■強制的に不妊手術を受けさせられた原告の悲痛な声

旧優生保護法の下で不妊手術を受けさせられた夫婦が国を訴えた裁判。大阪地裁は夫婦の訴えを棄却しました。

【原告の女性】
「負けたんですけど私の身体の痛みを忘れることはできません。とても残念ですがこの痛みを分かってほしかったです」

苦しい思いを訴えるのは大阪府内に住む70代の女性です。訴えによると、女性は男の子を出産した3日後、医師や家族から説明のないまま不妊手術を受けさせられました。

女性は、夫婦ともに聴覚障害があり、旧優生保護法の下強制的に手術をさせられ「身体的・精神的苦痛を受けた」として、国に対しあわせて2200万円の損害賠償を求めていました。

夫婦にとって大きなハードルとなったのは、「除斥期間」という損害賠償を求める権利が20年で消滅する規定です。妻が手術を強要されたのは1974年で、訴えを起こしたときにはすでに40年以上が経っていました。

大阪地裁は22日、旧優生保護法については「違憲」との判断を示しました。また、提訴に必要な情報へのアクセスが著しく困難だったとして、除斥期間を適用することは「公平に反する」と述べました。

提訴のための情報を得てから訴えを起こすまでに6カ月以上が経っていて、大阪地裁は民法の規定に照らし、除斥期間を制限する対象には当たらないと夫婦の訴えを退けました。

【原告の女性】
「医師の診断が必要だったのですが、ずっと断られていたんです」
妻は「控訴したい気持ちはあります」と話しました。

■旧優生保護法をめぐる裁判の動き

今回の裁判では原告は1974年に強制的に不妊手術を受けました。一般的に「除斥期間」という20年を経過すると損害賠償請求ができない決まりがあります。今回の場合、1994年には損害賠償請求の権利を失っているとみなされています。ただ、原告が強制不妊手術を知ったのは、別の原告が2018年に仙台地裁へ提訴したことがきっかけでした。

裁判所には例外として「提訴に必要な情報を知ってから6カ月以内なら損害賠償請求がができる」という決まりがあります。他の裁判で原告を救済しようと使われたものです。しかし、今回原告が提訴したのは2019年12月のことで、6カ月を経過してしまっていたため、例外を認めても原告は救われないことになりました。

今年3月、東京高裁で行われた別の裁判では、一時金支給法の施行(2019年1月)から5年以内なら損害賠償請求ができるという例外認定をしました。これは損害賠償請求とは別に、国が被害を認定した人には約300万円を一律で払うという決まりです。これを請求できるのは5年以内というルールなので、法律ができてから5年以内なら損害賠償を求めたらいいのではないのかという例外認定を東京高裁は行いました。今回も採用していれば原告も救われたということになります。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月22日放送)