: 私も木村さんも宇宙に行ったこともなく、微小重力空間で食事をしたことがないものですから、わかるわけがない(笑)


木村:実際に、宇宙飛行士の方にご試食いただく時も、自分が同席できる訳ではないので、間接的にお話を伺ったり、書面での回答を参考にしながら、ひたすら自分の想像力と感性を信じるしかありませんでした。


-フジッコの宇宙日本食、ここを見てほしいという点を教えて下さい。


瀬川:味も、食感も、具材の種類なども、フジッコの市販品とほぼ遜色がないというところです。


木村:ずばり、おいしさです。

宇宙飛行士の方から、宇宙でも「家庭の味」を楽しみたいという要望があることを知った瞬間から、フジッコの商品がぴったりだと確信していました。

何としてもこの3品の認証をとって、地球上と同じようなおいしさを宇宙でも味わっていただきたいという情熱をもって、開発に取り組みました。


また、宇宙飛行士の方に宇宙での食事の仕方を聞いたり、宇宙日本食の認証に向けて取り組んでいる食品メーカーの方々と話をしたり、普通に仕事をしているだけでは得られない体験をたくさん味わうことができました。

形になるまでに、一言では言い尽くせない様々な苦労がありましたが、認証された今となっては、本当に楽しくてやりがいがある仕事だったな、と。


-今回の宇宙日本食の開発経験をこの先どう生かしていきたいですか?


木村:今回の長期保存の技術を、さらに賞味期間の長い保存食の開発に生かしたいと思います。そのためにも、今まで以上に、調味料や包装資材、加工技術などを勉強して、賞味期間だけでなく、おいしさや食べやすさも維持することができる保存食を開発したいです。災害などのあらゆる場面でフジッコの商品を必要としてもらえるようになりたいと思います。

今回のような新たなチャレンジを、今度は自分で発掘し、会社に提案したいです。


瀬川:今回の宇宙日本食に続いて、煮豆も賞味期間の長い海外向け仕様が発売されています。

木村さんなど、若手の開発者には、このように、自分でやりたいテーマを見つけて、それに必要な技術開発を行い、これを複数のテーマに応用するような仕事にチャレンジしてもらいたいと思います。

繰り返しになりますが、私たち開発者の仕事の醍醐味は、“お客様のために”という大前提のもと、「自分のやりたいこと・好きなものを作る」ことにありますから。

楽しんで仕事をしてもらいたいと思います。


料理のプロは、フジッコのチャレンジをどう評価する?

-今回、㈱神戸ポートピアホテル(本社:神戸市中央区)のお二人のシェフに、宇宙日本食を召し上がっていただき、感想を伺いました。

左:「鉄板焼 但馬」桑原健也料理長、右:「フレンチレストラン トランテアン」政岡壽浩料理長


-フジッコが宇宙日本食の認証を受けたということについて、どういう印象をもたれましたか?


桑原:単純に、「すごいな」と。うちもがんばらないと、と思いました。


政岡:正直、宇宙日本食というものを、一つの企業で作ることができるのだという事実に驚きました。正直な話、(宇宙日本食って)もっと遠い存在だと思っていたので。

それを目の前にあるフジッコさんが…。


-ポートアイランドにとっても大ニュースですよね。さて、フジッコの宇宙日本食をお試しいただいた感想をお願いします!


政岡:宇宙のごはんって、乾燥したものって印象がありますけど、なるほど、こういう商品も宇宙日本食として認証してもらえるんだな、と。この3品目を見て、水分とか味のバランスなど、調整が難しそうだなと感じました。


桑原:疑問しかないですよね。塩分とカロリーを表示しているのはなんでなんだろう。中身の水分が少ないのはなんでだろう、とか(笑)

それから、思っていたより、市販品と変わらない、フジッコのお惣菜の味をほぼそのまま再現できているということに驚きました。これはごはんが進みそう…。

しかし、製造の過程を想像すると、具材の食感を残すことが非常に難しかっただろうなと思います。


(ひじき煮)


桑原:ひじきは市販品と変わらない感じですね。

政岡:ひじきの食感がしっかり感じられておいしかったです。


(きんぴらごぼう)

桑原:まさに、きんぴら!

政岡:だしが具材にしっかりと絡まっていて、きんぴらの味をしっかり感じられました。


(ミネストローネ)


桑原:押麦と、はだか麦がおいしいかった。

政岡:しっかり酸味を感じられました。麦や豆にはしっかり火が入っていながら、芯が残っていて食感もよかったです。


「おいしさ、けんこう、つぎつぎ、わくわく。」

フジッコの挑戦はまだまだ続きます!


(インタビュー:フジッコ株式会社 コア事業本部(PR担当) 豊田麻衣子)








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