MODE, Inc.は2014年にアメリカ・シリコンバレーで創業したスタートアップです。「地球上のあらゆる企業のビジネスにデータ活用を広める」というビジョンのもと、IoT(Internet of Things)およびデータ活用によるお客様のDX実現を目指しています。


ここではCTO/ Co-Founder Ethan Kan(イーサン・カン)に、MODEの創業秘話や開発チーム、さらに将来の展望などについて、過去・現在・未来の時系列に沿ってインタビューしました。

Ethan Kanの経歴


1997年スタンフォード大学修士課程卒。2012年までシリコンバレーのSun Microsystems、Yahoo!などでソフトウェアエンジニアとしてソフトウェア開発に従事。2012〜2014年までサンフランシスコの50Cube社でDirector of Engineeringとして勤務。2014年に上田 学(うえだ がく)とともに、MODE, Inc.を設立。現在はMODEの技術統括を行う。

過去について

MODE創業以来、一番大変だったことは何ですか? 

Ethan:過去だけではなく現在も、事業をスケーラブルにするために適切なビジネスモデルを見出すチャレンジは続いています。技術を有し、顧客の要望に対応できた上で、再現性をもって収益を挙げ、それを維持していくことが必要です。その一端が、プロダクトマーケットフィット、要するに製品が市場に受け入れられる状態を見出すことです。顧客が求める商品を構築し続けることで、顧客が気に入り、もっと買ってくれるようになる。それと同時に、社員が製品を維持し、顧客に満足してもらう。こうした好循環を生み出したいのです。


MODEはこうした目標の達成に向けて今も挑戦を続けている状況にあると思います。どの会社も完全に達成できることはないですが、最も成功している会社は8-9割は達成できているのが普通です。

創業の時、GakuさんからIoTで起業すると聞き、どのように感じましたか?聞いた状況やその時の思いを聞かせてください。

Ethan:なぜ着想を得たか、Gaku自身の話もあるかと思いますが、当時Gakuが僕に説明してくれたのは、庭の芝生の水やり装置をあれこれいじってみているということだけでした。


電子自動スプリンクラーのような商品を買ってくることもできたと思います。でも、Gakuは色々いじってみるのがとても上手いんですよ。Raspberry Piを入手して、色々なものを繋いで試作品を作動させてから、操作用のプログラムをいくつか書いていました。


当時は「とても面白いし、ワクワクするし、すごいな」という感想を持ちました。少なくともエンジニアである僕の視点からは、かなり楽しいプロジェクトでした。そして重要な点は、Gakuが「この構想の目的は操作用のソフトウェアプラットフォームを構築して他の開発者やエンジニアに使ってもらうことだ」と言ったことです。


そこに僕は強く興味を惹かれました。自分たちは消費者に売るためのものを生み出すのではなく、他のエンジニアやプログラマーが使うものを生み出そうとしている。良い気分転換になると思いました。僕は当時、Yahoo!で働いており、同社はエンドユーザーが使用する商品を作っていました。でも僕は常々、他のエンジニアが使えるものを構築するのはすごいことだと思っていたんです。技術的にも少し高度ですしね。要は、ツールやAPIなどの適切な組み合わせを作るということです。だからかなり面白い。僕は当時、そう感じました。


—つまり、はじめはBtoCというよりBtoBの商品だったということですか?


Ethan:BtoBですらありませんでした。マニア向けの製品に近いものです。他のエンジニアたちが使うためのツールです。また、収益性についてもしっかりとは考えていませんでした。典型的なスタートアップ企業が考えるように、ワクワクする何かから始めて、その先のことは後から考える。かなり後になってからです。そうなればもちろん、VC向けにビジネスモデルに関するストーリーを作る必要があります。でも最初は、文字通りアイデアをインターネットに載せてエンジニアたちに試すように呼びかけられたらすごい、とだけ思ったんです。


当初は完全にBtoBだったわけではありませんが、間違いなく技術系ユーザーを対象としていました。しかし数年前、大きな方向転換をし、顧客の非技術部門を対象とすることにしました。顧客が、MODEと直接技術的なやり取りをできる技術チームを持つとは限りません。これがコンサルティングやカスタマイズがMODEの大きな部分を占める理由です。MODEは創業当時とはもはや同じ会社ではないですね。創業当時の構想からは離れましたが、当初の構想が僕をワクワクさせてくれたことは確かです。


GakuさんがIoTビジネスの話を出した時、何か他にも構想を持っていましたか?それは良い構想でしたか?

