父・奥田瑛二、母・安藤和津妹・安藤サクラ。芸能一家に生まれ自身も映画の世界に飛び込んだ映画監督・安藤桃子さん。家族のこと、映画のこと、子育てのこと…たっぷりお話を伺いました。

先月、広島市内で行われたトークイベント。

【安藤桃子さん】
「こんにちは。安藤桃子です」

映画の撮影を機に2014年に高知に移住し、映画制作に加え、ミニシアターやイベント運営など幅広く活躍する映画監督・安藤桃子さん。
去年発売された初のエッセイ「ぜんぶ愛。」にはそんな彼女の半生が綴られています。
芸能一家で育った彼女の家族のこと、映画のこと、移住・子育て…安藤さんが大切にしている視点とは。

Q広島に以前いらっしゃったのはいつ頃ですか?

【安藤桃子さん】
「広島大好きで、尾道、大林監督の『ふたり』という映画を若い時に見て、初めて映画のロケ地っていう所に意識を持ったのが尾道だったので、それを見て『ここに行きたい』『この世界に行ってみたい』それが広島だって知って。

同時にやっぱり平和っていうことに、今とくに思うのが、正面からこわいものとか見たくないものとか、いろんな風な気持ちになること、そこから初めて目をそらさないって、そこにしっかりと目を向けて自分がどう感じるか、じゃあ自分はどういう世界に生きたいのかっていうところを考えさせてもらえた。
そこに意識を持たせてもらったのも広島ですし。実はすごくいっぱい…私広島が大好きで」

安藤さんの両親は俳優の奥田瑛二さん、エッセイストの安藤和津さん。さらに妹は女優の安藤サクラさん。育った家庭についてもエッセイで触れられています。

【安藤桃子さん】
「父がかなり強めですよね。二世とか、親の七光…冒頭にその話は書いてあるんですけど、七光りとか言ってる場合じゃないと、その光をまとってさらに越えていくことがあるんじゃないか、そういう気持ちに立たないと映画なんか撮れねぇたいなことをいうような親父だったりして」

「ちゃぶ台をひっくり返すってよく漫画に出てくるじゃないですか。うちは、父はですね、ちゃぶ台をひっくり返すのがダイニングテーブルで。気持ちは昭和の親父だったんですね、その時やってた役が。ぬあーっていこうとして、うっ全然動かない。
だから一回置いて、しゃがんでうぁーーって言ってゆっくりとばーんと倒すっていうような。

その時に、食卓に並んでいたのが“とろろ”で、じゅうたんに、とろろが入り込んじゃって、母が『今後ちゃぶ台をひっくり返すのはいいです。いろんな気持ちがあると思います。
とろろの日だけはやめてください』ハハハ本当に大変、もうとってもとって、ねばねばが…」

安藤さんは現在、高知県に住んでいます。移住のきっかけとなったのは妹・安藤サクラさんが主演し高知で撮影を行った映画「0.5ミリ」。
映画ではある事件に巻き込まれすべてを失った介護ヘルパーの主人公・サワが、生きるために“おしかけヘルパー”を始めワケありの人たちと交流していきます。
自身の介護経験を基に制作したこの映画の撮影を機に高知にほれ込んだという安藤さん。

【安藤桃子さん】
「まさに0.5ミリの主人公のサワちゃんみたいな人が(高知には)いっぱいいて、一言で言ったらおせっかいとか、ぐんぐんくるっていう、そういう人がたくさんいて、でもそこには温かさがあって、なんかそれが嫌じゃなくて、心を許して、気づいたらお互いがすごく心を開き合っていて」

「ゼロイチの(ゼロから1を生み出す)お仕事っていうのと、1からプラスしてさらにそこを無限に広げていくお仕事っていうのがあると思うんですけど、映画監督ってゼロイチで、真っ白いきょうの背景みたいに何もないところに、赤ってはじめたり、青ってはじめていく仕事なので。
『これだー!!!』みたいな勢いで発言をする方も高知は多くて、そこがなんかフィットしたんでしょうね。動かしていくエネルギーとかが」

高知に移住して映画だけでなく食・農・教育と様々な分野で活動の幅を広げる安藤さん。今月1日には高知市で映画を中心としたミュージアムのオープンを発表しました。
安藤さんの活動の根本にはどんな思いがあるのでしょうか。

【安藤桃子さん】
「目指すところ。『すべての命に優しい世界』っていうのを、掲げさせていただいて。そのメッセージというか、このためにっていうのは何を通しても同じところを目的にしているので、表現は違えどっていうところかなと」

移住先での新たな人生。安藤さんにとってもう一つ、大きいのは娘の存在です。エッセイ「ぜんぶ愛。」の中でも安藤さんの子育て観や奮闘の様子が描かれています。

Q子育てしてる人にとっても、きっと背中を押してもらえるような本だと私はすごく思ったんですよ

【安藤桃子さん】
「私今シングルマザーでやってますけど、そうすると家の中でふたりとかになったら、これをしなきゃいけない。できないときにすごく自分を責めたりとか、いろんな気持ちになることはみんなあると思うんですけど。時代が変わればいろんなことが変わっていくと思います。
だけど、いつもいつも一人じゃないっていうことと、そう受け取れないことが自分がいっぱいあったからこそ、なんですけど、辛いときってはねのけちゃうんですよね。
でもやっぱり振り返ると常に近所のおばちゃんとか、通りすがりの人とか。ちょっとふっと肩の力抜いたら、『こんなに世界って優しかったんだ』って。本当にそういう風に子育てをみんなでしていけたらいいなって思います」

高知に移住して8年。安藤さんは今、また新たに動き出しています。

【安藤桃子さん】
「新作を撮るぞっていうこと。高知で出会ったり、経験してきたことがかなり反映されていく。自分の経験を通して、通しきってそれを初めて表現できるのかなって思うので、そのような作品になると思います」

Q今後映画を撮られる中で、広島がロケ地になったりすることは考えられますか?

「どこもそれは考えられると思いますし、何よりあこがれの尾道がある広島ですからね、そんなことが叶ったら嬉しいなと思います」

Qもしかしたら…

「広島ベースの原作があれば、よろしくお願いします」