五十嵐カノアの代表権は維持

東京オリンピックの新種目として初めて実施されるサーフィン。
五輪最終予選と位置づけられ、5月にエルサルバトルで開催予定だった「ISAワールドサーフィンゲームス=以下、世界選手権」は、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、二度にわたり延期が発表されている。
そんな中、日本サーフィン連盟の宗像富次郎副理事長は13日、オンラインで行われた理事会終了後、フジテレビの取材に応じ、世界選手権延期に伴う東京五輪代表資格の変更はないことが確認されたと話し、男子では昨年10月に東京五輪出場権を獲得した五十嵐カノア選手の権利は維持されると明かした。

五輪会場となる千葉県の海岸は、付近の駐車場が閉鎖中

五輪出場枠は最大で男女2人づつ。残る枠は世界選手権で争われるが、先述のとおり、開催のメドは立っていない。
このような状況下でも「トップ選手が練習する環境をつくることが大事」と話す宗像副理事長。
ところが、ジャパンオープンが開催される千葉県の一宮海岸、隣接する東京オリンピック会場予定地の釣ヶ崎海岸は付近の駐車場を閉鎖して他県からのサーファーを制限している。
サーフエリアの開放に関して、自治体や地元住民からの理解を得るまでの道のりはまだ遠い。

宗像副理事長も「県外から人が来ることは避けなければならない状況」と語り、
「競技の性質上車が多く集まり、関係者だけでも1000人規模の大会となる。
サーフィン専用の代表選手施設はなく、移動距離も長く活動範囲が広いため、
他競技よりも、コロナウィルスを拡散してはならない、という思いを持たなければならない」
と大会の開催に慎重な姿勢を見せた。
選手から、ジャパンオープンはいつ開催されるのか、自宅でのトレーニングには限界がある、と不安の声が上がっているといい、宗像副理事長自ら代表候補選手とSNSでやりとりを行うなど選手のメンタルケアに努めている。
「トップ選手はジレンマを抱えていると思うが逆に励まされている。
大会を成功させて五輪につなげるためにも、選手には逐一情報を伝えていきたい」と選手と連盟が一体となり事態を乗りきる決意を示した。

さらに日本代表コーチであるウェイド・シャープ氏がカリフォルニアで足止めを受け、指導できないなど日本代表としての活動が制限される状況も依然として続いている。
ある強化指定選手は「サーフィンに行くときは仲間ではなく家族に運転してもらい移動。
波を待つ間は密集する状況にならないようにしている。
地元で目立たないよう練習を再開したが『コロナがあるのに遊んでいる』というイメージが先行して辛い」と肩を落とすなど、加熱する報道と「サーフィン自粛」に対する精神的ダメージは大きい。
予算面でもコロナの影響を受け「JSC=日本スポーツ振興センター」からの収入がなくなり、
強化費も減額される。五輪の終わる来年度からが厳しい(宗像副理事長)」と話すが、「海外転戦がいつできるようになってもいいように、トップ選手へ援助は惜しまない」と強調する。

一部地域では地元サーファーに限り解禁の動きも

ゴールデンウィーク中は自粛していたサーファーたち、高知県四万十市のビーチでは今週から地元サーファーに限り解禁となるなど、39県の緊急事態宣言解除もあり、少しずつ「サーフィン始動」へ動き出した。
日本サーフィン連盟は全国のサーファーに向けて15日に新たな声明を出し8月に予定されていた全日本選手権の開催を断念すると発表した。
また声明文の中で「新型コロナウイルス感染症対策においては、移動にともなう立ち寄り、海岸や駐車場で海に入る前、入った後などでの集まりなどは『三つの密』に値します」と呼びかけたうえで「感染防止策を講じてコロナウイルスに打ち勝ちましょう」と訴えた。

http://www.nsa-surf.org/news/20200515/

宗像副理事長は「サーファーみんなが『コロナを拡散させない』という思いを強く持って行動してくれている」とサーファー同士の団結力に期待を寄せている。

ちょうど1年前にはプロサーフィンの世界最高峰ツアー、チャンピオンシップツアーで五十嵐カノア選手が日本人初優勝を飾り、村上舜選手は昨年の世界選手権で4位入賞を果たすなど、
五輪でのメダル獲得も期待されるサーフィン。東京五輪の枠は最大で男女各2名。
来年初めまでに行われる五輪最終予選となる世界選手権で、ジャパンオープン優勝者を含めた男女各3名の日本代表がしのぎを削り代表権を獲得する姿を楽しみにしたいと思う。

(フジテレビ報道スポーツ部・川崎健太郎)