Ethan:旅行や休暇のオンライン計画ツールの構想があったのは覚えています。実際に試作品も作っていました。


Gakuは旅行の計画をしっかり立てる人です。行きたいレストランやするべきことを事前に調べますし、チケットの事前予約や購入が必要か等についても先に考えます。

こうした計画は、自分でまとめ方を考える必要があり、方法は人によっても違います。スプレッドシートなどではなく、誰もが使いやすいツールはないだろうか、とGakuは考えたのだと思います。


ビジネスやアプリのアイデアを着想するとき、人はたいてい、自分の視点で思いついたものを「こういうふうに機能してほしい」と言うものです。これは自然なことだと思います。でも、消費者向けに何かを作るときは、全ての消費者のことを考える必要があります。何百万、何千万もの人々です。そうした人々が実際に欲しいものが何かを見つけるのは、ずっと難しいことです。


質問に戻ると、実のところ、他のエンジニア向けに何かを作るのは、マス市場向けに何らかのアプリを作るよりも、僕たちにとってははるかに易しいことでした。そして、僕が一般消費者向けよりもエンジニア向けのアプリを作るほうに少しだけ強い自信を持てたのは、それが理由だと思います。


消費者向けのアプリを作る会社について考えてみると、彼らはまったく違った荒々しいものに対峙しています。彼らの多くは大量の市場調査をしなければなりません。一方で、ただ幸運な会社もあれば、実力のある会社がすばらしい着想を得てアプリを作り、それが完璧に機能する、ということもあるでしょう。Pinterestが一つの例です。単純なアイデアですが、特別なエッセンスを捉えてアプリを作り、大きな成功を収めました。はじめに彼らがとても多くの調査をしたということはないと思います。誰かが思いつき、それを気に入り、ただ実行したんです。ただし、こうしたことが実現する確率は100万分の1かもしれません。

MODEが創業してから8年が経ちました。この間にIoT業界はどのように変化しましたか?

Ethan:大きく成熟したと思います。IoTははじめ、基本的には問題発見のためのソリューションでしたが、どのように、そして何のためにIoTを使用するかという、はるかに進展したユースケースへと変化しました。それが最大の変化です。


技術的な観点からは、実際のところ、期待値はより合理的で到達可能なレベルへと下がってきています。魔法が起こるわけではありません。データを確実にクラウドに格納しようとするというだけです。その後、やがて魔法が起こります。


魔法は、ソフトウェアやクラウドの中にあります。一方でハードウェア側は今も進化を続けています。8年前、多くのハードウェアはIoTに対応できていませんでした。 特に、コネクテッドデバイスは、Wi-Fiに繋げることはできても、数日後にはクラッシュしていたでしょう。その多くはハッキングされやすいものでした。業界の状況としては、すばらしいWi-Fiなどないのが普通だったので、実用的ではありませんでした。


今の業界の状況では、もっと信頼性の高い情報収集の方法があると思います。それでも、ハードウェア面で目指すところまで到達するには、業界全体として進化を続ける必要があると考えています。今はまだ3分の1程度かもしれません。その間も、クラウドサイドのソフトウェア部分の改善を続けることができます。しかし、ユースケースによっては、ハードウェア面で釣り合いが取れるまでは壁に突き当たることもあるでしょう。

IoT業界の変化に合わせ、MODEの開発組織はどのように成長してきたのでしょうか?

Ethan:MODEは当初、ホームオートメーションのような消費者向けソリューションを主に扱うIoTメーカーと提携しようとしました。つまりホームオートメーション商品を作っている他社のベンダーになろうとしていたんです。


でも、IoT業界は、企業向けのデータ収集にシフトするようになっていきました。それでMODEの製品もこうした顧客に対応するものへと再び方向性を変えました。そうなるとチームも変わっていく必要があります。こうした理由から、MODEには導入支援を行うエンタープライズソリューションチームがあります。当然、組織として企業顧客からの機能追加に関する要望や需要に対応できることが必要です。

これまでのエンジニア人生で一番大変だったこと、ピンチだったことはありますか?

Ethan: Yahoo!を辞めてからGakuとMODEを起業するまで、自分がどの方向に進めば良いか、わからない期間が数年間ありました。


そのため、様々なプロジェクトで以前の同僚たちと働きました。コーディングを続けたかったのと、技術も維持したかったからです。同時に、エンジニアチームのマネジメントを手伝ったりもしました。自分の時間を何に使うのが一番良いのか、よく分からなかったんです、ピンチとまでは言いませんが。だから、MODEの話に乗る決断をするのは簡単でした。創業時には、個人として成長できる機会がたくさん持てると考えたからです。創業者として学ぶことは本当にたくさんありました。自分が次に何をすべきかもがいた数年間を経て、やりたいことが見つかったんです。

現在

開発チームのカルチャーや雰囲気についてどのようにお考えですか?

