ビジネスを学ぶ“部活動”

札幌市厚別区にある札幌東商業高校で、ビジネスを学ぶための部活動“マーケティング部”が今話題を呼んでいる。最大のヒット商品はコロッケ。2016年に開発したクリーミーな「カルボナーラ味」、2017年は「大学イモ風味」。これまでに金額にすると800万円以上、累計8万個を販売した。 次々生み出されるヒット商品開発の舞台裏に密着した。

自ら開発した商品を販売 生きたビジネスを学ぶ
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部員9人の“マーケティング”部

全校生徒約1000人の札幌東商業高校。簿記などの資格取得のほか就職支援に力を入れている。調理室に集まってきた高校生たち。彼女たちはヒット商品を連発する札幌東商業高校マーケティング部の面々だ。毎年、イベントで販売する商品開発を行ってる。部員は9人在籍していて、企画から販売まで行い「顧客が求めていること」にどのように答えを出すのかを現場で学んでいく。
 企業との連携にも積極的で、2年前からはコロッケ製造大手のサンマルコ食品と連携しコロッケを開発。クリーミーな「カルボナーラ味」と「大学いも風味」。本当においしいの? と思えるようなアイデアでも、ちゃんと売れるというのだ。これまでに累計で8万個、800万円以上を売り上げた。「自分たちが食べて、本当においしいもの」にこだわってきた。

大学いも風味コロッケ販売の様子

試行錯誤に半年かけた新作コロッケ

今回開発を目指す新作は、肉みそ豆腐入りの「肉みそくん」。
豆腐を使うことで、カロリーを控えめにした。失敗を重ねながら完成までに半年かかった。

マーケティング部員:最初、豆腐も肉みそもジャガイモも混ぜたものを作っていたんですよ。混ぜるんじゃなくて包んだ方が味がはっきり出ていいんじゃないかって

豆腐を入れることでボリュームがあるのにヘルシーにできカロリーを抑えるために豚肉から鶏肉に変更した。

豆腐を使ったヘルシーなコロッケ「肉みそくん」

バイヤーを夢見る高校1年生

1年生の坂爪稀凜(まりん)さん。坂爪さんが東商業高校を選んだのは、自分の将来のために、商品開発や流通について学びたいと思ったからだ。

坂爪稀凜さん:マーケティングや商品開発に単純に興味を持ったので、わたしも将来そういう仕事をしたいと、今までにないくらい死ぬ気で勉強しました

入学から半年、今ではクラスの笑顔の中心。将来の夢は、新しい商品を買い付けヒットを目指すバイヤーだ。マーケティング部に入っての販売デビューは7月。札幌市の百貨店で自分たちが企画した調味料を販売した。

坂爪稀凜さん:
きょうが初めてです。お客さんがどんなものを求めているのか、自分で調べて開発したい

大手企業とタッグ 画期的な“いももち”を開発

マーケティング部が開発を目指したもう一つの商品が、アップルカスタードクリームを入れた冷凍の「いももち」だ。

マーケティング部員:
甘い“いももち”が、売ってないということは人気が無いのか、みんなが気づいていないだけなのかわからないんだけれど、もし火が付いたらいろんな人に愛される商品になるんじゃないかと想像していた。カスタードは一から手作りで、頑張っていももちに包んだんです。めっちゃ大きくなっちゃったんですけれど

北海道の郷土料理「いももち」にアップルカスタードクリームを入れた“異色”の商品

困ったとき頼りになるのはプロ。高校生たちを支えたのが、連携して商品開発を行った、コロッケ製造大手のサンマルコ食品だ。

サンマルコ食品 久郷真司さん:
高校生たちは普段売り子に立ち、マーケティングはできている。メーカーとしていかにものにするか。あとは製品にする手助けをしたくて…

開発のアドバイスをした 木村夏妃さん:
持ってきた“いももち”がかなり大きくて、“爆弾級“の大きさだった。食べやすい大きさにした方がいいとアドバイスした。

半年ほど打ち合わせを重ね、見た目や食感を改良。こだわりのアップルカスタードの案は、そのまま商品化できた。1年生の坂爪さんも先輩について打ち合わせに参加した。坂爪さんのノートを見せてもらうと、商売をするときはどんなことに気を付けるのか。先輩から教えてもらったことがびっしりメモしてあった。

坂爪稀凜さん:
先輩と食べながら、これを考えたのは、すごいなぁ、先輩たちはどうやってこんなこと想像するんだろうと。どうしてこんなことができるのかなって。自分もこうしたいというのはあるんですけど、全然追いつかない

いよいよ新商品の販売…反応は?

札幌市厚別区で始まった食の文化祭。札幌東商業高校の生徒たちが開発した肉みそ豆腐入りのコロッケと、アップルカスタード入りのいももち。1年生の坂爪稀凜さん、先輩たちが人気商品に育てたコロッケを自分たちの番で失敗するわけにはいきません。
販売に立ったことのある坂爪さん。なかなか勧め上手ですが買ってもらうまでにはいたりません。

坂爪稀凜さん:
カスタードクリームとリンゴが入ってます。スイーツ系で、おやつ感覚で食べていただけます

 商品のポイントを一言で表現するのはやっぱり難しい…。 坂爪さんは、食べて興味をひかずにそのまま素通りしてしまうお客さんが多いことに気付いた。しかし、お客さんが“関心を持つ一瞬“は必ずある。そこを逃さないことが大事なのだと気づいた。

坂爪稀凜さん:視野を広げて、気付いてくださったお客さんに声をかけるとか、商品のいいところを前面に出して説明しました。

結局、今回のイベントでマーケティング部は3日間で9000個のコロッケを売り切った。
イオン新さっぽろ店 水上佳樹店長によると、イオンの店舗で、通常一種類のコロッケが1日100個売れたらすごい売れていることになる。それが、3日間で9000個ですから、いかに売れたかがわかる。

次回作は…ちゃんちゃん焼×ラム肉!?

成功から10日、札幌東商業高校マーケティング部は、早くも次の商品を考え始めていた。今度はちゃんちゃん焼。でも、使うのは一般的なサケではなく“ラム肉”!
自由な発想から、次のヒット商品が生まれようとしている。

マーケティング部  高橋麻里愛部長:
アイデアをぽんぽん出し合って、へんてこなアイデアも出す。そこから生まれる“何か”があるのかなって

坂爪稀凜さん:
私たちが考えたものが、拡がって想像のしないところまでいろんな人に届いていくんだなって思う。いろんなことに挑戦したい

一生懸命考えること、力を出し合って作り上げること。ビジネスの現場でも大切なことが、全部ここに詰まっていた。

(北海道文化放送)