安倍内閣支持率は44.1%に上昇

FNNは5月9・10日の両日、全国の有権者を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、男女1057人から回答を得た。

安倍内閣の支持率は44.1%で前月より5.1ポイント上昇した。不支持率は41.9%と前月より2.4ポイント下がり、支持が不支持を上回る結果となった。一方で、新型コロナウイルスに関する日本政府の対応については、評価する人が36.4%だったのに対し、評価しない人は57.0%にのぼった。

政府の対応への評価が決して高くないにもかかわらず、内閣支持率が上昇したことについて、ネット上など一部で疑問の声があがっているようだが、なぜこのような結果になったのか。調査内容を分析してみると、一定の理由が見えてくる。

コロナへの不安感…一定の国民が「大いに」から「ある程度」に緩和

まず、国民の新型コロナウイルスへの不安感について見てみる。今回の調査では、大いに不安を感じるという人が53.6%、ある程度不安を感じるという人が40.5%で、あわせて94.1%もの人が不安感を示した。しかし2月以降の調査結果と比較すると、以下のように、不安感の度合いに変化が生じていることがわかる。

                               (2月→3月→4月→5月)

大いに不安感じる  41.3→29.9→70.2→53.6%

ある程度不安感じる 43.7→52.2→25.3→40.5%

あまり不安感じない 12.2→15.0→3.6→4.8%

全く不安を感じない  2.0→2.8→0.6→1.1%

前月と比べると不安を感じる人の総数こそほぼ横ばいであるものの、「大いに不安を感じる」から「ある程度不安を感じる」へと、不安感の緩和が一定数見られるのだ。ここ1ヵ月間での全国各地での新規感染者数が減少傾向にあることを反映しているとみられる。

政府の対策への評価の変遷 女性の方がやや厳しい評価

続いて、政府の新型コロナウイルス対策への評価について見てみると、「評価する」が36.4%だったのに対し、「評価しない」が57.0%と半数を超えた。男女別で見ると、評価しない人の割合は男性が54.2%なのに対し、女性では59.5%で、女性の方が政府の対策についてやや厳しく見ていることがわかる。

そしてこの設問への回答について、過去の調査と比較すると以下のような結果となる。

       (2月→3月→4月→5月)

評価する  46.3→51.4→28.7→36.4%

評価しない 45.3→38.9→64.0→57.0%

このように前月調査では政府の対応への厳しい声が急増し6割を超えたが、今回は評価しない人の割合が7ポイント減り57%となった。それでも半数以上の人が評価していないわけだが、その度合いが緩和されたのはなぜか。その答えは、国民1人あたり一律10万円の現金支給とみられる。

この10万円支給について、今回の世論調査では、評価する人が73.5%にのぼり、評価しない人が21.9%となった。前回調査の時点で政府は、減収世帯を対象とした30万円給付を盛り込んだ緊急経済対策を決定していた。その際の対策を評価する人は、51.6%だったが、今回10万円給付を盛り込んで再決定された緊急経済対策への評価は59.5%と、約8ポイント上昇した。

10万円給付については、最終的に公明党が安倍総理に強硬に迫り実現させた形となり、異例の政策転換によって安倍政権としては傷を負った部分もあるが、支持率の上では上昇に転じさせる効果があったと言えそうだ。

ちなみに、政府が全世帯に配布している布マスク=いわゆるアベノマスクへの評価は前月が21.1%、今回が21.5%と低いままだった。

こうしてみると、政府の新型コロナウイルス対策への厳しい声が多い中でも、「国民の感染拡大への不安感の緩和」と、「現金10万円支給」の2点が、安倍内閣の支持率を5ポイント上昇させた理由と言えそうだ。もちろん現在がいわば非常事態下であることと、安倍首相の次を狙うポスト安倍候補や野党への信頼感不足が、内閣支持率を底堅くしているという面があることも事実だが。

緊急事態宣言に慎重だった世論が一変し政府と乖離か

そうした中、政府は5月14日に特定警戒以外の34県と一部の特定警戒都道府県の緊急事態宣言を解除する方向に舵を切った。そして5月31日の期限までに可能な限りの範囲で解除を行いたい考えだが、今後国民の緊急事態宣言に対する認識がどう変わっていくかは不透明だ。

今回の調査で政府が5月7日以降も全国を対象とした緊急事態宣言を延長したことについて尋ねると、80.6%が「評価する」と答えた。また前月の調査では、政府が最初に7都府県に緊急事態宣言を出したことついて尋ねると65.3%の人が評価した一方、発令のタイミングについては実に82.9%の人が「遅すぎる」と答えていた。ここからは、4月から5月初旬にかけては、国民が政府による強い措置を求めていたことが見て取れる。

一方で、その前の3月の調査では、緊急事態宣言についての設問で、発令を「直ちにすべき」と答えた人はわずか6.5%、「積極的にすべき」と答えた人も22.7%に留まり、65.0%もの人が「慎重にすべき」と答えていたのだ。つまり世論はこの2ヵ月間に、緊急事態宣言について慎重論から積極論に大きく転換してきたことになる。

ただ、今回の調査では、「あなたの住む都道府県の早期の緊急事態宣言の解除に賛成か反対か」と尋ねたところ、賛成が54.2%、反対が38.3%と賛成が上回っている。東京都在住者に限れば賛否が拮抗するなど、当然地域によって事情は違うのだが、全国的に見れば“自粛疲れ”もあってか、世論も解除に前向きになりつつあるのも事実のようだ。

こうした傾向を踏まえると、政府が今、緊急事態宣言の解除に舵を切ったのは諸刃の剣と言える。経済を復活させていくことが重要課題になるものの、仮に緊急事態宣言を解除した都道府県で再び感染が拡大した場合は世論も一変し、その不満は政府に向かっていくことになるだろう。政府が、宣言解除のプロセスをどう構築し、解除後の社会をどのようにコントロールしていくかが問われている。

(フジテレビ政治部デスク 高田圭太)