Ethan:主に言えるのは、コラボレーションや助け合いを重視していることだと思います。エンジニアが業務を割り当てられた時、自分一人で完了させなければと思うことがあってはなりません。同僚からアドバイスやフィードバックを求めるよう、促しています。同僚によるコードやデザインのレビューは、MODEの開発プロセスの重要な部分です。


コラボレーション重視のカルチャーは、知識の積極的な共有にもつながります。開発チームでは常に新たな技術や構想を互いに教え合っていますし、エンジニアとして向上し、一層の問題解決ができるよう、助け合っています。


このカルチャーは、ともにチームを作っていく中で自然と組織的に生まれてきたものです。時が経つにつれて、こうした仲間意識が醸成された感じです。そしてもちろん、チームを成長させ続けるには、これを維持していきたいと強く思っています。

技術的な観点で、他社と比べてMODEに特有の難しさはありますか?

Ethan:僕たちは、あらゆるタイプの業界や消費者のユースケースに対応する、より汎用的なソリューションを作ろうとしています。各顧客へのカスタマイズを最小限にしようとしています。全ての人に価値のある、汎用的で有効な製品を効率的に生み出すのは難しいことです。

MODEの組織としての強みは何ですか?

Ethan:MODEは、IoTに関する問題への「フルスタック」な解決策に近いところまで来ています。データをどのようにセンサーからクラウドにリレーするか、そしてデータをどのようにクラウドで整理・保存するか、具体的な方法を規定しています。顧客は、ベンダー1社(MODE)とやり取りするだけで、そのニーズを満たすことができます。これは、パズルの一部分しか提供しないことが多い他社の既存ソリューションと比べて、今私たちが持つ強みだと思います。他社では、顧客に多くの技術的な決断や、複数のベンダーの技術を効果的に組み合わせることを求めるのが普通です。これは難しく、コストもかかるプロセスです。

MODEのエンジニアにはどういった方が多いですか?共通点を伺えますか?

Ethan:MODEの中核には、非常に優秀で経験豊富なエンジニアたちがいます。そして、熱心に学ぶ意欲を持ち、挑戦する気概のある、ジュニアエンジニアも何人かいます。


彼らには二つの共通点があります。まず、彼らは互いに助け合うための時間と努力を惜しみません。彼らは互いに知識を共有し合うことを楽しんでいます。要は、チームの仲間も向上させたい、ということです。


もう一つは、問題解決への姿勢です。彼らは、問題の発生理由や解決策を見出し、前進を続けるのを止めることはありません。才能や経験もあるでしょうが、仕事にプライドを持っているからでもあります。

エンジニアからは「Ethanは全てを設計してから作る」のが哲学だと聞いたことがあります。そのようになったのはいつからですか?また、なぜそれが重要だと思いますか?

Ethan:そうですね、それは事実です。ここ数年、それを強く打ち出しています。ソフトウェアエンジニアはタスクを割り当てられるとすぐにコードを書き始めたくなるものだと分かってはいますが、それにあらがって構想をまとめて書き留める時間を取るよう、彼らに促しています。


これは東京チームを作った時から始まったのだと思います。時差と言葉の障壁があるのは明らかで、対面ミーティングで彼らの思いをしっかりと知る機会を得られないことも多いです。だから僕はチームにこう伝えました。「もし何かを作るなら、まずは何を作るのかしっかりと考え、設計を書き留めておくべきだ」と。


これには二つのメリットがあります。一つは、他のチームメンバーにより明確に自分の考えを伝えられ、相手にフィードバックする機会ができるということです。チームでコラボレーションし、互いにより良い仕事ができるよう助け合う、という哲学にも立ち返ります。


もう一つは、将来の自分が参考にできる記録が残るということです。2年後には、ある設計に決めた理由を自分でも忘れているかもしれませんが、設計文書で再び見ることができます。また、新しいエンジニアが入社したとき、ある決定がなされた理由を実際に知ることができます。こうした知識が失われるのは、チームにとって大きな損失です。


やがて僕は、設計を書き留めるプロセスが構想を明確化する助けにもなると気づきました。設計を書き終えるまでに、いくつかの穴を見つけ、すぐに修正したケースも多くありました。

日本人と英語で働くことをどう感じていますか?

