2つの名を持つ滝
茨城県・大子町にある「袋田の滝」。別名「四度(よど)の滝」とも呼ばれている。
高さ120m、横幅73mを誇るこの滝は、四段になっている岩壁を水が流れる
一説には、平安時代に西行法師がこの地を訪れた際に「四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない」と絶賛したからとも伝えられている。
撮影を行ったのは、紅葉がピークを迎えていた11月中旬。
まずは、滝を下から見上げることができる「第一観瀑台」へ向かった。
岩壁をつたう何本もの白い水のラインが、視界いっぱいに広がり、風にのって飛んでくる水しぶきが肌に時折あたる。
そして、エレベーターで「第二、第三観瀑台」に向かった。
滝の流れが四段に落下する「袋田の滝」の全景を見渡すことができた。時期的にも滝を囲むように、真っ赤に色づいた紅葉が広がり絶好の撮影スポットだ。
ライトアップで滝がまるで水墨画アートに!
日が暮れると、「袋田の滝」がもうひとつの表情をみせる。ライトアップの演出によるものだ。
静寂の中に浮かび上がる巨大なモノクロのアート。
水墨画のようなその姿に、見る人も思わず足を止めてしまう。
平成12年から始まった「袋田の滝」のライトアップに加えて、滝まで続く「全長276メートルのトンネル」も4年前からライトアップが始まった。
全長276メートルのトンネルの内部は、青一色の空間や四季折々の植物をイメージした木彫りのランプが生み出す空間が幻想的な雰囲気を演出している。


【ライトアップの時期】
平成30年11月1日~平成31年1月31日まで。11月は日没~20時。12月と1月は日没~19時。
晩秋から冬にかけて、ぜひこの地を訪れてほしい。
自然が持つ雄大さと芸術が融合した幻想的な景色で、時間が経つのを忘れてしまうはず…
ドローン撮影はレアなアングルで
今回の撮影にはドローンを使用した。
滝の全景と山々の紅葉や水の流れを近くで撮影し、あまり見る事の出来ないアングルで撮影するためだ。
ただ、上記に書いた通り絶好の撮影スポットばかりであるため、ドローンを飛ばして撮影し続けていると、観光客の写真の一部にドローンが映りこんでしまう。いい景色を撮りたい気持ちは皆同じなので、撮影のタイミングを計る必要があった。
ドローンの離陸場所と一般の方の撮影場所は離れてはいるものの、一般撮影者が少なくなった瞬間に、安全を確保した上で、迅速に撮影を行った。
撮影時間が短いと、映像が慌てたものになってしまいがちだ。
「袋田の滝」の雄大さと水の流れの優雅さはゆったりとした映像でなければ表現できない。
気持ちを落ち着かせながら丁寧にドローンを操縦し、華麗に飛ばすことを心掛けた。
撮影に苦労するという事は、それだけ素晴らしい場所だからだ。
まもなくこの滝に冬が訪れる。凍り付いた冬の姿を撮影したい、そんな気持ちにさせられた取材となった。

【「袋田の滝」までのアクセス】
電車:JR水郡線「袋田駅」よりバスで10分
車:常磐自動車道「那珂IC」より約50分
【「袋田の滝」の営業時間】
5月〜10月 8:00〜18:00
11月〜4月 9:00〜17:00
【問い合わせ先】
茨城県大子町観光協会 TEL 0295‐72‐0285
茨城県大子町役場 TEL 0295‐72‐1111
(執筆:取材撮影部 山下 高志 矢野 冬樹)