10月5日午後2時45分ごろ、上下黒のスーツに身を包み、しっかりとした足取りで歩いてくる男。長かった髪はばっさりと切られ、一つに束ねられている。初公判を迎えた田口翔被告(24)だ。

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田口被告は、報道陣の呼びかけに答えることなく、裁判所へと入っていった。注目を集めるこの裁判。約2時間前には、初公判の傍聴券を求めて多くの人が列を作った。

ロングヘアすっきり…被告の風貌も変化

そもそもの始まりは、2022年4月に山口・阿武町が誤って、新型コロナの給付金4630万円を田口被告の口座に振り込んだこと。田口被告は誤って振り込まれたものと知りながら、別の口座に振り替え、不法な利益を得たとして、逮捕・起訴されていた。

8月に保釈された際には、黒いスーツに肩にかかるほどのロングヘアでカメラの前に姿を現し、強い風が吹くと、髪の毛が顔を覆っていた。

このときと比べると、初公判が行われた10月5日の田口被告は髪の毛を後ろに束ね、表情もはっきりと確認することができる。

争点は罪が成立するかどうか

阿武町が弁護士費用などの支払いを求めた民事裁判では、9月22日、田口被告が解決金約340万円を支払う形で和解が成立している。10月5日から始まった刑事裁判で争点となるのが、電子計算機使用詐欺罪そのものが成立しているかどうかということだ。

初公判で、起訴内容について聞かれた田口被告は「振り込み操作をしたのは私であり、間違いありません」と事実関係を認めた。一方、弁護士は「罪の成立を争う」などと無罪を主張した。

無罪主張の理由は?担当弁護士を榎並キャスターが取材

初公判が始まる約3時間前、田口被告を弁護する山田弁護士を、榎並キャスターが取材した。

榎並大二郎キャスター:
田口被告は、犯罪になることは分かっていると、罪は償うというような趣旨の発言をしたということでしたけれども、そこから今回の無罪主張は何か気持ちが変わったということなんでしょうか?

山田弁護士:
本人の気持ちとしては何も変わってません。自分がやっていることに対して、一種の悪いことをしているという一般的な意味での罪悪感は感じていたと思いますし、ということで、そういう発言をしているかとは思います。ただ、それがどういう罪にあたるかという、彼が専門的な判断を下せるわけではないです。これについては、私の方の責任で今回の件を検討させていただいた結果、罪が成立しないのではないかという見解に達しましたので、私の責任で無罪主張させていただいております。

榎並大二郎キャスター:
今回の裁判どうなりそうですか。難しいというお考えなのか、それとも完全にこれはもう行けるだろうという、そんな自信があるのか?

山田弁護士:
私もたいした弁護士ではありませんけれども、当然初めから負けるつもりで裁判をやるつもりはないですので、勝つつもりがあってやっているということにはなります。

被告のコロナ感染で打ち合わせできず…弁護士「やばいです」

注目の初公判。どんな準備をしてきたのだろうか。

榎並大二郎キャスター:
8月1日に保釈されてから、何回ぐらい打ち合わせは重ねてきたのでしょうか?

山田弁護士:
彼、コロナにかかっちゃって、全然できていなくて。面会での打ち合わせは昨日が初めてですね。

榎並大二郎キャスター:
昨日が初公判に対しての初めての打ち合わせだったんですか?

山田弁護士:
あの、やばいです…

榎並大二郎キャスター:
田口被告も初公判に向けて準備しているんでしょうか?

山田弁護士:
先ほど、髪セットしてもらいに(美容室に)行ったとき一緒だったんですけど、私が行くっていったら一緒に行って散髪していましたよ。

榎並大二郎キャスター:
田口被告の心境に、逮捕・保釈・今に至るまでの変化というのが感じられる場面はありましたか?

山田弁護士:
彼は淡々としていますので、特段なにか(気持ちの変化が)起こるということではないです。

(「イット!」10月5日放送)