Ethan:率直に言って、僕より日本人の同僚の方が大変だと思います。僕は英語を使い続けていて、彼らが英語に適応して上達する義務を負っているからです。だから、彼らがしっかりと言いたいことを表現できていなかったとしても、落ち着いて理解しようと努力します。負担があるのは確かです。言葉だけの問題ではなく、物理的に同じ空間にいないからです。同じ空間にいれば、言葉で明確に意思疎通ができなくても、ホワイトボードを使うこともできます。今ではそれをリモートでできる電子的な方法も色々とありますが、それでもホワイトボードが一番自然な方法です。


それでも、日本で採用できる才能あるエンジニアのことを思えば、努力する価値はあると考えています。


—国際的なチームで働くのは、MODEが初めてではなかったですよね?


Ethan:Yahoo!にいた頃はYahoo! Japanと働く必要がありました。でも当時、僕はGakuと同じチームで働いていたので、彼が橋渡しをしてくれることもありました。また、Yahoo!社内には、バイリンガルのプロジェクトマネージャーも何人かいました。彼らはミーティングに同席してYahoo! Japanチームとのコミュニケーションを助けてくれていました。


MODEでは、日本人スタッフにも社内公用語としての英語の使用を明確に打ち出していますが、これは予想していたよりうまくいっていると思います。当初はどの程度うまくいくかわかりませんでしたが、ここ数年でかなり効果が出ているように感じます。一部の日本人のスタッフが英語の口頭での意思疎通に苦労することがあっても、Slackに英語で書き込むことによってそのギャップを埋めることができています。

未来

今後どのようにチームを成長させていきたいとお考えですか?

Ethan:MODEのコアプラットフォームにおけるイノベーションを加速させられるよう、製品開発チームを成長させる必要があります。同時に、顧客の製品導入を担当する技術チームも拡張する必要があります。また、運用チームの強化も必要となる可能性が高いでしょう。

エンジニアの増加に伴い、当然、チームをより自律性の高いグループとして構築していく必要があります。ある面では既にそのプロセスは始まっています。それぞれが重点分野を与えられたサブチームがいくつかあります。今後、3-4人からなる数多くのチームを編成することになると思います。

日本市場と北米市場という観点からは、どのようにチームを成長させていきたいですか?

Ethan:他の地域の市場で成長していくに当たっては、顧客への製品導入が重要な部分を占めることは明らかです。それぞれの市場に進出する際は、現地チームを立ち上げる必要があります。現地語で対応するだけではなく、同じタイムゾーンにいることも重要です。15時間の時差がある地域から顧客に対応するより、はるかにストレスが少なくなります。


—そうですね。でもエンジニアは長時間、深夜まで働いていますよね?


Ethan:選択肢があれば、彼らは普通の時間に働くことを望むでしょう。だから、皆が楽になる方向を目指すべきだと思います。

今後MODEで働くことを希望する方々に向けて、MODEの魅力を教えてください。

Ethan:MODEは前例のない課題に挑戦する気概のある方に向いていると思います。MODEは単なるウェブやクラウドアプリケーションの会社ではありません。IoTはなんといっても「モノ」に関するものです。そしてここでいう「モノ」は形あるもの以上のものです。「モノ」が動作する環境も関係します。それは屋外、水中、あるいは山奥かもしれません。こうした要素全てが、どのような仕事をするにしても、解決には欠かせないものです。仮想空間の外で挑戦してみたいと考えるエンジニアには、MODEは働くのに魅力的な場所だと思います。



—つまり単なるソフトウェアや1と0の羅列に対応するだけではない、ということですね。


Ethan:スクリーン上の画素やクラウド上のビットだけの世界ではないんです。でも、実際には、水中のセンサーからクラウドにギガバイトクラスのデータを移行するための方法を見つけ出す必要はあります。


MODEは新人エンジニアが技術を磨くのにも良い場所だと思います。複数の領域を扱い、より経験豊かなエンジニアから学ぶ機会を多く得られるからです。

MODEの今後について、考えを教えてください。

Ethan:そうですね、MODEの今後はミッションステートメントを達成できるかにかかっていると思います。


未来はまだ白紙ですが、現時点では良い基盤ができていると考えています。事業の焦点を明確化するのには数年かかりましたが、現在のチームを作る中で、成長分野はどこか、どのように市場に攻勢をかけるか、そしてMODEの製品の強みは何か、そういった点がますます明確になってきています。


つまり、製品ビジョンを作り、チームの全員がうまく連携できるようにすると同時に、市場や世界の変化に素早く対応していくことが僕たちには求められます。


ただし、現時点では、未来は大きく開かれていると思っています。すぐそこに、僕たちがつかみ取ることのできる機会がたくさんあるんですから。


—バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3ラストシーンの「未来はまだ白紙だ (your future is not written)」という名ゼリフを思い出しました。質問は以上です。Ethan、ありがとうございました!










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