旅先で出会った女性に「入院費用が必要でお金を貸して欲しい」などとウソをつき、125回にわたり総額1700万円をだまし取った疑いでブラジル人の男が逮捕された。男と女性は旅先で1度会っただけだったという。

旅先で1度だけ会った男から「金を貸して」

千葉市に住む会社員の女性(32)は、2020年9月、沖縄県で旅行を楽しんでいた。そこで出会ったのがブラジル国籍のマエダ・チアゴ・ヒデキ容疑者(34)。旅先で、2人の間に何があったのかは明らかされていない。

送検されるマエダ・チアゴ・ヒデキ容疑者(34)(1日 習志野署)
送検されるマエダ・チアゴ・ヒデキ容疑者(34)(1日 習志野署)
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ただ、連絡先を交換し、LINEや電話で連絡を取り合うよう間柄になったという。そして、旅行からおよそ2ヶ月ほど経った2020年11月、マエダ容疑者から「入院したためお金が必要で、貸して欲しい」などと頼まれたそうだ。

女性はマエダ容疑者への”好意”から、指定されたマエダ容疑者名義の口座に現金を振り込んだという。その後、マエダ容疑者からの”金の無心”が相次ぐことになる。「手術することになりお金が必要」「入院保険の費用が必要」等々。

半年間で125回、1700万円も

挙げ句の果てに、「病院までのタクシー代」名目でも、金を要求されていた女性。結局、2021年4月までのおよそ半年間に、1回当たり数万円から数十万円、合計125回に渡って、マエダ容疑者の口座に現金を振り込み続けたという。

マエダ容疑者は、入院費用、手術費用、タクシー代などの名目で、女性に金を要求していた。
マエダ容疑者は、入院費用、手術費用、タクシー代などの名目で、女性に金を要求していた。

あくまで、好意を持った男に、金を“貸しているだけ”という気持ちだったのだろう。しかし、その総額はおよそ1700万円までにのぼり、貯金は底をついてしまったという。当然、マエダ容疑者から、返済されるメドは立っていなかった。

悩みに悩んだ女性は、2021年6月になって、千葉県警千葉東署を訪れ、「入院費用が必要ということで男に金を貸し続けてしまった」と相談したという。その時点で、女性には、多少、“だまされている”という認識はあったそうだ。

九州から関東まで、そして北海道に

信じられないこと、被害者の女性は、1700万円も振り込んでいながら、マエダ容疑者が、どこにいて、何をしているのか、ハッキリとは知らなかったそうだ。千葉東署は、直ちに女性のLINEのトーク履歴などから、振り込んだ日時・金額・名目などを一覧化し、捜査に着手。

千葉東署が調べたところ、マエダ容疑者が、九州~関東などを転々としていることが明らかになった。
千葉東署が調べたところ、マエダ容疑者が、九州~関東などを転々としていることが明らかになった。

口座の履歴から、引き出された金額や場所などを1つ1つ洗っていった。すると、現金が引き出された場所はバラバラで、九州地方から関東地方にまで及び、マエダ容疑者が、全国を転々としている状況が浮かび上がった。

それから千葉東署は、1年以上にわたり、マエダ容疑者の“ウソ”の裏付け捜査を重ね、先月4日、正式に詐欺事件として被害届を受理した。その後の捜査で、マエダ容疑者が、北海道札幌市のビジネスホテルで、住み込みで働いているとの情報をつかんだという。

結婚詐欺でもロマンス詐欺でもない

すぐに捜査員が北海道に飛び、先月31日、マエダ容疑者を詐欺容疑で逮捕した。調べに対して「入院の話はウソだが、だますつもりはなかったし、金を返すつもりはあった」と容疑を否認しているマエダ容疑者。

調べに対してマエダ容疑者は「入院の話はウソだが、だますつもりはなかった」と容疑を否認している。
調べに対してマエダ容疑者は「入院の話はウソだが、だますつもりはなかった」と容疑を否認している。

2人のやりとりの中では「結婚」などの話は出てきておらず、明確に「恋愛感情」を抱かせるような手口でもなかったとのこと。従来の結婚詐欺やロマンス詐欺とは、同列にできない犯行態様と言える。

それにしても、1度会っただけの女性から1700万円をだまし取るとは。マエダ容疑者に女性を惹きつける“何か”があったのか。千葉東署は、他の女性も被害に遭っていないか、余罪を含めて捜査を進めている。

(フジテレビ社会部・千葉県警担当 風巻隼郎)

記事 1242 社会部

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記事 11 風巻隼郎

1996年新潟県出身。中央大学卒業。社会部司法クラブで検察担当、コロナ取材班などを経験し、現在は千葉担当。日々奮闘中。