中国で世界初の「ゲノム編集」

中国・南方科技大学の賀建奎副教授

中国・南方科技大学の賀建奎副教授:
世界初の事例ということだけではなく、倫理や社会への影響を考慮しつつ、この問題をどのように進めるか、一例を示すことに強い責任を感じる。


賀副教授は、遺伝子情報を人工的に組み換える「ゲノム編集」を行い、人の受精卵を胎内に戻し、双子の女児が誕生したとしている。これが事実ならば、人為的に遺伝子が書き換えられたヒトが誕生した、“世界初”のケースとなる。

そもそもゲノム編集は、遺伝性の病気治療への応用が期待され、各国で研究が進んでいる。日本では早ければ来春にも、基礎研究の指針が策定される。

理化学研究所 予防医療プログラム・林崎良英ディレクター:

ある特定の遺伝子、単一の遺伝子がちょっと1ヵ所おかしい。重大な遺伝病が発生するのは、多々知られています。そういうような方々・お子さんが生まれる可能性があるときに、今回行われたようなことを検討しようという動きは、世界に現存します。

「狂っている」「完全に逸脱している」

賀副教授も、今回の研究について「エイズウイルスへの感染防止目的で行った」としているが、研究者の反応は険しい。
 
アメリカの研究者:
不正な人体実験だ。

中国の研究者:
直接、人体実験をするのは狂っているとしか言いようがない。

また、賀副教授が所属している南方科技大学は、今回の実験について声明文を出しており、「全く把握していない。学術倫理と規範に、厳重に違反している」とコメント。

林崎ディレクター:
こういった人のゲノム、遺伝子を改変して、驚いたことに人そのものを作ってしまう。完全に逸脱していますね、これは。

 
発表が事実であれば、生まれた双子には「予期せぬ病気の可能性」もあると、専門家は指摘している。実際、ゲノム編集を受精卵に行い、人や動物の子宮に戻すことについては、予期せぬ影響を将来の世代に及ぼす恐れもあるとして、法律で禁止する国もあるなど、慎重な対応がとられている。


賀副教授:
私の研究には多少の非難はあるかもしれない。しかし私は、病気を持つ家庭にとって、この技術が必要だと思う。彼らのために私は、どんな非難にも耐えられる。

ゲノム編集を行い、双子の女児が誕生したという今回の研究については、データ等を記した論文や、双子の映像の発表はされていないため、研究自体の信ぴょう性も不明だが、香港で27日から29日にかけて開かれている国際会議にて、賀副教授が28日以降に、今回の研究について発表する見通しだ。

大学は関与していない。実験は独断か組織的か

林崎ディレクター:
必要性に関しては疑問だが、遺伝子を改変するしか治療法がない場合、遺伝子操作を前向きにとらえようとする動きはある。遺伝子の研究は認められているが、今回のように人体に戻すことは絶対に禁じられている。ルールに反している。

受精卵の遺伝子を操作して、エイズウイルスに感染しないようにするといえば聞こえはいいが、他の遺伝子も変えてしまう可能性もある。そうなると、人間が新たな遺伝子病を作ることになる。倫理・技術の両面で、まだ研究段階であることを忘れてはならない。 

どういう背景をもって、今回の実験に及んだのか。また、どのようなプロセスをもって、今回の実験を容認したのか。一個人の向上心でやったのか、組織的な実験なのかも含めて、しっかりと事実関係を確認しないといけない事象である。

(「プライムニュース イブニング」11月27日放送分より)