急増する老朽化したマンションの建て替えや本格的な修繕工事などを推し進めるため、区分所有法の見直しが議論されることになった。葉梨法相が、12日午後開かれた、法制審議会に諮問した。

築40年を超える老朽マンションは急増していて、現在、全国で116万戸あるが、20年後には、425万戸まで増えるとされる。一方で、分譲マンションを建て替えたり、本格的な修繕工事を行うには、所有者を集めて総会を開き、多数決を取る必要がある。

しかし、築年数が進んだマンションでは、所有者が死亡した後、誰も住んでいなかったり、相続などにより所有者がどこにいるか分からないケースも多いという。また、高齢の居住者は、建て替えなどに無関心な場合もあるとのこと。

現在の区分所有法では、こうした「所在不明者」や「無関心の居住者」については、建て替えなどを決めるための総会を開いても、「反対者」として扱われるため、決議を得ることができず、意思決定が難しいという。これが老朽マンションの建て替えが進まない要因の一つとされている。

このため、今後、法制審では、公的機関の関与のもとで、「所在不明者」を、決議の母数から除くなどの制度変更が議論される見通しだ。また、建て替えや大規模な修繕工事を決定するための「多数決の割合」の引き下げも検討されるという。

現在の区分所有法では、建て替えを決議するためには所有者の5分の4、大規模な修繕工事には4分の3の賛成が必要とされている。この「多数決の割合」の変更も議論の焦点となる。

社会部
社会部

今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。