後を追うように…3姉妹を襲った新型コロナウイルス

大切な妹たちとの突然の別れ…

末 利光さん:
「この電話がお兄ちゃんとの最後の電話になるかもしれない」と。そういう形で死んでいくのは、もうかわいそうでね、かわいそうでね…

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新型コロナウイルスによって命を奪われたのは、声楽家として活躍した末 芳枝さん(83)と79歳の妹。

残された兄の末 利光さん(87)が、この病へのやりきれない思いと闘病生活の最後に交わしたやり取りをFNNのカメラに明かした。

末 利光さん:
うちは(姉妹)3人全部、コロナにかかりまして。かなり重症なコロナに一発でかかりまして…

4月、東京都内で姉妹同士穏やかに暮らしていた3人が新型コロナウイルスに感染し、2人の妹が命を落とした。90歳の姉は、今も闘病中だ。

末 利光さん:
一番下が死んだのが4月23日。そして芳枝が亡くなったのは、一番下の妹が亡くなってからわずか4日で後を追いました

79歳の下の妹の死からわずか4日後、後を追うように息を引き取った末 芳枝さん(83)。声楽家として活躍し、日本声楽発声学会の会長を務めたこともある人物だ。

末 利光さん:
自分の演奏会が中心ですけれども、大学や個人的な指導をするために…芳枝はとても元気だったんです

火葬に立ち会えず 遺品にも触れられない

コンサートなども開催し、最近まで元気に過ごしていた芳枝さん。最初に異変に見舞われたのは一番下の妹だった。

末 利光さん:
下の妹から「何か気持ち悪い」と言って。病院に寄ると、そのまま退院できなくなってしまう。芳枝も同じように「ちょっと変」だと言って…

下の妹から芳枝さんへ、そして90歳の姉へ。感染はあっという間に広がったとみられる。

最後の会話となった電話でのやり取りで、芳枝さんはこんな話をしたという。

末 利光さん:
「私は人工呼吸器は嫌だ」と。「一生鍛えてきた歌手としての喉がある。喉だけは、一生歌って歌い続けた証拠を残したい」と言いましたね

歌い手としての人生を全うした芳枝さん。火葬に立ち会うことはできず、利光さんのもとに戻ってきたのは、下の妹の携帯電話や財布などの身の回り品だけだった。感染の恐れから箱に密封され、1カ月は開けないように言われているという。

末 利光さん:
悪い病気ですね…うん。先手先手と何でも手を打たないと…怖いですね

(「Live News it!」5月7日放送分より)